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8007 高島

東証P
1,098円
前日比
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単位
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PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 195億円
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高島 Research Memo(6):2023年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益で1,400百万円を目指す


■中長期の成長戦略

1. 戦略的投資により持続的成長企業へ
高島<8007>は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナX」を発表している。同計画では、前回版である「サステナ2020」の基本戦略「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」は踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によってバリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進していく。長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図っていくことを目標として設定している。

具体的には、省エネ化ソリューション・軽量化ソリューション・省力化ソリューションの提供を通して持続可能な社会の発展に貢献していくこと(ダントツ戦略のさらなる進化)が挙げられる。内部統制・コンプライアンス体制を堅持しつつ、業務全体の見直しとシステム化などによって生産性の向上とコスト削減を積極的に図ること(生産性の向上による強靭なコスト競争力獲得)、「コーポレートガバナンス・コード」の諸原則も踏まえ、より充実した「攻めのガバナンス」体制構築に向けて継続的に取り組む(コーポレート・ガバナンスの強化)。こうした各種施策によって、最終年度である2023年3月期には親会社株主に帰属する当期純利益を1,400百万円に押し上げることを計画している。

また、同社は2021年11月、東京証券取引所の市場区分の見直しに対応し、上場維持基準の適合に向けた計画書を提出した。同計画書では、資本コストを意識した戦略的投資の実行による持続的成長と株主還元のさらなる充実を目指す経営方針を発表し、2026年3月期をゴールとして親会社株主に帰属する当期純利益15億円、ROE8.0%、ROIC6.0%を目指すことを明らかにしている。次期中期経営計画に関しては2023年3月末までに公表する予定となっているが、これらの方針が土台となって骨子が作成されるものと考えられる。

2. 上場維持基準の適合に向けた取り組みと進捗状況
同社では、2026年3月期末までにプライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換を実行している。前述の計画書の下で同社は、数値目標として2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益15億円、ROE8.0%、ROIC6.0%、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を設定している。この目標を達成するために「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から企業価値と株主価値の向上を実現していく構えだ。

(1) 資本配分方針・投資リターンを伴う持続的な利益成長・株主還元策の充実
これまでの事業活動の結果、現在の財務基盤は安定したものになっていることから有利子負債などの外部資金を活用した投資による利益創出と株主還元の充実を図っていくことを計画している。具体的には投資枠として70億円を確保する。ROICを意識しながら注力領域を中心に設備、人財、ITシステムなどへの投資、各事業の周辺領域及び新領域でのM&Aに資金を振り向け、事業構造改革とカーボンニュートラル社会到来を見据えたビジネスチャンスへの戦略的アプローチを行っていく方針だ。同方針の下、2022年4月には(株)日産ユーズドカーセンターと中古EV、V2Hの販売において協業を発表している。また、株主還元においては中間配当を2023年3月期より実施するほか、連結配当性向を40%以上にすること、機動的な自己株式の取得・消却を実施すること、総還元額の下限を5億円に設定することにより総還元性向50%を目指している。

(2) IR体制の確立
IR体制の確立においては、機関投資家(特に中小型株・バリュー投資型アクティブファンド)・アナリストを対象に「資本市場での認知度向上」「投資家の理解促進」「適正な株価形成」「適正な株主構成形成」を目的としてコミュニケーションの質と量を充実させることを計画している。具体的には、2022年1月にIR・広報ユニットを新設し、投資家向けミーティングの開催や投資家向けイベントへの参加などを実施している状況だ。また、2022年3月期分より決算短信、決算説明会資料、株主通信、統合報告書を日本語と英語で開示している。その他、2022年6月にはホームページのリニューアルを実施した。

(3) コーポレートガバナンス・コードへの対応
日本取引所グループが2021年11月に実施したコーポレートガバナンス・コードの改訂に併せて、同社は積極的な対応を行っている。サステナの先進商社として省エネ化、軽量化、省力化をキーワードに事業を展開しているほか、持続可能な開発目標(SDGs)に対応した経営をさらに進化させるべく「サステナビリティ委員会」を設置(2022年1月)した。加えて、SDGsの各目標と自社の事業を関連付けること、気候変動に係るリスク及び収益機会が同社事業に与える影響をTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠した形で開示することを計画し、2022年6月に発行した統合報告書にてその内容を開示した。また、議決権電子行使プラットフォームの導入、各種開示資料の英文開示も始めている。さらに、政策保有株式については、保有する合理性がない、または保有する意義が希薄化した銘柄に関しては速やかに売却することを基本方針として掲げ、流通株式比率の向上に取り組んでいる。

こうした活動によりプライム市場の上場維持基準への適合が進むことに加えて、株式市場での同社に対する注目の高まりと、資本効率を意識した事業活動による企業価値のさらなる向上が期待できると弊社は考える。実際、2021年6月30日時点と比較して、2022年3月31日時点の流通株式時価総額は47.9億円から63.4億円、流通株式比率は59.7%から60.1%、1日平均売買代金は683万円から3,855万円へと改善し、流通株式数のみ27,185単位から27,058単位へと小幅に下回ったにとどまる。特に流通株式時価総額、1日平均売買代金の伸びが大きいことが特長として挙げられよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《ST》

 提供:フィスコ

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