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9619 イチネンHD

東証P
1,724円
前日比
+4
+0.23%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.3 0.69 3.48 47.84
時価総額 418億円
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イチネンHD Research Memo(6):2024年3月期は前期の反動もあり7.5%営業減益予想


■今後の見通し

イチネンホールディングス<9619>の2024年3月期の業績は、売上高が131,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益が8,200百万円(同7.5%減)、経常利益が8,200百万円(同9.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が5,480百万円(同7.5%減)を予想している。自動車リース関連を除いたすべてのセグメントで増収増益を予想しているが、主力の自動車リース関連は前期の反動で減収減益予想となっている。主力の自動車リース関連が減益となるため、全体の営業利益も減益予想となっている。しかし各セグメントとも前提条件をかなり保守的に見ており、今後の状況によっては計画を上回る可能性もありそうだ。

(1) 自動車リース関連事業
自動車リース関連事業はセグメント売上高56,676百万円(前期比4.4%減)、セグメント利益4,532百万円(同27.7%減)を見込んでいる。前期にリース満了車の販売及び燃料給油カードの販売単価が好調だったことによる反動減を見込んでいる。

リースにおいては、引き続き比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。車両販売では、従来のオークションに比重を置いた処分方法から、業販を含めた処分ルートの多様化を図り、海外への輸出も積極的に進め、リース・メンテナンスに次ぐ第3の事業柱として育てる。自動車メンテナンス受託においては、今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを提供しつつ、「フォークリフトメンテナンス」などの独自サービスの提供や顧客であるオートリース会社への営業支援なども行っていく。燃料販売、車体修理管理サービスでは、エコカーの普及による給油量の減少を新規開拓による販売数量増でカバーする。また脱炭素社会を見据えた新たな事業モデルの構築も検討する。

(2) ケミカル事業
ケミカル事業においては、セグメント売上高12,478百万円(同5.0%増)、セグメント利益1,176百万円(同14.3%増)を見込んでいる。新規顧客の開拓、脱炭素を見据えた新製品の開発や海外展開を強化する。中長期的には、新たなニッチマーケットへの参入を目指し次なる事業の柱を構築する(例えば特殊潤滑剤、離型剤、文具など)。脱炭素社会を見据えた製品開発を加速すると同時に、海外展開を加速し、販売地域・販売品目を拡大する。

(3) パーキング事業
セグメント売上高7,513百万円(同8.6%増)、セグメント利益1,066百万円(同11.7%増)を見込んでいる。新規駐車場の開拓、既存駐車場の継続的な収益改善、 設備リニューアルによる稼働率向上などにより増収増益を目指す。引き続き堅調に推移すると思われるが、現在の稼働率等を考慮するとかなり保守的な予想と思われ、このセグメントは増額修正される可能性が高いと弊社では見ている。

中長期の取り組みとしては、規模の拡大(新規開拓)のために宅建協会、税理士組合等との連携による案件情報収集やインターネット広告の強化などを図る。既存駐車場の売上拡大と収支改善のために、周辺環境に合わせたこまめな駐車料金の見直し、サービス券提携店舗の拡充、不採算駐車場の賃料交渉などを進める。サービス品質向上の施策として、設備の定期点検、駐車場の巡回点検をさらに強化し、キャッシュレス化、フラップレス化、老朽化設備のリニューアルを推進する。これらを実行することで、中期的な目標として売上高100億円、営業利益15億円、駐車場ヶ所数3,000ヶ所を目指す。

(4) 機械工具販売事業
セグメント売上高37,804百万円(同3.8%増)、セグメント利益669百万円(同27.4%増)を見込んでいる。前期からの値上げが徐々に浸透していくと見ており、増収増益を計画している。施策としては、取扱商品・オリジナル製品の拡充、ネット販売強化、海外展開強化、組織再編による収益力の強化に取り組んでいく方針だ。

(5) 合成樹脂事業
セグメント売上高15,179百万円(同23.6%増)、セグメント利益686百万円(同325.2%増)と、前期の反動減からの回復を見込んでいる。次世代型遊技機向け部材の提案・販売強化、リサイクル樹脂等の販売強化によって増収増益を目指す。利益の前期比での伸び率は高くなっているが、前期の落ち込みが大きかったことによるもので、前々期(2022年3月期)比ではまだ半分強の水準に留まっている。

施策としては、遊技機部品事業では、売上・利益の安定化を図るため、販売台数上位メーカーの筐体部材獲得に注?する。また次世代型遊技機向けの部材開発、提案?強化を推進する。 合成樹脂事業では、高付加価値材料の拡販を進めるが、そのために自社で保有する再生技術を強みとし、高付加価値のリサイクル樹脂を拡販する。科学計測器事業では、新製品の開発、マーケットシェア拡大を目指し、産業マーケットでのシェア拡大に向け、大手メーカーが対応しない領域の新製品開発・販売に注力する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《YI》

 提供:フィスコ

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