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8137 サンワテクノス

東証P
2,198円
前日比
+4
+0.18%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.9 0.71 4.32 47.94
時価総額 353億円
比較される銘柄
カナデン, 
東エレデバ, 
明治電機工業
決算発表予定日

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サンワテクノス Research Memo(7):地方の中小都市にマイクロ営業所を開設。優良顧客と『新しい密』を構築


■中期経営計画の進捗状況

3. 『グローバル事業を拡大し市場の需要をサポートする』の進捗状況
このテーマでは、2019年8月にベトナム・ホーチミン市に事業拠点を開設し、同国内で2拠点体制として販売体制の強化を図っているが、直近は新型コロナウイルス感染症の影響もあって、目立った変化は見られていない。一方、国内では新たな取り組みとして2019年より試験的にスタートしたマイクロ営業所が一定の成果を挙げたことで、本格的に展開していく動きとなっている。

サンワテクノス<8137>の営業所は、営業スタッフ数名と内勤スタッフ数名で構成されるが、マイクロ営業所は営業スタッフ2~3名だけで、内勤スタッフについては遠隔地でサポートする形態となる。このため、営業所に係る経費や内勤スタッフの人件費を抑えることが可能となる。同社の顧客のなかでは、地方の中小都市でも優良顧客が多く点在しており、こうした顧客とのコンタクトを近隣にマイクロ営業所を開設することでより密にし、取引深耕を図っていくほか、新規顧客の開拓にもつなげていく狙いがある。コロナ禍において、Web商談を行うケースが増えているが、BtoB市場では顧客の要望も千差万別であり、直接面談して話を聞くことで信頼関係を構築し、新たな商談につなげていく場合が多い。実際、四国営業所の顧客からは高い評価を受けており、マイクロ営業所を開設することによるプラスの効果が確認されている。

同社ではマイクロ営業所を開設するに当たっての条件として、住宅兼用ではなくオフィス専用の事務所を設置すること、営業スタッフが2名以上であること、営業所開設に当たっての企画書を開設希望者本人で作成することの3点を挙げており、この3つの条件が揃った段階でマイクロ営業所を開設することにしている。既に長岡(新潟)、甲府(山梨)の開設が決まっているほか、金沢(石川)も検討中(現在、1名で2名になり次第、開設)となっている。同社の国内拠点は24拠点あるが、このうち23拠点は関東以西にあり、東北には仙台に営業所が1ヶ所のみで、4~5名の営業スタッフが東北全エリアをカバーしている状況にある。東北には製造業の工場も多く、現在の体制では十分にカバーしきれなかったが、マイクロ営業所を開設していくことで、カバーしきれなかった地域の顧客開拓が進むものと期待される。同様に、北海道についても現在は営業拠点がなく、将来的にマイクロ営業所で進出する可能性がある。このため、国内市場についてもマイクロ営業所を展開していくことによって、更なる売上成長が期待でき、今後の展開が注目される。


持続的成長を加速するため、マネジメント人材の育成を強化する
4. 『新事業領域へ挑戦し持続的成長を加速する』の進捗状況
『新事業領域へ挑戦し持続的成長を加速する』に当たっては、人材の育成が重要課題であると認識しており、その取り組みを強化していく。特に、マネジメント人材の育成については、「Global Next Leader Training」「100年を描く未来討論会」「ビジョン・中期経営計画策定委員会」などを開催している。また、グローバル事業を拡大していくに当たって、海外拠点において現地スタッフのマネジメント人材を育成・登用し、組織力を強化していく取り組みも進めている。

現在、12ヶ国26拠点に展開している海外現地法人では日系企業が顧客の大半を占めていることから、日本人がマネジメントに携わってきたが、更なる成長に向けて現地スタッフのマネジメント登用による組織力の一段の強化が重要と考えているためだ。連結従業員数が約1千名規模に拡大し、このうち外国籍は400名規模(うち、約半分は中国)となっている。マネジメントスキルを持つ人材を外部招聘するのはコスト的に高いため、グループ内で育成していく方針で、幹部候補生について日本での研修を開始している。マネジメント人材のグローバル化が進めば、現在、売上構成比で10%程度(中国市場では約35%)にとどまっている外資系企業の顧客開拓も進み、海外売上高も一段と拡大していくものと弊社では予想している。


ICTを活用した働き方改革により、持続可能な社会の実現に取り組む
5. 『持続可能な社会の実現への取り組み』の進捗状況
このテーマではICTの活用による働き方改革に取り組んでおり、2018年のICT投資により、テレワーク体制へのスムーズな移行が可能となるなど、その成果が顕在化している。今後もポスト・コロナにおけるニューノーマルな社会環境に対応した働き方改革に柔軟に対応していく方針だ。また、SDGsに関しても、社員の意識を高めるため社内で勉強会を開催するなど、全社的な取り組みとして開始している。


自動車(車載)関連ビジネスの2022年3月期売上高は、会計処理変更により140億円弱目減りするが利益への影響はなし
6. 自動車関連ビジネスの見通し
自動車業界向けのビジネスは、車載電装品向けの電子部品ビジネスと自動車メーカーなどの工場における生産設備ビジネスの2種類に分けられる。このうち、ここ数年飛躍的に伸びてきた車載電装品向け電子部品ビジネスについては、2022年3月期に、売上高が140億円弱目減りする見通しとなっている。電子部品については従来、顧客先からの支給品を売上高、仕入高に同額分含めて計上していたが、2022年3月期より会計処理方法の変更によって支給品は売上計上しなくなるためだ。ただ、営業利益への影響は無く、全体の収益性は見かけ上、向上することになる。2021年3月期の業績見通しを新基準で試算した場合、現行の会計基準と比較して売上総利益率で1.2ポイント、営業利益率で0.1ポイント上昇することになる。従来は、車載関連の売上成長が利益率の低下要因となっていたが、2022年3月期からはこうした影響もなくなる。

2021年3月期における支給品を除いた車載向け電子部品の売上高は、前期比12.8%減の8,778百万円と2期連続で減収見込みだが、既述のように直近では前年同期並みの水準まで受注が回復している。主にADAS関連のビジネスを手掛けていると見られるが、今後も自動車に関してはEV/HEVなど環境対応車の普及拡大、自動運転技術の導入などによって、電装化が一段と進むと見られることから、中長期的に成長トレンドが続くものと弊社では考えている。支給品を除いたベースでの売上高構成比は約8%となり、FA・産業機器業界、半導体・液晶業界に次ぐ売上構成比を占めるだけに、今後も同社の成長を支えていく主力分野の1つとして期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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