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9928 ミロク情報サービス

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ミロク情報 Research Memo(4):ERP製品売上の販売が好調、クラウド・サブスク収入の成長率も加速


■ミロク情報サービス<9928>の業績動向

2. 販売先別・品目別売上動向
売上高の内訳を見ると、フロー型収入となるシステム導入契約売上高が前年同期比12.9%増の11,207百万円と2期連続で増収となったほか、ストック型収入となるサービス収入が同10.3%増の6,974百万円、その他(主に子会社の売上)が同11.4%増の1,699百万円と揃って増収となった。

(1) システム導入契約の販売先別・品目別売上高
システム導入契約売上高を販売先別で見ると、企業向けが前年同期比11.0%増の5,959百万円、会計事務所向けが同12.3%増の3,345百万円、その他が同20.3%増の1,901百万円とすべて2ケタ増収となった。

企業向けについては、2021年以降にリリースした新製品(2021年3月中堅・中小企業向け「MJSLINK DX」、2022年4月中堅企業向け「Galileopt DX」※)の販売がリプレース需要を中心に好調に推移した。企業向けERP製品の提案営業を行うソリューション支社を新たに4支社(千葉、静岡、北陸、四国)開設し、合計15支社体制で、新規顧客の開拓並びに既存顧客に対するアップセル・クロスセルに取り組んだことも売上増につながったと見られる。

※「Galileopt DX」は従来品と比較して、AI技術の活用により操作性を向上したほか処理スピードの高速化、API連携先の拡充を図るなど、利便性を一段と向上したことが特徴で、リプレース需要の活性化につながる一因となった。


企業向け売上全体に占める新規顧客の売上比率は26.3%と前年同期から3.8ポイント低下した。既存顧客向けの売上高がリプレース需要やアップセル・クロスセルに取り組んだことにより、同17.0%増の4,392百万円と大きく伸長したことが主因だ。また、新規顧客向け売上高は同3.1%減の1,567百万円と若干減少したものの、これは提供形態が売切り型からクラウド・サブスク型へシフトしていることが要因と考えられる※。企業向けERP製品売上高のうち、クラウド・サブスク型での販売比率は前年同期の約10%から30%弱に上昇しており、これらについてはサービス収入(ソフト使用料)として計上されており、全体で考えれば増収となっている可能性が高い。

※同社は2020年8月より従来のパッケージ販売に加えて、「Microsoft Azure」上で利用できるクラウドサービス(サブスクモデル)での提供も開始している。


一方、会計事務所向け売上高も3期振りの増収に転じた。2020年3月期はパソコン等の買い替え特需と合わせてERP製品の更新が集中したことにより売上規模が大きくなり、その後反動減で減少傾向が続いていたが、ようやく底打ちした格好となった。売切り型での販売がまだ主流のようで、売上高のうちサブスク契約の比率は4%程度だったと見られる。その他売上高については、販売パートナー経由での売上が好調に推移したほか、受託開発子会社3社の売上高についても営業体制を強化したことにより増収に転じた。

なお、システム導入契約売上高を品目別で見ると、ソフトウェアが前年同期比9.9%増の6,573百万円となったのに対して、ハードウェアが同12.0%増の1,846百万円、ユースウェア(導入支援サービス)が同21.2%増の2,787百万円とそれぞれ増収率で上回った。サブスク・クラウド型の導入件数増加が要因として挙げられ、特に、ユースウェアについては3期振りに過去最高を更新した。導入件数の増加に加え、提案営業によるアップセル・クロスセルが進んだ効果によるものと考えられる。

(2) サービス収入
サービス収入の内訳を見ると、TVS(会計事務所向け総合保守サービス)が前年同期比0.7%増の1,264百万円、ソフト使用料が同45.0%増の1,827百万円、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が同2.8%増の2,839百万円、ハード・NW保守サービスが同横ばいの753百万円、サプライ・オフィス用品が同1.7%減の289百万円となった。ソフト使用料については、ERP製品の一部サブスクでの提供やクラウドサービスの拡販により大幅増収となった。また。TVSやソフト運用支援サービスについても、新規顧客の開拓により着実に増加した。

また、クラウド・サブスク収入(ソフト使用料)のKPIとなるARRの推移を見ると、2022年9月は前年同期比45.6%増の3,796百万円と成長ペースが加速した。主要ERP製品においてサブスクやクラウドサービスでの契約数が増加していることが主因で、主要ソフトサブスク・IaaS※1だけで見ると、同149.4%増の1,177百万円と急拡大している。そのほかのARRについても、企業向け統合フロントクラウドサービス「Edge Tracker」※2が同66.5%増の403百万円、小規模事業者向けの各種クラウドサービス(かんたんクラウド会計等)が同5.6%増の1,192百万円、ストレージ・マイナンバー等の各種オプションサービスが同34.1%増の1,023百万円と順調に増加した。ストレージサービスについては電帳法改正に伴い、税金処理に関わる書類を電子保存する必要が出てきたことから、利用する顧客が増加している。

※1 IaaS (Infrastructure as a Service)とは、クラウドサービスのうち、ハードウェアやネットワークなどのインフラ部分のみを提供するサービス。
※2 中堅・中小企業の従業員を対象としたクラウドサービスで、「経費精算」「勤怠管理」「給与明細参照」「年末調整申告」「ワークフロー」などの業務をマルチデバイス対応により、いつでも、どこでも利用できるサービス。


(3) その他
その他(主に子会社の事業)の売上高は前年同期比11.4%増の1,699百万円となったが、主な要因としてはデジタルマーケティングサービスを手掛けるトライベックや、HR系のコンサルティングサービスを展開するトランストラクチャの増収によるものとなっている。M&A支援サービスのMJS M&Aパートナーズについては成約件数の減少により低迷が続いた。また、人材採用・紹介に特化した広告代理事業を行うアド・トップについては、現状の収益状況と同社の将来的な成長戦略に鑑み、2022年11月に全株式を売却し、子会社から外れた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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