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8798 アドバンスクリエイト

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アドバンクリエ Research Memo(8):2023年9月期は保険代理店事業がけん引し大幅増収増益を見込む(1)


■今後の見通し

1. 2023年9月期の業績見通し
アドバンスクリエイト<8798>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比40.6%増の16,680百万円、営業利益で同56.2%増の3,220百万円、経常利益で同50.4%増の3,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同50.1%増の1,970百万円と大幅増収増益を計画している。SNSやWebプロモーション、「folder」などを活用した効果的なプロモーション展開により増加する問い合わせに対して、人員増強を図ったコールセンター部門を通じて直営店、提携代理店に送客するほか、オンライン面談を希望する顧客に対してはオンライン相談でも対応し、収益獲得機会を最大化し保険代理店事業の高成長につなげていく。

保険契約件数が増加することによって「保険市場」の媒体価値も一層高まり、メディア事業やメディアレップ事業等の売上高も伸びるほか、再保険事業の規模も拡大することになる。アポイント数については前期比で約1.5倍増を想定しており、提携代理店への送客件数が大幅に増加することで「御用聞き」や「丁稚」の導入機会が増加し、ASP事業も一段と拡大するものと見ている。保険代理店事業の成長により、連鎖的にその他4事業の売上高も伸びる見通しとなっている。

ただし2023年9月期第1四半期(2022年10月~12月)の営業利益については、コールセンター部門の増員に伴う固定費用の大幅な増加や、円安に伴う外貨建て保険商品の解約増によるPV収入の減少、コロナ禍の影響による再保険事業の収益悪化などにより数億円程度の損失を見込んでいる。同第2四半期中には保険代理店事業の売上増に伴い単月黒字化し、その後は右肩上がりに収益が拡大する見通しとなっている。アポイント数の動向を見ると、2022年10月が前年同月比28%増、11月が22%増となり、12月に入ってからも過去最高のアポイント数を記録する日が出るなど人員増強の効果が出始めている。アポイントの獲得から契約成立に至るまでの期間は直営店で約1ヶ月後、提携代理店では2~3ヶ月後となり、売上高もほぼ同様のペースで伸びていくことになる。このため、2023年9月期の業績が計画を達成できるかどうかは、アポイント数が今後どの程度伸びるかがカギを握る。なお、コールセンター部門のオペレータ数はさらに増やし、300名前後の水準を想定している。また、2023年春の新卒社員数は40名程度と前期から10名程度増加する見通しで、2024年春は100名の採用を計画している。

(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の月次動向を見ると、2022年11月は申込ANPで前年同月比3%増と3ヶ月連続のプラスとなった。内訳を見ると、対面販売は同18%減と減少したものの提携代理店が同40%増、非対面販売が同72%増といずれも大きく伸長した。コロナ禍が続くなかで非対面販売が好調を維持する一方、対面販売は2021年10月以降、前年同月を下回って推移している。ただ、アポイント数が増加してきたことから、2022年12月以降は対面販売についても回復トレンドに転じるものと予想される。提携代理店については前年同月の水準が低かったこともあり高い成長率となっているが、同様にアポイント数の増加により同12月以降も拡大基調が続く見通しだ。

PV収入については前年同月比9%減と2ヶ月連続で減少した。申込ANPとのギャップが拡大しているが、為替の影響で外貨建て保険商品の解約が増加したことによる影響が大きい。2022年12月頃まで影響が残る可能性はあるが、為替水準もやや円高方向に戻りつつあることから、2023年以降は影響も小さくなると弊社では見ている。

損害保険分野については、引き続き自動車保険の新規申込件数が好調のようで、2022年11月は前年同月比3倍増の約1,800件と過去最高を更新した。売上高に占める比率は数パーセントと小さいものの、自動車保険の新規契約者に対して生命保険商品も提案するなど顧客当たりの収益最大化に取り組み、保険代理店事業全体の成長につなげる戦略となっている。

アポイント体制の強化については、コールセンター部門の増強以外にも、LINEやSMS、「folder」、アバター、各種マーケティングオートメーション等、先進的なICTを活用しながら顧客に最適なアプローチを行うことで、アポイント獲得の生産性を高める方針だ。なかでも、2022年7月から開始したアバターのアポイント獲得率は、電話問い合わせと比べても2倍以上※となっており、今後のアポイント獲得数の増加に寄与する見通しだ。

※2022年7月の導入以降、問い合わせからの保険相談アポイント獲得率は50%超と電話問い合わせによる獲得率20%台前半の水準を大きく上回っている。


また、オンライン保険相談の生産性についても向上が見込まれる。2020年のサービス開始当初は実面談と比較して生産性が低いという課題があったが、コンサルタントの指名予約制を2022年に導入して以降、生産性が高まっているためだ。初めての保険相談に際しては、どのようなコンサルタントが担当なのか分からないため少なからず不安を感じながら保険相談を行うケースが多い。同社の保険相談予約プラットフォームでは提携代理店も含めて250名超のコンサルタントに関する自己紹介動画やプロフィール、口コミ、予約状況などを確認できるため、顧客の心理的なハードルを解消し、オンライン保険相談でもスムーズに商談が進み、結果的に高い生産性を実現しているものと考えられる。直近ではオンライン相談で最もパフォーマンスの高いコンサルタントよりもアバターが人気を集め、指名数が人間のコンサルタントを上回るといったケースも出てきており、アバターの活用が保険代理店事業の生産性向上につながるものと期待される。

現時点ではアバターで相談から契約締結まで完結できる保険商品は限られているため、コンサルタントすべてがアバターに置き換わることはないが、将来的に法改正によりアバターが販売可能な保険商品の範囲が広がれば、アバターによる保険販売の比重が高まるものと予想され、業界に先駆けてノウハウを蓄積している同社にとってはシェア拡大の好機になると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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