貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

6430 ダイコク電機

東証P
3,235円
前日比
+30
+0.94%
PTS
3,235円
23:17 05/10
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
5.8 1.18 3.71 2.28
時価総額 478億円
比較される銘柄
オーイズミ, 
セガサミー, 
日金銭
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

ダイコク電 Research Memo(1):業界が転換期にあるなかで減収ながら増益を確保


■要約

ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2 本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1 の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数約3,700店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。

同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発、継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の拡大など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。特に、積極的に取り組んできた次世代ホールコンピュータ(周辺機器を含む)については、クラウドサーバーを駆使したビッグデータ対応による高度な分析機能を備えており、他社の追随を許さない圧倒的な優位性を確立することで市場シェアの拡大を目指す方針である。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。

2018年3月期の業績は、売上高が前期比16.3%減の34,093百万円、営業利益が同13.8%増の1,192百万円と減収ながら増益を確保した。「新規則」※による影響の不透明感から、設備投資に対して慎重な姿勢が継続する厳しい市場環境が続くなかで、「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに減収となった。「情報システム事業」は、パチンコホールの新規出店や大規模改装が減少した影響により計画を大きく下回った。また、「制御システム事業」についても、遊技機市場全体の新台販売台数が低調に推移するなか、「新規則」を見据えた開発スケジュールや販売時期の延期により計画を下回る減収となった。一方、利益面では、減収による収益の下振れがあったものの、「次世代システム」の開発計画について見直しを行い、開発費が減少したこと等から増益を確保した。特に、MGサービスの伸長等が収益の下支えとなっており、市場環境に影響を受けない収益構造(ストック型ビジネスモデル)への転換が着実に進んでいるところは評価できる。また、画期的な製品・サービスのリリースなどでも、今後の事業拡大に向けて一定の成果があった。

※2017年9月4日に公布(施行は2018年2月1日より)された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(詳細は後述)の略。以下同様。


2019年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比2.7%増の35,000百万円、営業利益を同9.0%増の1,300百万円と増収増益を見込んでいる。引き続き、「制御システム事業」が減収となる一方、「情報システム事業」が新製品・サービスの販売強化等により年度後半に向けて伸長し、増収に寄与する想定である。また、利益面でも、増収効果や開発工程の効率化(制御システム事業)等を通じて、営業利益率の改善を見込む。弊社でも、厳しい市場環境が継続するものの、「新規則」対応の遊技機が市場投入されるにつれ、集客を目的とした周辺設備の入れ替え需要が徐々に活発化することが期待されることなどから、同社業績予想の達成は可能であるとみている。ただ、下期偏重の業績予想(特に、上期売上高は前年同期比16.7%のマイナス予想)となっているところには注意が必要である。

同社は2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「Next50第一章」を推進している。次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。相次ぐ外部要因により、定量目標の達成は難しい状況にあるが、業界構造の変化を見据えた戦略的な方向性については着実に前進していると評価しても良いだろう。

弊社でも、次世代ホールコンピュータについては、新たな業界の課題となった「依存症対策」への対応や市場環境の動向を見極めながら市場投入のタイミングを探る展開となりそうだが、それに先立って順次リリースしている周辺機器が、市場変化に柔軟に対応しながら、既存店向け入替需要を取り込むことにより業績貢献するものとみている。また、業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い。当面については、市場環境に不透明感が残るものの、中長期的な視点から圧倒的なポジショニングを生かした同社自身の成長に加えて、業界全体の活性化に向けた取り組みにも期待したい。

■Key Points
・2018年3月期の業績は減収ながら増益を確保(MGサービスの伸長等が収益の下支え)
・パチンコ業界が大きな転換期を迎えるなかで、先行き不透明感から足元業績は厳しい状況が続く
・ただ、業界が大きな転換期にあることは、同社にとって事業拡大の機会となる可能性が高い
・「次世代製品群」によるシェア拡大のほか、データ分析力を生かした経営支援及び価値創出に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均