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9872 北恵

東証S
846円
前日比
-23
-2.65%
PTS
865.9円
14:55 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.3 0.59 3.31 32.21
時価総額 84.7億円
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北恵 Research Memo(4):2018年11月期(通期)は2.5%の営業増益予想だが、上方修正の可能性が高い


■今後の見通し

1. 2018年11月期の業績見通し
北恵<9872>の2018年11月期の通期の連結業績は、売上高が前期比3.2%増の57,500百万円、営業利益が同2.5%増の800百万円、経常利益が同1.3%増の900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.3%増の550百万円と予想されており、期初予想と変わっていない。

住宅着工件数は以下のように前年同期比では微減の状況が続いており、その水準は決して高いとは言えない。そのため同社でも住宅市場全般は前期並みと見ており、通期(2018年11月期)の業績をかなり堅めに見ている。しかし同社商品への需要は必ずしも新築住宅だけではなく近年ではリフォームによる需要も増加していること、施工付販売や自社開発のオリジナル商品の販売を強化していることなどを考えると、住宅市場全般を上回る業績を達成することは可能であり、市場環境がよほど大きく変わらない限り、通期業績が上方修正される可能性は高いと思われる。


一部商品は減収見込みながら全体では増収を目指す
2. 2018年11月期の商品別及び地域別売上高見通し
(1) 商品別売上高見通し
商品別売上高は、木質建材6,750百万円(前期比1.0%減)、非木質建材3,800百万円(同0.0%)、合板2,350百万円(同3.1%増)、木材製品2,400百万円(同0.9%減)、住宅設備機器14,000百万円(同3.0%増)、施工付販売24,000百万円(同5.5%増)、その他4,200百万円(同4.3%増)と、木質建材、木材製品を除いたすべての商品で増収を予想している。特に上半期に好調であったその他製品は、通期でも増収を予想している。またオリジナル商品の売上高は1,900百万円(同5.0%増)を見込んでいる。

(2) 地域別売上高見通し
また地域別売上高は、近畿19,300百万円(同3.0%増)、九州・中四国8,800百万円(同2.8%増)、中部5,600百万円(同3.7%増)、東日本23,800百万円(同3.5%増)、その中で首都圏19,800百万円(同3.0%増)を予想している。各地域で増収を予想しているが特に首都圏を中心に東日本での売上高を伸ばす計画だ。

■北恵<9872>の中長期の成長戦略

1. 業界の現状と今後
今後の日本では人口減少が続くことから、長期的には国内の住宅市場は大きな成長は望めない。中期的には、2017年4月に予定されていた消費税増税(8%から10%)が2019年10月に延期されたが、これは住宅市場にとっては取りあえずプラス要因だろう。その一方で住宅取得にかかる贈与税の非課税枠拡大、住宅ローン減税、すまい給付金など、政府から出されている各種の新築住宅政策は継続されている。加えてマイナス金利政策も住宅市場には追い風となることが期待される。これらの各種優遇政策や低金利が消費者にもっと浸透して行けば、新築住宅の需要はある程度下支えされ需要が喚起される可能性は高い。このため同社にとっての事業環境は必ずしもアゲインストではなく、むしろ業績拡大のチャンスにも成り得るだろう。

2. 今後の商品戦略
同社では以下の3商品を「重点商品」と位置付けて、これらを特に積極的に販売していくことで他社との差別化を図り、競争優位性を確立する計画だ。

(1) 住宅設備機器
キッチン、ユニットバス等を中心に販売を強化する。

(2) 施工付販売
主に外壁工事、住設工事等の工事品質をさらに向上させ、販売強化を図る。

(3) オリジナル商品
新規開拓の提案ツールとして、また、既存得意先のインストアシェアを高めるため、顧客の求める商品を積極的に開発し、商品ラインアップの再構築を図る。特に前期から注力している商品の1つが厚張り複合フローリング「シェールフォレ」であり、以下のような特色を持っている。

a) 表面は幅150mmx長さ1,820mmの一枚単板を2mm厚7層のカバ合板を贅沢に使用。
b) 3つの貴重な樹種(ウォールナット、メープル、オーク)を表面単板使用。
c) 7層のカバ合板を基材に使用することで無垢の風合いを維持しながら床暖房に対応。

このような特色を前面に打ち出して、オリジナル商品として拡販を図っていく計画だ。

また公共施設や講堂などの非住宅市場向けに開発された「かる~い天井R」の独占販売権を獲得し、今期から本格的に衆力していく計画だ。過去の多くの震災では、地震そのものだけでなく天井の落下による死傷者が多かったことから、2014年4月1日から特定天井(高さ6m以上、面積200平方メートルかつ重さが2Kg/平方メートルのもの)は定期的な検査と報告が義務化された。それに対して同社が販売する「かる~い天井R」は以下のような特色を持っていることから、特定天井の対象外となり、公共施設等で多くの需要が期待できる。

d) 樹脂ジョイナーとグラスウール機材のパネルで天井仕上げ材を軽量化、200平方メートルで2Kg/平方メートルを実現。
e) グラスウールの柔軟性により天井の振動や衝撃を吸収し脱落を抑制する。
f) 不燃認定を受けた天井材により、延焼リスクを低減。

3. 今後の地域戦略
地域的な戦略としては、上記の施策を確実に実行していくことで、各地域でのシェアアップを目指す計画だが、特に首都圏を中心とした東日本に注力する。

4. 今後の市場戦略
今後は以下の4つの市場での拡販・拡大を図る計画だ。

(1) 新規取引先=新築
地域の優良企業、住宅メーカー、貸家市場での需要を確実に取り込む。

(2) リフォーム市場=既築
リフォーム専門業者、マンションリノベーション、ホームセンター、家電量販店等の取り込み。

(3) 非住宅市場
商業施設等の非住宅市場の需要を取り込む。

(4) 海外市場
既にベトナムに駐在員事務所を開設しているが、今後は同国の住宅市場を本格的に開拓する。さらに将来的にはASEAN市場への拡大を目指している。

■株主還元策

北恵<9872>は配当の基本方針として、「安定した配当を継続しつつ、業績に応じた利益還元を行う」を掲げている。具体的には、年間配当は14円を下限として、連結配当性向35%を目途とする予定だ。これに基づき、今期の年間配当は21円(前期実績20円)を予定しており、予想利益ベースでの配当性向は35.4%となる。配当性向35%は維持する予定であることから、今後の利益水準によっては増配の可能性もありそうだ。

さらに同社は株主優待制度の拡充にも積極的で、今までの1,000株以上の株主に対しての「郵便局の選べるギフト【鳥】」、500株以上1,000株未満の株主に対しての「QUOカード1,000円分」に加えて、新たに100株以上500株未満の株主に対しても「QUOカード500円分」の株主優待を発表している。これにより少ない単位株を保有する株主も優待を受けられるようになった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《TN》

 提供:フィスコ

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