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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─独自に、マーケットの「梅雨明け」宣言!

経済評論家 杉村富生

「独自に、マーケットの『梅雨明け』宣言!」

●最悪シナリオはほぼ解消に向かう!

 ここ数カ月、「これでもか、これでもか」と言わんばかりに、多くの悪材料に直撃されてきた株式市場だが、徐々に苦境を脱しつつある。いや、最悪シナリオはほとんど消えたのではないか。筆者はいち早くマーケットの「梅雨明け」を宣言している。夏相場は明るい展開となろう。同時に、本格的な投資の時代が到来する。

 悪材料は“三重苦”と称された。すなわち、第1はウクライナ紛争だ。ロシア軍とNATO(北大西洋条約機構)軍との全面戦争に発展し、ロシアは戦術核を使う、第3次世界大戦の危機(?)が語られていたほど。もちろん、原油価格、穀物市況の高騰が物価上昇を誘発、各国はインフレ対応(金融引き締め)に追いまくられている。

 第2はFRB(米連邦準備制度理事会)の急激な利上げ(3月に0.25%、6月と7月に各0.5%)、QT(量的金融引き締め)である。これがオーバーキル(金融引き締めが効き過ぎて景気を失速させること)、スタグフレーション(不況下のインフレ)リスクを想起させた。投資家が脅え、身構えたのは当然だろう。

 しかし、ウクライナ紛争は局地戦にとどまっている。現状ではロシアの戦線(1000キロメートルに延びている)拡大は不可能だ。フィンランド攻撃、モルドバ共和国侵攻は考えにくい。FRBの金融政策は「9月の利上げ見送り」とか、資産圧縮は3年間に「2.5兆ドル」(当初は4.2兆ドル)などと、微妙に変化(ハト派の台頭)している。

●投資妙味が膨らむ材料含みの9銘柄!

 第3は中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)、これに伴うサプライチェーン(供給網)の寸断だ。物流の混乱はインフレリスクを加速させた。ただ、中国政府はロックダウンを解除した。「コロナ常態化管理」は残っているが、高速道路の料金所の再開、トラック運転手のPCR陰性証明の全国相互認証が進んでいる、という。

 要するに、最悪シナリオをベースにした売り叩きは転機を迎えている。ショート筋は売りまくった。小型株指数に連動するiシェアーズ・ラッセル2000 ETF<IWM>には発行株式数の4割強の空売りがある。日本のグロース銘柄を中心に組み入れている東証マザーズETF <2516> [東証E]も似たような状況だ。やはり、反発が期待できる。

 個別銘柄では再生可能エネルギー関連のウエストホールディングス <1407> [東証S]、車載用プリント配線基板の世界シェアトップのメイコー <6787> [東証P]、2023年3月期に連続最高益更新を見込む三和ホールディングス <5929> [東証P]、リチウムイオン電池関連の日本電解 <5759> [東証G]などに妙味があろう。

 このほか、レストラン・ホテル事業、ゴルフ場経営を手掛け、インバウンド関連の切り口を有する明治海運 <9115> [東証S]、不動産業の色彩が強い飯野海運 <9119> [東証P]、プライム市場への“昇格”が取りざたされているワークマン <7564> [東証S]、ビジョナル <4194> [東証G]、JTOWER <4485> [東証G]はじっくり狙える。

2022年6月3日 記

株探ニュース

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