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9119 飯野海運

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17:25 04/26
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決算発表予定日

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飯野海運 Research Memo(1):創業120周年を迎え、安定収益基盤を着実に積み上げ


■要約

1. 歴史ある海運業と不動産業を両輪に永続的安定成長目指す
飯野海運<9119>は、1899年の創業(飯野商会、京都府舞鶴市)以来120年の歴史を誇る海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪として事業展開し、永続的な安定成長を目指している。2019年7月に創業120周年を迎える。

セグメント区分は外航海運業、内航・近海海運業、不動産業としている。2019年3月期売上高構成比は外航海運業76.3%、内航・近海海運業11.1%、不動産業12.6%、営業利益構成比は外航海運業12.2%、内航・近海海運業19.4%、不動産業68.4%だった。海運業の収益は為替、海運市況、燃料油価格などの影響を受けて変動しやすいが、2019年3月期は海運市況が低迷する状況でも、全社利益の約3割を確保した。海運業における同社の特徴・強みは、業界最大級の船隊規模を誇るケミカルタンカーである。特に中東積み石油化学製品の輸送量はトップクラスのシェアを誇っている。不動産業は、新橋田村町地区市街地再開発事業に伴う所有ビル解体などの影響で一時的に収益減少しているが、安定収益源であることに変化はない。

2. 2019年3月期は経常・最終増益、2020年3月期は経常・最終減益予想
2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.3%増の84,843百万円、営業利益が同15.4%減の4,782百万円、経常利益が同1.5%増の4,701百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.4%増の4,685百万円だった。ケミカルタンカーの隻数増加、近海ガス輸送の市況上昇、NS虎ノ門ビルの取得も寄与して全セグメントが増収だった。営業利益は、内航・近海海運業が契約有利更改などで大幅増益だが、不動産業が横ばいにとどまり、外航海運業がケミカルタンカーの市況回復遅れで大幅減益だった。経常利益は為替差損益改善や受取配当金増加で増益、親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産売却益で増益だった。

2020年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比4.9%増の89,000百万円、営業利益が同0.4%増の4,800百万円、経常利益が同12.8%減の4,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.9%減の3,800百万円としている。売上高は新造船竣工による隻数の増加、燃料油価格変動に伴う価格調整条項(BAF)による補填効果、ケミカルタンカーの市況回復などで増収予想である。営業利益はケミカルタンカーの市況回復効果を見込むが、一方で入渠関連費用の増加、不動産業の一時的な稼働減などのマイナス要因を見込み、全体として横ばいにとどまる予想だ。経常利益は営業外収益の受取配当金の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益の船舶売却益剥落で、いずれも減益予想としている。


3. 創立125周年に向けて安定収益基盤積み上げ
海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに方針変更はなく、中期経営計画では、テーマを「バランス経営の推進と先進性への挑戦」(海運業と不動産業の両輪バランス、安定収益と次世代ビジネス、バランスの良い成長目標数値)として、重点強化策には「更なる差別化の追求」「安定収益の磐石化」「次世代ビジネスへの挑戦」を掲げている。中期経営計画の最終年度となる2020年3月期の連結業績予想は、売上高がほぼ目標達成見込みだが、各利益は海運業の市況回復遅れ、不動産業の稼働減などで目標未達の見込みとなった。ただし創立125周年(2024年)に向けて、安定収益基盤を着実に積み上げている。中期的に収益拡大が期待され、ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識した経営にも注目したい。

4. 利益配分は8円~12円の安定配当を目指す
利益配分に関しては、海運業の業績が市況と為替の動向に大きく左右されるため、財務体質の強化と必要な内部留保の充実、及び今後の経営環境の見通しに十分配慮して配当を継続することを基本方針としている。また内部留保の資金については、海運業の戦略分野や不動産業の優良物件への投資、設備の維持・改修、新規有望事業への進出に充当したいとしている。中期経営計画「Be Unique and Innovative.」では、株主還元として年間8円~12円の安定配当を目指すとしている。

■Key Points
・海運業と不動産業の両輪で永続的な安定成長を目指す
・海運業は業界最大級船隊のケミカルタンカー、中長期契約のオイルタンカーやガスキャリア主力
・不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部一等地でのオフィスビル賃貸

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SF》

 提供:フィスコ

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