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【特集】40年度に69万人足りない!人材不足ニーズ追い風に「介護テック」は拡大へ <株探トップ特集>

介護業界は深刻な人手不足に直面しているが、労働人口が減少傾向にあるなか、介護職員を大幅に増やすことは難しい。そこで関心が高まっているのが、テクノロジーを活用する介護テックだ。

―高齢化社会をサポート、テクノロジー活用が問題軽減の活路に―

 7月28日に米商務省が発表した4~6月期の米実質国内総生産(GDP)速報値が2四半期連続でマイナス成長となったほか、8月1日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した7月の米製造業景況感指数が2ヵ月連続で低下するなど、米国の景気後退を示す経済指標が相次いでいる。また、ペロシ米下院議長が2日に台湾を訪問したことを受けて中国が軍事演習を開始し、地政学リスクが高まっていることもあり、2日の米主要株価指数は続落した。

 この日の日経平均株価は円安・ドル高の進行を支えに反発したが、今後も米景気の動向などを見極めようと神経質な地合いが続く可能性があり、物色対象は絞りにくい。こうした局面では長期的なテーマを見直してみるのも一手で、その一つが団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を控えて深刻化する介護業界の人材不足。労働人口が減少傾向にあるなか、介護職員を大幅に増やすことは難しく、そこで注目されるのがテクノロジーを活用して課題解決を支援する「介護テック」関連株だ。

●深刻化する介護職員不足

 厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)が7月25日に開いた介護保険部会で提示された資料によると、今後必要となる介護職員数は23年度に約233万人、25年度に約243万人、40年度に約280万人になると試算されている。これは介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する介護職員の必要数に、介護予防・日常生活支援総合事業のうち介護予防訪問介護などに相当するサービスに従事する介護職員の必要数を加えたもの。19年度の介護職員数約211万人と比較すると、23年度は約22万人、25年度は約32万人、40年度は約69万人が不足するという。

 厚労省が7月29日に公表した6月の一般職業紹介状況で、介護サービス職業の有効求人は21万4082件、有効求職者は6万819人、有効求人倍率は3.52倍と高止まりしている。政府は介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受け入れ環境の整備など総合的な人材確保対策に取り組んでいるが、人材不足の問題は依然として残ったままだ。こうしたなか、介護ロボットや情報通信技術(ICT)を活用して足りない人手を補う動きが広がっており、関連銘柄の動向に目を配っておりたい。

●成長市場睨み取り組み続々

 FRONTEO <2158> [東証G]はこのほど、介護施設向け転倒転落予測AIシステム「Coroban Care」を発売した。同社は電子カルテに記載された看護記録から入院患者の転倒転落リスクを予測してアラートを表示する医療機関向けの転倒転落予測AIシステム「Coroban」を19年から販売しており、今年2月の新機能開発で介護記録に基づく利用者の転倒転落予測解析が可能となった。今後もAIシステムの研究開発を通じ、医療・介護現場の課題解決に向けたソリューションの提供に取り組む構えで、その動向に注目しておきたい。

 また、直近では大塚商会 <4768> [東証P]が、介護事業者で導入されている見守り IoT機器やナースコール、記録システムなどを束ね、科学的介護の実現に向けたデータ収集・蓄積の基盤づくりを支援する介護業務支援プラットフォーム「FURO-SHIKI」の提供を開始した。これは複数の見守りIoT機器やシステムを使っていても一元的に利用者の状態を把握することが可能で、厚労省が推進するICT化による生産性向上や介護従事者の職場環境の整備を進めることができるという。

 イーエムシステムズ <4820> [東証P]は7月、介護・福祉事業所向け業務支援システム「MAPs for NURSING CARE」を発売すると発表した。このシステムは「クラウドシステムの提供、導入作業軽減・入力業務の効率化」「業務負担を軽減できるツール類の提供」「医療と介護・福祉の情報連携の実現」「他社に向けた低価格でのOEM提供」の4つが特長だとしている。

●エクサWizなどにも注目

 このほかでは、エクサウィザーズ <4259> [東証G]に注目したい。同社はAIを利活用したサービスによる社会課題の解決に取り組んでおり、5月には介護・福祉・医療・保育事業向けソフトウエアの開発・販売を手掛けるケアコネクトジャパン(静岡市駿河区)と業務提携した。同社のAI技術と、ケアコネクトジャパンが持つ介護ビッグデータを生かすことで、介護現場をアシストし、ADL(日常生活動作)維持や自立支援促進などの成果につなげる新システム創出に向けて共同開発を行うとしている。

 HYUGA PRIMARY CARE <7133> [東証G]も介護テック関連の一角として要マークだ。同社の「Primary Care Robot」は、手首にバイタルバンドを装着することで、SPO2(経皮的動脈血酸素飽和度)、血圧、体温、心拍のバイタル情報を取得できる業務支援システムで、介護従事者の負担を軽減することが可能だ。

 BCC <7376> [東証G]は、IT営業アウトソーシング事業とヘルスケアビジネス事業を展開。同社では個人・自治体・医療機関・介護施設・企業をデータでつなぎ、ビッグデータの構築と産学連携でのAI解析によるヘルスケアのデジタルトランスフォーメーション(DX)実現をサポートしているほか、医業向けにITサポートなどを提供するジーワン(東京都渋谷区)に出資している。

 これ以外では、睡眠見守りシステムやサービス配膳ロボットを提供するテクノホライゾン <6629> [東証S]、装着型ロボットスーツ「HAL」を展開するCYBERDYNE <7779> [東証G]、介護サービス統合管理システム「KitFit SilverLand」を手掛ける都築電気 <8157> [東証P]、コミュニケーションロボット「PALRO」を高齢者福祉施設などに販売する富士ソフト <9749> [東証P]などのビジネス機会も広がりそうだ。

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