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6890 フェローテク

東証S
2,935円
前日比
-20
-0.68%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.2 0.66 3.41 80.60
時価総額 1,383億円
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決算発表予定日

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フェローテク Research Memo(10):新中期経営計画を発表。2024年3月期営業利益250億円が目標(2)


■フェローテックホールディングス<6890>の中長期の成長戦略

(5) 再生ウエーハ
同事業の立ち上げは2022年3月期中を予定している。ウエーハ事業のリソース、洗浄事業のノウハウを転用する。被膜除去プロセスは、パートナーと技術提携する予定となっている。今後の予定としては、竣工が2020年11月、試作開始が2021年4~6月、量産開始予定は2021年10~12月となる。中国半導体国産化の加速によりウエーハ再生需要が急増しており、12インチを中心に旺盛な顧客需要に対応するため、第1期の月産能力を6.5→12万枚に増強(投資額:78.5→140.2億円)。最終的に20万枚を想定している。

再生ウエーハの生産増強に当たっては、2020年12月に実施した第1回目と2021年3月の第2回目を合わせて、計11.4億円(7.1億人民元)の増資を実施した。再生ウエーハ子会社の安徽富楽徳長「江半導体材料股フン有限公司」の資本金(増資後)は、189.9億円(12.1億人民元)となる予定である。この結果、同社グループの株式保有比率は、70.0%→41.3%に低下する見込みで、複数の政府系ファンドの出資比率が増加する予定となっている。

(6) 半導体ウエーハ(非連結)
子会社株式を売却したため非連結(持分法適用)の事業となった。現在、6インチについては足元での需要は堅調に推移し、2021年度も月産42万枚体制を維持していく。8インチは自社での直販体制を強化中である。上海・杭州にて2022年3月期中に月産35万枚体制へ(設備能力は月産45万枚体制を保有)、12インチは月産3万枚体制から段階を踏み10万枚へ移行する計画である。まずは2022年3月期末に月産7万枚体制を目標とし、2023年3月期中には20万枚体制を構築予定である。設備投資資金は中国内での第三者割当増資を活用する。拠点としては、銀川でインゴット、上海と杭州でウエーハを生産していく。

(7) SiC(炭化ケイ素)ウエーハ
2020年10月安徽省銅陵市に中国科学院上海硅酸塩研究所(SICCAS)、政府・民間系ファンドとの合弁会社を設立し、SiC(炭化ケイ素)事業に参入した(同社グループ出資比率:31.5%)。中国での最先端半導体(第三世代半導体)として今後の市場成長が期待されるSiC単結晶のインゴット、ウエーハの開発、製造に取り組んでいく。計画では2021年内に竣工・設備納入・試作開始の見込みである。

SiC(炭化ケイ素)単結晶の技術的な課題として、結晶育成(大口径化)、基板化加工、電気特性制御、結晶欠陥制御などの技術的難易度が高いことが挙げられる。欧米、日本の一部企業が量産化を実現しているが、中国では電気自動車などの自国需要が増大することから国産化を実現したいという狙いがある。同社が合弁会社で当該事業に取り組む背景には、1)同社グループ:半導体Si単結晶事業で培った欠陥制御技術、装置製造技術、CVD-SiC(半導体製造装置向け治具)事業を通じたSiCに対する知見と顧客基盤を保有、2)SICCAS:中国トップクラスのSiC研究機関で知財及び人材を保有、3)資金調達において、政府・民間系ファンド、政府補助金サポートを受け易い、といった要因がある。

(8) サーモモジュール
サーモモジュールはさらなる事業領域、用途拡大を目指す。2024年3月期までの3年で40.4%増収目標としている。前述のとおり同社は、ロシアRMT(超小型・多段モジュールに強い)の子会社化で、通信分野などの高付加価値モジュール技術の取り込みを狙う。またカドーとの提携で、温度管理技術を活用したコンシューマー製品の投入を検討しており、現在は肌着やジャケットに温度調節用途としてサーモモジュールの採用が進行している。今後ウェアラブル用途での需要拡大が顕著になる見込みである。

(9) パワー半導体基板
世界的な消費電力削減のトレンドの波に乗り、順調に拡大している。パワー半導体市場は、同社資料によると2030年に4.2兆円と予想しており、2024年3月期までの3年で191.1%の増収目標としている。中国内でのシェアが拡大していくにつれ、グローバルメーカーからの認定取得数も増加している。現在の顧客は、主に欧州、日本、中国となっている。

現在、家電・産業機器向けDCB基板、自動車向けなどのAMB基板を増産対応している。江蘇省東台のパワー半導体基板工場は生産能力を拡大中で、2022年3月期以降も増収の見通し。月産能力は、上海・東台工場DCB基板60万枚を2021年内に100万枚へ、AMB基板10万枚を同20万枚へ増加させる計画である。さらに高耐熱・高強度のDPC基板を投入し、光通信やパワーLED製品等への展開も強化していく。また将来的には、江蘇省東台市の子会社を中国市場に上場させることを検討しているとしている。

4. 設備投資計画
同社は、事業成長・利益成長実現ために成長投資を継続していく。今後3年間の設備投資は950億円を計画しているが、この内、550億円を短期・中期の収益貢献に投資する。具体的には、半導体分野、電子デバイス等を中心に、市場拡大機会を捉えて生産能力増強に向けた投資を行っていく。残りの400億円は、長期的に収益貢献となる分野へ投資する。具体的には、半導体分野の製品レンジ拡充、EVや新エネルギー車関連、新たな柱となる事業への投資などだ。M&Aは投資機会により変動するが、ROIC3年以内に5%以上を目途として検討する。

一方で資金調達は、2024年3月期までの3年間の営業キャッシュ・フローを650億円と見込んでいるが、親会社株主に帰属する当期純利益をKPI化することで利益増加を積み上げ、さらに投資水準を管理、投資リターン・ROIC管理を強化していく。さらに中国市場における戦略的・長期的な投資、新規事業に対して中国資本の導入を検討する。加えて、洗浄、パワー半導体基板、シリコンパーツ・石英坩堝関連の子会社は、中国市場でのIPOによる資金調達を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《NB》

 提供:フィスコ

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