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8966 平和不リート

東証R
141,700円
前日比
+200
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PTS
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業績
単位
1株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.2 1.37 4.71 207
時価総額 1,629億円
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平和RE Research Memo(1):「NEXT VISION II」に基づきサステナブルな投資主価値の向上を追求


■要約

平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所が集中し、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。

1. 2023年11月期の業績概要
2023年11月期は、営業収益8,656百万円(前期比7.5%増)、営業利益4,495百万円(同12.0%増)の増収増益であった。ポートフォリオの高稼働と、それを背景とした賃料増額のトレンドが継続した。また、外部成長による収益底上げと、資産入替による含み益の顕在化も好決算に貢献した。その結果、営業収益及び各段階利益はいずれも2023年7月14日に公表した予想を上回って着地した。外部成長としては、2023年6月に公募増資を実施し、それを活用した物件取得と資産入替による譲渡益の計上が大きく寄与した。内部成長としては、オフィス及びレジデンスともに高稼働が継続し、賃料増額改定が大きく進展した。財務運営では、強固な財務基盤を維持し、持続的な外部成長を支えるLTV(保有する不動産評価額に対する借入金の割合)コントロールを継続した。既存物件の賃貸事業利益の増加に加え、継続的な資産入替による譲渡益の計上により、DPU(1口当たり分配金)は3,300円(同140円増)と16期連続で過去最高水準を更新し、NEXT VISIONに掲げる分配金目標を達成した。着実な成長に加え、潤沢な内部留保(57億円)と含み益(575億円)を有することで、継続的な物件取得、財務基盤の安定化、将来の安定的な分配金支払いなどを可能にしている。

2. 2024年5月期と2024年11月期の業績見通し
2024年5月期は、営業収益7,917百万円(前期比8.5%減)、営業利益3,655百万円(同18.7%減)を予想する。既に確定している物件譲渡益を見込むが、今後発生する物件取得や譲渡は織り込んでいない。また、2024年11月期は、将来発生する物件取得や譲渡を織り込んでいないことから、営業収益7,774百万円(同1.8%減)、営業利益3,510百万円(同4.0%減)を見込む。ただ、外部成長の進展、内部成長の実現及び潤沢な内部留保の活用によって、2024年5月期のDPUは3,325円(同25円増)、2024年11月期は3,350円(同25円増)と引き続き過去最高水準の更新を予想している。これらの予想は今後発生する物件譲渡や物件取得は織り込んでおらず、保守的な稼働率やNOI利回りを前提にしていることから、達成可能な水準であると弊社では見ている。

3. 新中長期目標と成長戦略
同REITは、「投資口の流動性向上を推進するステージ」として、前中長期目標「NEXT VISION」では分配金3,300円、資産規模3,000億円、格付AA格、再生可能エネルギー導入割合100%を数値目標に掲げて推進したが、2023年11月期には資産規模を除いて目標を達成した。そこで、2024年5月期からは「サステナブルな投資主価値の向上を追求するステージ」として新たに「NEXT VISION II」を推進し、(1)分配金3,800円(2)資産規模3,000億円、(3)内部成長として賃料収入年率+1%とROI10%、(4)格付AA、(5)2030年までにGHG(温室効果ガス)90%削減(2018年比)と再生可能エネルギー電力100%、を目標に掲げた。目標達成に向けては、外部成長として、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」を目指す。内部成長では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」に加えて、「戦略的な「攻め」の資金活用」を掲げる。財務運営では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を図る。また、投資主還元として、「潤沢な内部留保の還元」「フリーキャッシュの活用」「流動性向上」「含み益の顕在化」を計画する。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の向上にも引き続き前向きに取り組む方針だ。「NEXT VISION II」では、潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によってバリューアップ工事や物件入替によるポートフォリオのブラッシュアップ戦略を推進することで、サステナブルな投資主価値の向上を追求する点に大きな特徴がある。目標達成に向けた意欲的な取り組み及び着実な成果は引き続き投資家に高く評価されると弊社では見ており、今後の進捗状況に注目したい。

■Key Points
・2023年11月期は、物件取得や物件譲渡益が寄与し、予想を上回る決算。DPUは16期連続でスポンサー変更後の最高水準を更新
・2024年5月期・2024年11月期は保守的な予想ながら、外部成長と潤沢な内部留保の活用により、過去最高水準のDPU更新を見込む
・「NEXT VISION II」では、分配金、資産規模、格付け、GHG削減と再生可能エネルギー電力に加えて、内部成長としてバリューアップ投資に注力。分配金の目標達成に向けた意欲的な取り組みと着実な成果は、投資家に高く評価されると見る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《SO》

 提供:フィスコ

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