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9795 ステップ

東証P
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業績
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時価総額 327億円
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ステップ Research Memo(4):2023年9月期業績は人的資本投資等の実施により減益も、売上高は過去最高更新


■業績動向

1. 2023年9月期の業績概要
ステップ<9795>の2023年9月期業績は、売上高が前期比5.8%増の14,442百万円、営業利益が同12.7%減の3,192百万円、経常利益が同13.5%減の3,225百万円、当期純利益が同6.2%減の2,405百万円とおおむね会社計画どおりに着地した。売上高は3期連続増収、過去最高を更新した。当期純利益の減益率が小幅に留まったのは、賃上げ促進税制の適用に伴い150百万円の税額控除を受けたことが要因である。なお、2022年9月期から適用となった新収益認識会計基準等が売上高、営業利益、経常利益で312百万円の押し上げ要因※となり、同影響を除けば売上高で約3%増、営業利益、経常利益で約20%の減益であった。

※旧基準では、諸費用(教材費等)による売上高について各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1~3月、4月分を4~7月、9月分を9~12月の各月に按分計上する方法に変更した(8月は夏期講習のため諸費用売上なし)。新基準の適用を開始した2022年9月期はこの影響により312百万円の減額(2021年9月期に2021年10~12月分の教材費等の売上312百万円を計上)となった。


(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前期比5.5%増の11,538百万円、高校生部門が同6.8%増の2,903百万円といずれも順調に増加した。期中平均生徒数は全体で同3.1%増、小中学生部門で同2.7%増、高校生部門で同5.2%増となったが、地域別で見ると藤沢市や横浜市、川崎市の校舎で順調に生徒数が増加したのに対して、小田原市や平塚市、横須賀市など少子化が進行している県西部では生徒数が減少する校舎も出るなど地域間格差が目立った。

校舎当たり期中平均生徒数について見ると、小中学生部門が前期比0.2%減の188人と横ばい水準に留まった。新規開校が前期よりも1スクール多かったこともあるが、少子化や物価上昇の影響などにより非受験学年の生徒の入塾時期が先送りされる傾向が県西部エリアのスクールで強まったことが要因と見られる。一方、高校生部門は前期比5.2%増の387人と増加基調が続いた。校舎数が15校と2019年以降変わっていないこともあるが、旺盛な需要に対応するため横浜校と戸塚校で増床を実施したことも平均生徒数の増加につながった。生徒1人当たり平均売上単価については、小中学生部門が前期比2.7%増の43.3万円、高校生部門が同1.5%増の50.1万円とそれぞれ若干上昇したが、2021年9月期以降はおおむね横ばい水準で推移している。

なお、校舎展開では小中学生部門で4スクール、学童保育部門で1校を2023年3月に開校し順調な滑り出しを見せた。小中学生部門では、注力エリアと位置付けている川崎エリアで溝の口スクール(川崎市高津区)とHi-STEP武蔵小杉スクール(川崎市中原区)を開校し、前期に開校した武蔵新城スクール、武蔵中原スクールと合わせて、JR南武線沿線の重点エリアをカバーしたことになる。これにより川崎市内のトップ校である多摩高校の合格者数に関して、早ければ2024年、遅くとも2025年には全塾中トップを奪取する公算が大きくなったと弊社では見ている※。また、鶴見スクール(横浜市鶴見区)は鶴見区で初、井土ヶ谷スクール(横浜市南区)はHi-STEPを除くと南区で初の開校となり、両エリアは川崎エリアと同様、今後ドミナント展開で校舎数を増やしていくエリアとなっている。

※2023年春の合額実績は76名(前年比24名増)で、トップの臨海セミナー82名に肉薄している。


学童保育部門では、4校目となるSTEPキッズ白楽教室(横浜市神奈川区)を開校した。既存の3校は湘南エリアで展開してきたが、今回横浜市へ初進出した。10月までの在籍生徒数は湘南教室とほぼ同様のペースで推移しており、大半は小学1年生で占められているようだ。同一フロアに移転してきたSTEP白楽スクールが好調なこともあって、今後口コミ効果によりSTEPキッズの生徒数も順調に増加する見込みであり、3年目での黒字化を目指している。

(2) 費用の状況
売上原価は前期比13.3%増の10,442百万円となり、売上原価率は72.3%と同4.8ポイント上昇した。主要項目別で見ると、売上原価の約7割を占める人件費がベースアップや7月に支給した特別賞与、社員数の増加等によって同12.3%増、対売上比率で同2.9ポイント上昇し、売上原価率上昇の主因となった。また、スクール数の増加や学習環境の整備に取り組んだことで備品費が同205百万円増加し、備品費を含めたその他原価が同43.6%増、対売上比率で同1.6ポイント上昇した。備品費の主な内容は、ノートPCやプロジェクタの購入費用、自習室やトイレ設備の更新費用である。特に、自習室については利用率が年々高まる傾向にあり、生徒の学力向上を支援していくうえでも重要な位置付けとなっている。そのほか対売上比率で上昇した項目としては教材費が挙げられ、紙の値上がりにより同12.8%増、対売上比率で同0.2ポイント上昇した。

販管費は前期比3.6%増の807百万円となり、販管費率は5.6%と同0.1ポイント低下した。新聞折込チラシを生徒への冊子配布に切り替えたことで広告宣伝費が同15.4%減少し、対売上比率で0.2ポイント低下したことが主因だ。一方、人材採用を強化するため採用イベントに積極的に出展したことで、求人費は同106.8%増となり対売上比率で同0.1ポイント上昇した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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