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8966 平和不リート

東証R
141,700円
前日比
+200
+0.14%
PTS
-円
業績
単位
1株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.2 1.37 4.71 207
時価総額 1,629億円
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平和RE Research Memo(7):サステナブルな投資主還元を目指す(2)


■平和不動産リート投資法人<8966>の中長期の成長戦略

3. 内部成長戦略
内部成長戦略では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」「戦略的な「攻め」の資金活用」を運用方針としている。「高稼働率の維持・向上」としては、スポンサーやPM(プロパティ・マネジメント)会社と連携し適切かつタイムリーなリーシング施策の実施によるテナント需要の取り込み、良質な運営・管理、CS(顧客満足度)対応施策によるテナント退去の防止、ダウンタイム(空室期間)の短縮などを目指す。「賃料増額に向けた取り組み」としては、テナント入替時及び契約更改時における賃料増額や是正を推進する。「戦略的な「攻め」の資金活用」としては、潤沢なフリーキャッシュ及び内部留保の活用によるポートフォリオのブラッシュアップ戦略によって内部成長スピードを加速、バリューアップ工事により需要を喚起してインフレの影響を賃料に転嫁しやすい環境を醸成、先行投資により将来キャッシュ・フローの創出、 獲得したキャッシュ・フローをポートフォリオのブラッシュアップへ循環投資、内部成長によるROAの向上を通じたEPUの持続的成長などを目指す。特に「戦略的な「攻め」の資金活用」は、「NEXT VISION II」の数値目標達成のための重要な戦略との位置付けであり、この戦略の推進によって分配金向上への+αの効果を生み出す計画である。

オフィスの期中平均稼働率は、市場平均を大きく上回る98%台後半で安定的に推移しており、2023年11月期には98.5%(前期比0.6ポイント低下)と一部大口テナント退去の影響を受けたものの、バリューアップ工事の効果を受け期末には埋め戻しの進展により98.6%に上昇し、新規入居によって来期以降の上昇を見込んでいる。また、2期連続での賃料増額改定となり、当決算期は期当たり約5百万円の賃料増額で着地した。来期以降は既に約12百万円の賃料収入増加が見込まれ、拡大基調にある。テナントとの対面による賃料協議によって、更新賃料改定は着実に進展している。また、市場賃料の低下が限定的であることに加え、賃料ギャップ(市場賃料との乖離)を抱える物件の取得により、ポートフォリオの賃料ギャップが拡大していることから、この解消を経営課題として捉え、将来の賃料引き上げにつなげる計画だ。コロナ禍で一時停滞していたテナントの動きは徐々に活発化してきており、特に同REITの主要顧客は中小事業者が中心であることから、テレワーク促進などによる退去の動きは見られないようだ。今後は、従来の状況に回復する可能性が高いと弊社では見ている。

また、レジデンスにおいても、2023年11月期は非繁忙期ながら期中平均稼働率は97.1%と、3期連続して97%超の稼働率を記録した。また、全投資エリアの期中平均稼働率が96%超に転じ、特に東京圏でのリーシングは好調に推移している。オフィスではテナントが原状回復後に引き渡すため期中平均稼働率が高いが、レジデンスでは退去後にオーナーが工事をするため、現在の期中平均稼働率は上限に近い水準のようだ。コロナ禍の影響を大きく受けた2020年11月期(94.6%)からの稼働率回復を目的として、リーシング施策(募集条件の緩和など)を実施したが、2023年11月期には新規賃料、更新賃料いずれも増額で改定し、期当たり約13百万円の賃料収入増加となった。また、礼金取得額・取得率ともに繁忙期である前期と同水準の高い水準を維持している。一方、賃料ギャップが拡大していることから、これを解消して将来の賃料上昇につなげる計画だ。

4. 財務戦略
財務戦略では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を運用方針とする。「財務基盤の強化」としては、有利子負債の長期化と固定化及び満期の分散化を進めることで市場金利変動の影響を受けにくい財務基盤を構築することに加え、AA格の高い信用力を活用した調達コストの引き下げと長期安定投資家の拡大を目指す。格上げに伴い日本銀行、地域金融機関など幅広い投資家層への訴求力の向上、投資口の流動性改善、投資口価格への好影響が期待される。「LTVのコントロール」としては、金融環境に左右されない安定した物件取得、ポートフォリオと収益の持続的な拡大を図る。「資金調達手段の多様化」を図り、公募増資によるエクイティ調達、幅広い業態からなるレンダーフォーメーション、投資法人債など、様々な性格の資金へのアクセスを構築する。また、現在の低金利環境が将来にわたって寄与するよう、「金融コストの抑制」を図る。

同REITでは、既存物件の鑑定評価額上昇、含み益を有する新規物件取得により、含み益額は前期比867百万円増の57,520百万円、含み益率も25.9%と引き続き高い水準を維持している。今後も、鑑定評価額及び含み益額の増加傾向が続き、これを将来の投資主還元の原資やバリューアップ投資の原資として活用する計画だ。また、強固な財務基盤の維持と外部成長を支えるLTVコントロールも継続しており、健全な財務体質を維持するため、安定した償還構造と十分な手元流動性を推進している。2023年11月期の平均調達金利は0.774%と低水準で推移しており、今後も金利の高い借入金の満期が到来し、リファイナンス及び新規借り入れによって調達金利の低位安定を見込んでいる。平均調達年数は7.37年と過去最長を更新し、金利固定化比率は70.8%で前期末水準を維持した。また、借入余力を図る基準としている鑑定LTVは、40.3%の低水準を維持している。鑑定LTVを45%までとした場合、借入余力は240億円となり、同REITの資金調達力は安定していると判断できる。このように強固な財務基盤を維持することで、同REITの今後の成長を下支えすることが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《SO》

 提供:フィスコ

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