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【特集】米早期利上げ懸念が急浮上、日経平均株価の下値はどこか <株探トップ特集>

市場には米国の22年利上げ開始観測が浮上し、週明けの日経平均株価は大幅安となった。ただ、市場には「来年の米利上げ観測は前のめり過ぎる」とみる声も少なくない。

―米ゼロ金利政策は転換点迎える、夏場にかけ神経質な展開続く―

 「米国に早期利上げ懸念が浮上」――。21日の東京市場は米国の金融政策変更に向けた警戒感から、日経平均株価は一時1100円を超す下落を記録した。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、予想以上に利上げに前向きなタカ派色が濃い内容となり、更に週末には米連邦準備制度理事会(FRB)の高官発言でNYダウは大幅安となった。週明けの東京市場はNY波乱の直撃を受けた格好だが、市場には夏場に向け警戒感が強まる状況は続く、との見方も浮上し始めている。

●米ブラード総裁発言を機に金融市場は波乱状態

 21日の日経平均株価は前週末に比べ953円安の2万8010円と今年2番目の下げとなった。下げ幅は一時、1100円を超し2万8000円台割れに売り込まれる場面もあった。震源地となったのは米国だ。18日にセントルイス連銀のブラード総裁が「FRBは2022年にも最初の利上げをするだろう」と発言をしたことが、衝撃を与えNYダウは前日比533ドル安と急落した。市場関係者からは「NYダウと米ドルの買いポジションのアンワイド(巻き戻し)の動きが強まっているのでは」(アナリスト)との見方も出ている。

●22年の米利上げ開始予想に警戒感高まる

 いま金融市場で最も高い関心を集めているのが、米国の金融政策の行方だ。足もとではゼロ金利政策と量的緩和が続けられているが、米国の景気回復機運の高まりもあり、「テーパリング(量的緩和の縮小)開始はいつか、利上げはいつから始まるのか」が焦点となっている。

 これまでの市場コンセンサスは「22年から1年をかけてテーパリングを実施。利上げ開始は早くて23年後半あるいは24年」というものだった。しかし、16日のFOMCでは「23年に年2回の利上げ」の可能性が示され、パウエルFRB議長も「テーパリングの議論を始めた」と語った。市場には、予想以上にタカ派色が濃いとの警戒感が強まったところに、ブラード総裁による22年の利上げ開始によるゼロ金利解除のタカ派発言が飛び出し一段と警戒姿勢が強まった格好だ。

●22日のパウエル議長発言で潮流に変化あるか

 テーパリングに関しては、現在も8月頃の米ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が時期を示唆し、22年いっぱいをかけ終了させるとの見方が多い。それだけに「たとえ22年末としても、23年より前の利上げ開始の見方は前のめり過ぎる」(アナリスト)との声は少なくない。特に、足もとで米国の雇用が伸び悩むなかでは、早期利上げは説得力に欠けるとの声もある。

 とはいえ、米景気指標は強く今後一段の改善が示されれば、一気に米金融政策の転換観測は強まる状況にある。その意味で、今週から来週にかけて米国では重要イベントが相次ぎ、その結果は要注目だ。まず、22日にパウエルFRB議長の議会証言が予定されており、相場に変化をもたらすかが注目されている。また、25日に米金融当局が重視する米個人消費支出(PCE)デフレーターが発表される。

●日経平均2万7500円前後が当面のメドか

 パウエルFRB議長の発言に関しては「ハト派姿勢が示されるのでは」(第一生命経済研究所・桂畑誠治主任エコノミスト)との観測がある。ただ、週末のPCEデフレーターに加え来週も7月1日の米6月ISM製造業景況感指数や2日の米6月雇用統計といった重要経済指標の発表が相次ぐ。このため、当面は米国情勢が注視され神経質な展開が続くとみられている。もっとも、「日本株は2月からの調整局面にあり、NYダウに比べ下げ余地は小さいだろう。日経平均の下値は2万7500円前後だと思う」(証券ジャパン・大谷正之調査情報部長)との見方もある。

 金融市場は波乱状態にあるが、市場関係者からは「まだ完全なリスクオフに入ったわけではなく、投資家のセンチメント(心理)が落ち着けば株式市場は再び上昇基調に入ることは期待できる」との見方も少なくない。

■第一生命経済研究所・主任エコノミスト、桂畑誠治氏

 FRBの金融政策に対する警戒感がリスクオフ相場をもたらした格好となっている。直近、米株市場の下げを助長したセントルイス連銀のブラード総裁は物価統計を重視する傾向があり、22年のインフレ率を高めにみていることで22年中の利上げの可能性に言及したが、これは人によって見方の分かれるところだ。その意味で今週に相次ぐ連銀総裁の講演内容に注目が集まりやすい。あすのパウエルFRB議長の議会証言では、ハト派色の強いコメントが予想され、全体相場はいったん落ち着く可能性がある。ただ、25日に予定される5月の個人所得・個人消費支出(PCE)でコアデフレーターが予想数値を上回るようだと再び相場は軟化するケースも考えられる。

■証券ジャパン・調査情報部長、大谷正之氏

 今日の日経平均株価の下落幅のうち、500円程度はレバレッジ型ETFのヘッジ売りなどに絡む需給面の要因もあったと思う。ただ、当面は米国市場の状況に一喜一憂する展開が予想される。日経平均株価の下値は5月13日安値(2万7385円)や200日移動平均線(2万7141円)などが意識される。5月の急落時は直近高値から2000円ほどの下落で下げ止まっており、今回も2万7500円前後が下値メドとなるのではないか。日本株は2月以降、調整しているのに対して、米国はNYダウやナスダック指数が最高値圏にある。NY市場はそれなりの押しも予想されるが、日本株の下げは相対的には限られたものになる可能性があると思う。

株探ニュース

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