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9414 日本BS放送

東証S
905円
前日比
+4
+0.44%
PTS
904.6円
10:08 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.2 0.71 3.31 325
時価総額 161億円
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BS11 Research Memo(10):4K・8K放送の開始が衛星放送メディア市場の成長を再加速させると期待


■成長戦略

4. 中長期的な成長ポテンシャル
日本BS放送<9414>の中長期成長ポテンシャルに関し、前回のレポートでは視聴者層の中心であるシニア層向けを切り口にしたアプローチについて言及した。具体的には、番組編成における自由度の高さを生かしたインフォマーシャルの充実などだが、2017年8月期において同社の売上高が2ケタ増収を達成した事実に、そうしたアプローチが十分機能していることが現れていると弊社では評価している。

前述のように、BS放送業界については一時的とは思われるが業界の成長率の鈍化が数字として現れている。この逆風をはねのけて同社が2ケタ成長を継続する方策や戦略はシニア層の攻略だけにとどまらない。いくつかある成長エンジンの中の1つとして期待されるのが4K・8K放送の開始だ。4K放送は2014年のVOD(ビデオオンデマンド)サービスや2015年のケーブルテレビと124度/128度CSデジタル放送のサービスで、一部実用化されている。しかし、通常のBS放送やCS放送で視聴できる4K放送は、現時点では試験放送の段階であり、サービス開始は2018年秋頃と計画されている。2018年の時点ではNHKとキー局系BS放送局などがサービスを開始するとみられる。

2020年に東京オリンピックが開催される際には一般的な段階まで普及することが見込まれることを考慮すると、4K放送の本格開始は、現在のBS放送市場の停滞した状況をブレイクし、再度、市場の成長を加速させるきっかけになると期待される。同社は市場全体の停滞のなかでも2ケタ成長を維持しているが、市場全体が再度高成長を取り戻せば、同社の成長にとっても追い風となり、成長性や成長の確度が一段と高まって来るものと期待される。

同社は4K放送については2020年の放送開始予定で準備を進めている。先行するキー局系BS放送各社から2年の遅れとなるが、弊社では、4K放送が現行放送からの“移行”ではなく追加的なサービスであることや、4Kテレビの普及スピードやコンテンツの充実度、4K放送開始に伴う設備投資額の大きさといった様々な要素を比較考量すれば、同社が2020年をターゲットにすることには十分説得力があり、むしろ正しい判断ではないかと考えている。前述のように、4K放送によってBS放送市場の成長スピードが再加速すると弊社では期待しているが、同社は同社独自の戦略で2ケタ成長の維持が可能であると弊社では考えている。同社がこれまで2ケタ成長を維持しているという事実もこうした見方をサポートするだろう。企業規模や体力がNHKやキー局系に比べて劣る同社は、4K放送においてリスクを取る必要はまったくなく、4K放送の市場環境を見極めてから参入しても遅くはないというのが弊社の考えだ。

同社は2020年8月期に売上高15,000百万円の達成を目標に掲げているが、これはあくまで通過点に過ぎないのは言うまでもない。同社が15,000百万円にこだわる理由は、BS業界にあって同社に先行する地上波キー局系5社の売上高が15,000百万円前後という位置にあり、キー局系5社の一角に食い込むことへの強い意志を表しているためだ。当然ながら、その先には20,000百万円といった一段高い目標が掲げられてくることになる。売上高15,000百万円という目標は業界動向に関わらず同社自身の経営努力で達成可能だが、その先の20,000百万円やさらに上を目指すうえでは業界全体の底上げが不可欠だというのが弊社の見方だ。4K・8K放送などをきっかけとしたBS市場全体の成長拡大はその意味で非常に重要であり、今後の推移を見守りたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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