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8119 三栄コーポレーション

東証S
2,495円
前日比
+7
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 0.52 0.80
時価総額 63.7億円
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決算発表予定日

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三栄コポ Research Memo(1):2019年3月期業績予想は売上440億円、経常利益8.5億円に下方修正


■要約

三栄コーポレーション<8119>は、70年以上の歴史を持ち高付加価値品を主に取り扱う商社である。生活関連用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛け、海外には19ヶ所の拠点、国内直営小売店84店舗を持つ。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表されるこだわりある商品のOEM調達など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。家具・家庭用品事業(売上高の49.0%)、服飾雑貨事業(売上高の33.2%)、家電事業(売上高の13.2%)の3事業が柱である。

1. 事業内容
同社最大の事業セグメントが、家具・家庭用品事業である。この事業は、OEMの比率が高く(売上高の約93%)、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。2013年3月期に17,007百万円だった売上高は2017年3月期に27,431百万円まで成長、直近は欧州顧客の大口のスポット受注のはく落や米国量販店向けの縮小などが影響して減収傾向だが、今後も大黒柱であることは間違いない。成長著しいブランドとして、自社のeコマースブランド「MINT」がある。また、2017年10月より家庭用品の新規ブランド「Villeroy & Boch(ビレロイ&ボッホ)」の取扱いを開始。創業270周年を迎えるドイツのテーブルウェアの老舗ブランドであり、百貨店や専門店、ホテル、レストランに販路を持つ販売事業を受け継いだ。ブランド入替や経費削減などを先行しているため業績への貢献には時間がかかっているが、家庭用品事業のコアブランドとしてじっくり育てる方針だ。

服飾雑貨事業ではブランド事業の存在感が高く(売上高の約57%)、収益性の高いセグメントである。同社最大のブランドであるビルケンシュトックは子会社(株)ベネクシーが運営する。ドイツで240年以上の伝統がある機能美に優れたコンフォートサンダル・シューズブランドであり、1万円前後の価格帯にもかかわらず熱いファン層に支持されている。直営の62店舗とeコマースで販売され、長く使う顧客が多い商品だけに自社運営のアフターサービスも充実している。一時期のブームが落ち着いたことや、グローバルの価格引上政策の影響で直近は減収減益傾向にある。キプリングは1987年にベルギーで誕生したナイロンバッグのブランドであり、キプリングモンキー(猿のマスコット)とともに遊び心のあるカジュアルブランドとして世界的に有名である。同社では直営12店舗、全国有名百貨店(約60店舗)での取扱いを行う。今期新たな販路開拓により好調に推移する。

2. 業績動向
2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の20,842百万円、営業利益が同96.2%減の29百万円、経常利益が同87.4%減の107百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が12百万円(前年同期は487百万円の利益)となり、減収減益となった。売上高の約7割を占めるOEM事業において、欧米向けの家庭用品の販売が大幅に減少したことが減収減益の大きな要因となった。このうち欧州向け取引は、プロモーション(景品)向けの大型入札案件を顧客企業が失注。北米向けは、顧客である量販店がアマゾン(アマゾン・ドット・コム<AMZN>)に代表されるeコマース企業に市場を侵食されるなかで、同社の採算が取りにくくなったことによる販売縮小だ。また減益の要因として、子会社ベネクシーの減収と粗利率低下がある。主力ブランドのビルケンシュトックで、数年前から始まった北米発のブームが減退。また、グローバルの価格政策の中で日本市場では価格引き上げが行われたことによる減収、原価及び経費の増加が減益につながった。

2019年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比1.6%減の44,000百万円、営業利益が同49.5 %減の850百万円、経常利益が同53.6%減の850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同52.0 %減の400百万円と減収減益に下方修正された。売上高予想に関しては、前期並みに修正された。上期に発生した家具家庭用品事業の欧米市場における減収のマイナスを服飾雑貨事業と家電事業の増収で埋める形だ。服飾雑貨事業で好調が見込まれるのが国内外のOEM事業、及び新たな販路開拓に成功したキプリングだ。家電事業ではOEM事業がけん引し増収確保を見込む。営業利益予想が期初予想から大幅に減少した。前期と比較して、大きく減益になるセグメントは家具家庭用品事業であり、556百万円の営業減益となる。上期からの欧州及び北米市場での販売低迷とともに、マレーシアでの家具工場設立のための先行投資も重なった。服飾雑貨事業の減益幅は小さいが、主力ブランドであるビルケンシュトックのブーム減退・価格引き上げによる販売減と経費増加が大きく影響する見込み。総じて、欧米市場では外部環境が悪化し販売が減少したが、国内市場・顧客は堅調に推移しており、修正計画からのぶれは小さいと考えられる。

3. 成長戦略・トピック
同社は、主要事業の1つである家具事業の強化を図るべく、マレーシアに家具インテリアの製造工場を設立し、2019年初めより稼働する予定である。同社は日本を始め世界各地に家具の顧客を持ち、そのリクエストに応える品質、納期の確保のため、日々製造現場 に入り込み製造のノウハウを蓄積してきた。このノウハウを更に活用し、加えて次のビジネス開拓の為の開発力、機動力も向上させるため、家具インテリア工場の自社運営への進出を決定した。なお、同社では、中国・広東省に家電製品を製造する工場を30年にわたり運営しており、工場運営の実績もある。投資額は5億円程度、数年後には売上規模で20億円程度を見込んでいる。

4. 株主還元策
同社では、安定的かつ継続的な配当実施と企業体質強化のための内部留保を踏まえつつ、配当性向30%程度を目途に配当する方針である。2019年3月期は第2四半期末が配当金60円(前年同期同様)となり、期末の配当金は100円(前期同様)、年間160円を予想する。業績は下方修正されたものの、前期と同じ年間160円を維持するため配当性向は93.8%と高くなる。なお、同社は過去21年間連続して、増配または配当維持をしている。商社という業種の特性上、業績に上下はあるが、業績が悪い時でも安定した株主還元を行う企業姿勢を高く評価したい。

■Key Points
・主力の家具・家庭用品事業では国内外大手顧客向けOEMが柱、新ブランド「ビレロイ&ボッホ」を立ち上げ中。服飾雑貨事業では「キプリング」が好調
・2019年3月期業績予想は売上440億円、経常利益8.5億円に下方修正。欧州及び北米での販売減少、子会社ベネクシー値上げ響く。マレーシア新工場へ先行投資
・マレーシアに家具インテリアの新工場設立。特許技術の電動歯ブラシ「ION-Sei」や “環境配慮”時計ブランド「カーブホルツ」などに期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《MH》

 提供:フィスコ

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