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6440 JUKI

東証P
542円
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.0 0.51 3.69 7.74
時価総額 162億円
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NSW Research Memo(8):「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立」を目指す(1)


■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の概要と重点戦略
NSW<9739>は、前中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の経営目標を全項目で達成し、2022年4月から2025年3月の3ヶ年を対象とする新たな中期経営計画を2022年5月に発表した。計画の前提となる今後の事業環境について同社は、コロナ禍を契機としてデジタル化や事業変革の必要性が高まったことから、国内IT市場は着実に成長すると見込んでいる。なかでもDXは、企業規模では大企業のみならず中堅・中小企業まで、業種では製造業だけでなくサービス業・農業等も含め幅広い分野で加速し、今後も市場成長をけん引すると予想し、同社のビジネスもDXを中心にさらなる成長が期待できる事業環境であると見込んでいる。併せて、気候変動や地政学リスク等の不確実性の高まる社会に対応するため、サステナビリティ等社会課題への貢献も重要なテーマとした。

中期経営計画では、「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立~技術と知によりお客様とビジネスを共創するSIerへの進化~」を基本方針に、従来の「顧客にDX技術を提供するパートナー」から「企業変革をともに推進するパートナー」へと事業領域を拡大し、事業の成長と変革を加速するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組む計画だ。この基本方針を実現するために、顧客のビジネス変革、アライアンスパートナー、デジタル技術などに、同社が有するデバイス・組込み開発、クラウド・インフラ技術、業種・業務知識などのナレッジを組み合わせて、「DX FIRST」と「共創」(企業が様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造すること)をコンセプトとして掲げて推進していく。

中期経営計画達成に向けた具体的な重点戦略としては、「DX実現による顧客価値の追求」、「選択と集中による収益力強化」、「将来成長に向けた戦略的投資」を、また重点戦略推進の基盤となる共通戦略として「人材戦略」、「パートナー・アライアンス戦略」、「デジタル戦略」を掲げている。

中期経営計画で同社が推進している重点戦略の概要は、以下のとおりである。

(1) DX実現による顧客価値の追求
「事業変革パートナー」としてのビジネス拡大を目指し、成長期待の大きいデジタル領域で、顧客の事業変革を共に実現することをビジネス化する。顧客企業におけるDXへの動きが進むなか、ソリューションや技術の提供のみならず、変革をともに推進・実現するパートナーとしての役割が求められていることから、これまで取り組んできたIoT・AIサービスをはじめとしたデジタル技術をより一層強化・深化させるとともに、対応領域の拡大を図り、DX実現による顧客価値の共創に取り組む計画だ。

DX実現による顧客の製品変革の事例としては、「Toami」が2022年8月にJUKI<6440>のミシン点検システムに採用されたことが挙げられる。「Toami」を活用しスマートフォンで読み込んだミシンの銘版ラベルから型番を自動認識して入力作業を簡略化するほか、あらかじめクラウドに登録されている型番に合致する点検作業手順を表示するなど、点検保守サポート業務の効率化を実現した。また、点検結果のデータをクラウドに蓄積することにより、ミシンに必要な保守部品の手配や交換状況の把握が容易になった。さらに、QRコードでの型番認識、分析機能の追加により利用者の利便性がさらに改善し、ユーザである裁縫工場の顧客のミシントラブルによる生産ライン停止の低減に貢献している。

(2) 選択と集中による収益力強化
収益性の高い分野へのリソース集中により、事業基盤を強化する考えだ。ITサービスに対する顧客ニーズは多様化・高度化し、業務効率化を目的としたIT活用だけでなく、企業競争力を高めるための戦略的IT投資へと変化している。このような事業環境の変化に的確に対応し、事業基盤をより一層確固たるものにするため、これまで培ってきた技術・ノウハウをさらに拡充・発展させ同社の強みを伸ばすとともに、成長が期待される分野や収益性の高い分野へリソースを集中し、次への成長に向けた新たな安定的な収益基盤の確立に取り組む計画である。

(3) 将来成長に向けた戦略的投資
新しいソリューション・サービス創出のための技術習得・先行投資を行う。新しいソリューション・サービス創出に向けた新技術習得やナレッジ蓄積、並びに新たな価値創造に挑戦し続ける活力ある人材の確保・育成、将来の事業拡大や事業基盤強化のためのM&Aや他社とのアライアンスなど、積極的な戦略投資を行う計画だ。人材の確保については、国内のエンジニア不足に対応するため、2023年3月期より東南アジアを中心とする外国人人材の確保を計画している。半導体事業の対応力強化のために、ODC(海外の企業・法人にシステム・ソフトウェアの開発業務を委託すること)を2022年8月からベトナムのパートナー企業と運用を開始しており、すでに実績が上がりつつある。

以上の重点戦略を推進することで、計画最終年度の2025年3月期には、売上高50,000百万円(2022年3月期実績比15.1%増、年平均成長率4.8%増)、営業利益率11%を業績目標とした。2023年3月期からスタートした4セグメント制で増収を継続し、おおむね2022年3月期並みの営業利益率を維持することで、増収増益を達成する計画である。これは、同社が3年後の達成を目指す最低限の目標を示した保守的な計画であると考えられる。事実、1年目の2023年3月期決算、2年目の2024年3月期業績予想の増収率・利益率は業績目標を上回るペースで順調に推移している。今後も進捗状況に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《SI》

 提供:フィスコ

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