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9788 ナック

東証P
528円
前日比
-4
-0.75%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.3 1.03 3.98 22.00
時価総額 246億円
比較される銘柄
ダスキン, 
トーカイ, 
オオバ
決算発表予定日

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ナック Research Memo(3):衛生環境を保つビジネスを展開。シルバー向けサービスを強化


■ナック<9788>の事業概要

3. レンタル事業
レンタル事業は、創業の原点であるモップ・マットなどのダストコントロール商品を扱うダスキン事業をはじめ、介護用品や福祉用具、害虫駆除機等のレンタル・販売、総合ビルメンテナンスなど、顧客のニーズに沿った衛生環境を保つビジネスを展開してきた。今後は高齢社会の進展によってシルバー向けのサービスの需要が拡大することを見込んでいる。同セグメントはダスキン事業、ウィズ事業、総合ビルメンテナンス業のアーネストで事業を展開している。各ビジネスともにシルバー向けサービスの需要増加を想定しつつ、幅広く顧客を取り込むための販売網拡大やサービス体制の強化に取り組んでいる。

(1) ダスキン事業
主力は、同社の出発点であるダスキン事業である。ダスキンの992番目の加盟店として創業して以来、ダスキンのフランチャイジーとして1984年より30年以上、全国約1,900店の加盟店で売上高・顧客数ともに首位を維持してきた。展開エリアは関東を中心に北海道、大阪、愛知、福岡と幅広く網羅している。「モップのレンタル」という従来のダスキンのイメージから抜け出し、清掃用品の定期的なレンタルやプロによる清掃サービス、家事代行、害虫駆除、庭木の手入れ、リペアなど幅広いジャンルにおいてサービスを提供している。

とりわけダスキン事業の中でも、先行き需要が拡大し、成長エンジンとして機能しそうなのがケアサービス部門だ。ハウスクリーニングのほか、トイレやキッチンなど水回りの清掃、エアコンクリーニングなどを展開している。世帯構成において単身世帯、共稼ぎ世帯、高齢者世帯などの比重が今後高くなるに従い、家事代行をはじめとする役務提供サービスに対する需要が一段と拡大すると同社は想定している。

単身世帯や共稼ぎ世帯は、家事について「時短」(時間短縮)ニーズが高く、世帯が同事業のターゲットとなる。また「築年数が古いのと、洗面台と壁の隙間の長年のほこりの堆積等で自分では無理と諦めていたが、とても綺麗になった」といったユーザーの声が象徴するように、水回りやキッチンなど綺麗にすることが難しいクリーニングについてもニーズが多い。

また、高齢化社会の進展を背景に高齢者世帯をターゲットとしてケアサービス部門の拡充を進める。レンタル事業全体では数十万レベルの顧客基盤がある。モップなどを定期レンタルで活用していた既存顧客が高齢になった際に、ハウスクリーニングなど家事代行の利用を促す考えである。さらに車椅子、介護ベッド、歩行器、杖など介護用品・福祉用具といったヘルスレント部門も拡充する考えだ。

ケアサービス部門において心配されるのが人材の確保だろう。同社は、共同出資した人材会社を通じて人材を確保し、自社運営のトレーニングセンターなども活用して徹底した教育を行っている。モップなどの定期レンタルの営業現場においては、先輩営業スタッフが新人のサポートにつく「サテライト制度」により、少人数で質の高い教育環境を整え人材育成に努めている。同社によると、新卒における離職率は2019年の30%強から、2020年、2021年には5%強まで改善し、定着率が向上していると言う。なお、最近では、ダスキンのほかの加盟店からM&Aにより顧客権を継承するなど、ダスキン事業はさらに拡大している。

(2) ウィズ事業
飲食店向け害虫駆除器「with」を扱うウィズ事業は、自社ブランドとして1988年にスタートした。以来、飲食店や施設、店舗などに「with」の定期レンタルを展開している。薬剤メーカーと提携した「with」は、薬剤ベーパーセクトと機械本体一対で高い駆除率を誇る害虫駆除システムで、毎週2回、6時間自動的に繰り返しゴキブリを駆除することが特徴だ。人のいない時間帯にマシンがタイマーで作動し、レストランや施設における衛生管理をサポートしている。このほか、エアコンに設置する空気清掃器「BeCleanフィルター」や、節水洗浄ノズル「Bubble90」を手掛けている。

ウィズ事業は、飲食業向けが中心になるためコロナ禍の影響を大きく受け、それまで成長していた伸びが鈍化した。しかし、2023年3月期に行動制限が解除され、今後は飲食業の回復が見込める。取り扱い製品は、飲食業を営むうえで欠かせないものが多いだけに、アフターコロナで再び飲食店が活況を取り戻せば、収益の回復が期待できそうだ。

(3) 総合ビルメンテナンス業
コロナ禍を契機に新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけとなったのが、アーネストによる総合ビルメンテナンス事業である。アーネストでは、オフィスビルや商業施設、マンションなど、建物に関わる総合的なメンテナンスを行っている。オフィスや施設の日常清掃・定期清掃・消毒除菌作業を幅広く手掛けており、20年以上で、約1,000社の導入実績を挙げてきた。対象となる清掃施設は、マンションや一般オフィスビルから、店舗・商業施設、病院・介護施設、教育機関、パチンコ店、工場、ホテル、神社仏閣・教会などがあり、それぞれ培ったノウハウを用いて綺麗に洗浄する。そのほか、衛生面や設備面から保守管理など管理業務、テナントの空調工事や、入居・退去にともなう内装工事、それらに伴う電気工事などの設備工事のほか、ウイルス・細菌対策やワクチン職域接種会場、厚生労働省が実施する水際対策の支援事業の運営を手掛けている。

コロナ禍においてはワクチン職域接種会場の運営実績を急速に積み上げ、厚生労働省が実施する水際対策の支援事業の受注を確保したことによって収益に大きく貢献した。同社の運営への信頼度は高まっており、今後も官公庁や地方自治体、大企業などからの受注が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《SO》

 提供:フィスコ

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