【北浜流一郎のズバリ株先見!】
「突風的急落からの蘇生を狙う!」
●イエレン議長が抱えるジレンマ
最近の東京市場は常に大きなイベント待ちだ。現在待っているのは9月16日から17日にかけて開催される米国のFOMC(連邦公開市場委員会)になる。
市場の関心はただ一つ。FRBが利上げの実施に踏み切るか。これになり、大方の予想は「9月実施はない」ではあるものの、結果を見るまでは安心できない。こうなるため、目先積極的な買いは手控えられてしまうのはやむを得ない。
私の予想は10月実施だが、先日トルコのアンカラで開催されたG20では、参加国の多くから、米国が検討している利上げに対して、それが世界経済に及ぼすリスクについて懸念が示された。
それを直接聞いたイエレン議長としては、さすがに9月実施はできないだろう。かといって、いつまでも先延ばしするわけにいかず、引き上げ時期の決断に悩み続けることだろうが、東京市場にとっては早く引き上げてくれた方がよい。
利上げ時期を巡る思惑の対立という攪乱要因が消えてくれることになるからだ。それに付随して為替市場で円も対ドルで下がりやすくなる。
●9月はやはり年末相場のスタート月
しかし、実際には9月利上げ実施は見送られる確率が高いのだから、円の下落も見込めない。こんな芳しくない状況が続いてしまう恐れがあるが、その一方で期待材料がある。
8月12日から9月8日にかけての急落で、多くの銘柄が徹底的に売り込まれてしまったことで、さすがに見直し買いが入りやすくなっている。これになる。もちろん、下げたから買われるということにはならない。しかし、増収増益基調を保っている企業の場合、突風的な急落に見舞われても、また蘇生するのが市場の一種の慣行だ。今回もそうなる可能性は高い。
それに今回の下げは、超高速のアルゴリズム取引によるところが大きく、そのマイナス面がストレートに出たもの。今後はプラス面が出ることも考えられる。これらを考え合わせると、これまで繰り返してきたように「9月は年末相場のスタートの月」という考え方に変わりはない。
そこで、次のような銘柄に注目だ。売られ過ぎと思える銘柄を中心に、まずはマツキヨHD <3088> 、大陽日酸 <4091> 、ユニチャーム <8113> 、シスメックス <6869> 、そしてHOYA <7741> だ。
新興市場にも目を向けると、みんなのW <3685> [東証M]になる。なお、こちらは大きく売り込まれたわけではなく、高値圏で浅い押し目を入れたところだ。
2015年9月11日 記
●北浜 流一郎(株式アドバイザー)
慶応大学商学部中退後、コピーライター、週刊誌記者、作家業を経て株式アドバイザーへ。マネー誌、証券紙などの株式欄を担当し、ラジオ番組でも活躍。
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