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6727 ワコム

東証P
710円
S高
+100
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PTS
700円
23:48 05/10
業績
単位
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PER PBR 利回り 信用倍率
16.6 2.87 2.82 10.87
時価総額 1,079億円
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ワコム Research Memo(6):2023年3月期は大幅な増収・営業増益を見込む。積極的な研究開発投資も進める


■業績見通し

1. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績予想についてワコム<6727>は、売上高を前期比17.7%増の128,000百万円、営業利益を同5.2%増の13,700百万円、経常利益を同4.5%減の13,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同6.9%減の10,200百万円と大幅な増収及び営業増益を見込んでいる。

もっとも、同社の業績予想は、ベースライン・シナリオ(下振れリスクを最小化した保守的な前提)に基づいており、1)「テクノロジーソリューション事業」において、主要部品の調達リスクを一定程度考慮、2)「ブランド製品事業」において、ロシア・ウクライナ情勢に鑑み同地域への直接的な出荷による売上は未計上※、3)テクノロジー・リーダーシップ推進のため積極的な研究開発投資を想定、4)販管費の最適化は継続する、などが前提となっている。

※もっとも、両国への売上高は連結売上高の約1%程度にすぎない(2022年3月期実績)。また、両国に事業拠点を有していない。


売上高は、「ブランド製品事業」及び「テクノロジーソリューション事業」がそれぞれ伸長する想定である。「ブランド製品事業」は、下期を中心とした製品ポートフォリオの強化が増収に寄与する。特に、ハードだけなくソフト(サービス)も含めた価値提供により、ハイエンドだけでなく、エントリーからミドルゾーンを含めた全体の強化を図っていく方針であり、教育やワークフローDXにもつながるようなサービスも含まれているようだ。一方、「テクノロジーソリューション事業」は、生産サプライチェーンにおける主要部品の調達リスクを一定程度考慮しつつ、主要顧客との関係を維持・発展させるとともに、デジタルペンの新たなユースケースの開拓と実装にも取り組む方針である。また、大幅な増収となるのは、為替(円安)の影響※も含まれている。

※想定為替レート(通期平均)は、1米ドル=120円(前期の通期平均レート比7.1円円安)、1ユーロ=132円(同1.0円円安)、1中国元=18.8円(同1.2円円安)を前提としており、売上高を前期比で約62億円押し上げる要因と見ているようだ。


損益面では、増収による収益の押し上げや為替(円安)の影響※、販管費の最適化等を通じて営業増益を実現するものの、将来に向けた研究開発投資の拡大や減価償却費の増加(製品量産金型等)のほか、原材料費・物流費の高騰を織り込み、営業利益率は10.7%(前期は12.0%)と若干低下する想定となっている。なお、研究開発費は前期比22%増の約67億円、減価償却費は同19%増の約17億円を見込んでいる。

※為替(円安)の影響により営業利益を前期比で約8億円押し上げる要因と見ているようだ。


事業別の業績見通しと活動方針については以下のとおりである。

(1) ブランド製品事業
売上高を前期比19.7%増の63,000百万円、セグメント利益を同3.3%増の9,000百万円と見込んでいる。下期を中心とした製品ポートフォリオの強化が増収に寄与する想定である。損益面では、増収により増益となるものの、将来に向けた積極的な研究開発投資(製品ポートフォリオの強化やVR/MRデザインに対応した3Dデザイン機能等の開発を含む)によりセグメント利益率は14.3%(前期は16.6%)に低下する。

(2) テクノロジーソリューション事業
売上高を前期比15.8%増の65,000百万円、セグメント利益を同11.4%増の9,900百万円と見込んでいる。売上高は、主要部品の調達リスクを一定程度考慮しつつ、主要顧客との関係強化や、デジタルペンの新たなユースケースの開拓と実装を図ることで増収を確保する想定である。損益面では、「ブランド製品事業」と同様、将来に向けた積極的な研究開発投資による影響を想定している。

2. 弊社の見方
弊社でも、主要部品の調達リスクに加え、エネルギー価格を含む物価上昇による影響など、不確実性の高い外部環境については慎重に判断する必要があるものの、想定を超えるリスクの発生がなければ、デジタルコンテンツのみならず、教育分野やワークフローDX向けの需要拡大や、デジタルペンの新たなユースケースの開拓等により、業績のさらなる底上げは可能であると見ている。したがって、同社のベースライン・シナリオをどれだけ上回るかがポイントになるであろう。また、2024年3月期以降の段階的な収益化に向けて、AI、XR、Securityの新コア技術の活用や、ハードにソフト(サービス)を組み合わせた新たなビジネスモデルの形が具体的に示される可能性があり、その動向にも注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《EY》

 提供:フィスコ

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