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9324 安田倉庫

東証P
1,383円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 420億円
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安田倉庫 Research Memo(8):両事業が順調に推移し増収となるも、物流施設新設などの先行投資により減益


■業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
安田倉庫<9324>の2022年3月期の連結業績は、営業収益53,040百万円(前期比11.2%増)、営業利益2,910百万円(同11.5%減)、経常利益4,037百万円(同7.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,873百万円(同2.9%増)となった。物流事業、不動産事業ともに増収となったものの、物流施設の新設に伴う各種営業原価や販売費の増加などにより、各利益は減益となった。

日本経済は企業収益や個人消費に持ち直しの動きが見られたものの、長引くコロナ禍の影響に加え、ウクライナ情勢や原燃料高、半導体不足、海外でのロックダウンなどのリスクに注意する必要もあり、先行きは依然不透明な状況が続いている。同社の属する倉庫物流業界のうち、倉庫の入出庫は、依然コロナ禍前の水準には戻っていないものの、保管残高はコロナ禍前の適正な水準に戻っている。国内輸送(特積・宅配)は、コロナ禍からの回復に加えECによる宅配輸送の増加もあり、コロナ禍前を上回る高い水準で推移している。輸出入は、海上コンテナの取扱本数が回復しつつあるとはいえ、コンテナ不足や海上運賃の高騰を背景に輸出中心に引き続き厳しい状況が続いている。このため海上輸送から航空輸送へシフトする動きが強まり、航空便の取扱量が高い水準で推移した。一方不動産市況に関しては、東京ビジネス地区が近年の供給増とリモートワークの普及を背景に、空室率が6%まで上がった。現在、空室率は横ばい推移となっているが、募集賃料相場は下落傾向が続いている。横浜ビジネス地区の空室率は4%台を維持し、募集賃料相場はわずかに上昇傾向を続けている。このように、倉庫物流業界及び不動産業界の環境は引き続き厳しい状況で推移した。

このような状況のなかで同社は、前中期経営計画「YASDA Next 100」に沿って、事業体制の構築と更なる成長を目指した。物流事業では、付加価値の高いロジスティクス・サービスの提供による取引拡大や物流施設増強など、事業基盤の強化を図った。コロナ禍から荷動きが戻りつつある物流事業は、海上運賃の高騰、南信貨物自動車(株)の子会社化、不動産施工工事の増加などもあり、営業収益の増加幅が大きくなった。しかし、営業原価の上昇や先行投資により、セグメント利益は減益となった。一方、不動産事業では、既存施設の適切なメンテナンスと機能向上の推進による稼働率の維持・向上に努めた。

(1) セグメント別概要

物流事業の営業収益は46,852百万円(前期比12.3%増)、セグメント利益は3,199百万円(同1.7%減)となった。前期に新設した「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」が期を通して寄与したことに加え、既存物流施設の稼働率向上、南信貨物自動車(株)の子会社化による輸配送ネットワークの拡充、コンテナ不足による海上運賃の高騰、海上運賃高騰に伴う航空輸送の増加などにより、倉庫保管料、作業料、陸運料及び国際貨物取扱料が増収となった。一方、南信貨物自動車(株)の利益寄与はあったものの、燃料費など営業原価が増加したことにより、セグメント利益は減益となった。

不動産事業の営業収益は6,779百万円(前期比3.4%増)、セグメント利益は2,096百万円(同0.4%減)となった。施工工事の増加に加え、既存施設が相対的に空室率の低い横浜に多かったこともあり、稼働率を維持した。

(2) トピックス
2022年3月期のトピックスとしては、2021年9月末に大田区に倉庫用地を取得し、メディカル物流の拠点となる「(仮称)羽田営業所(羽田メディカルロジスティクスセンター)」として2023年8月に開設する予定である。2021年11月には、既述のとおり南信貨物自動車(株)を子会社化し、既存拠点である首都圏、関西圏、北陸の中心に位置する甲信地区から関東・中京地区に自社輸配送ネットワークを広げた。2022年1月には、日本ビジネス ロジスティクス(株)が医療機器の滅菌包装の加速劣化試験において国際認定「ISO/IEC17025:2017」を取得した。2月には、サステナビリティを巡る各種課題に対する取り組み強化と情報開示を目的に「サステナビリティ推進室」を新設した。また、同月に、ハイブリッドローンで150億円を調達したが、格付機関により一定の資本性が評価されたことで調達額の75%がみなし資本となったため、投資資金調達の一方財務健全性も確保された。このほか、メディカル物流拠点の東雲営業所関連費用が、災害など緊急時にも医療機関への供給を続けられる設備・体制を整備していることから、社会的な課題解決を目的とした「ソーシャルローン」に認定された。4月には、EC物流サービスの拡充に向けた取り組みとして、「大黒営業所」内にECセンターを開設した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

 提供:フィスコ

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