【特集】冨田康夫【コモディティー】秋の相場観特集_01 /原油1バレル=35~50ドル中心で弱含み推移
冨田康夫
国際商品市況では、原油をはじめとした資源関連価格の低迷が続いている。現在の主要ユーザーである中国の景気減速などに伴い需要減少の先行き懸念が強まる一方で、主要な資源産出国やその企業ではシェア確保の目的もあり生産水準を維持する動きがあるなど供給は減少しておらず、需給バランスは悪循環に陥っている。
NY商業取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は、8月下旬に一時1バレル=37ドル台まで下落。約6年半ぶりの安値水準をつけた。
今後の国際原油相場は、WTIで1バレル=35~50ドルをコアレンジに、横ばいからやや弱含みの展開が想定される。年末までの期間で8月安値をさらに更新する可能性も想定しておきたい。しかし、一方で原油相場がすでにかなりの割安な水準にまで下落しているのも事実で、場合によっては一時的に1バレル=70ドル程度まで上昇する可能性もある。また、やや長期で見た場合、16年以降にイラン産原油の輸出再開も見込まれており、市況が本格的な上昇に転じる想定は成り立ち難い。
一方、国際商品市況が株式市場に与える影響を考える場合に、極めて重要なのは、原油価格の低迷が中東やアジア、ロシアなど主要産油国の財政状態を悪化させているという点だ。これまでにも、比較的短期間の売買を主力とする海外のヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)が原油価格や非鉄金属市況下落の影響を受けてポジションを縮小する動きが取りざたされてきた。さらに、ここにきて中長期の運用を主体とする中東やアジアの産油国の政府系ファンドも日本の株式市場から資金を引き上げはじめている。
編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ) 【秋の相場観】特集より