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【特集】今が買い時、「家事代行サービス関連」始まった株高の宴 <株探トップ特集>

共働きと単身世帯の増加を追い風に業績を拡大させる企業が、株式市場でも脚光を浴びる時代となってきた。

―時代の要請、“ゆとりある日々”をビジネスにする銘柄群に注目―

 洗濯や掃除、料理など日常的な家事を依頼人に代わって行う家事代行サービス が日本でも広まりつつある。価格の高さに加えて、「他人に家事を任せることへの抵抗感」や「他人を家に入れることへの抵抗感」など心理的な面から利用に踏み切れない消費者が多かったが、2016年のテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の大ヒットで、その心理的な壁も取り除かれつつある。価格についても、事業者が1時間当たりの料金体系を取り入れるなどした結果、現在では週に1度、2時間程度の利用で月2万~3万円が一般的となっており、以前に比べて利用しやすくなっている。今後も利用者の拡大が見込まれており、関連銘柄のビジネスチャンスも拡大しそうだ。

●共働き世帯と単身世帯の増加が追い風

 家事代行サービスの利用が増えている背景には、女性の社会進出による共働き世帯数の増加や、単身世帯数の増加、高齢化の進展などがあるといわれている。総務省の「労働力調査」によると、17年の共働き世帯は1188万世帯となり、ここ20年で24%増加した。一方、厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると単身(単独)世帯は1361万3000世帯で、同じく直近20年で28%増加している。

 こうした世帯では、生活負担の一つである家事の時間的・体力的・精神的な軽減を図るために家事をアウトソーシングする動きが増えつつある。また、高齢化の進展で生活がスムーズにできなくなった高齢者が家事代行を利用するケースも多く、これらが家事代行サービス市場を牽引している。

 経済産業省が14年に公表した資料「家事支援サービスについて」によると、12年度の家事代行サービスの市場規模は980億円だったが、将来的には6000億円規模になると推測しており、成長性のある市場といえる。政府も女性やシニアの活躍推進に向けて家事代行サービスの普及を後押ししており、いわば「国策」ともなっている。

●参入企業は多いが資金面で上場企業が有利

 一方で料理や掃除などのスキルを生かし、かつ自分のペースで働ける家事代行の仕事は、シニア世代や主婦、外国人などこれまで社会で生かしきれていなかった労働力を雇用する新たな受け皿としても期待されている。

 そのため家事代行サービスの提供事業者数は、この10年で約3.5倍となる700社以上へと増加の一途をたどっており、さらに毎年30社程度増加しているといわれている。参入する企業が多い一方で、その多くは中小規模の事業者で占められていることから、資金面で優位にある上場企業は成長余地が大きい。業界大手のベアーズ(東京都中央区)や、同じく業界大手のHITOWAライフパートナーを傘下に持つHITOWAホールディングス(東京都港区)のように、上場を目指していることを表明している企業もあり、株式市場でも家事代行サービス関連への関心が高まりそうだ。

●ダスキンは家事代行が前期3.6%増

 関連銘柄の代表格は、ダスキン <4665> だろう。家事代行を行うメリーメイド事業は1989年にサービスを開始し、2000年から「家事おてつだいサービス」、07年から「おかたづけサービス」を加え、順調に拡大。18年3月期では全国754拠点(期末時点)でサービスを提供し売上高は109億円(前の期比3.6%増)に上る。

 また、イオンディライト <9787> は、11年4月に家事代行大手のカジタクを子会社化し家事代行サービス事業に参入した。カジタクを含むサポート事業の18年2月期売上高は206億円(同1.4%増)だったが、売上高の向上にカジタクが貢献したとしている。

 ニチイ学館 <9792> では、日本人スタッフの「ニチイライフ」と、外国人スタッフの「サニーメイド」ブランドで家事代行サービスを展開している。両ブランドを含むヘルスケア事業は18年3月期の売上高が30億円(同4.9%増)となり、業績拡大のため、さらに顧客数の獲得に注力している。

●センコーがM&Aで新規参入

 このほか、傘下に「クラシニティ」を展開するクラシニティ、「家ゴトConcierge」を展開するパソナライフケアを擁するパソナグループ <2168> や、ダスキン代理店最大手として家事代行サービスを手掛けるナック <9788> 、家事代行のマッチングサービスを展開するエキサイト <3754> [JQ]なども関連銘柄として挙げられる。

 また、17年1月に家事代行、サービスアパートメントの管理などを手掛けるイエノナカカンパニーを買収したセンコーグループホールディングス <9069> にも注目。現在、イエノナカカンパニーのサービス提供エリアは東京23区が中心だが、センコーグループ入りしたのをきっかけに横浜・川崎などの周辺エリアや、さらに関西地区をはじめとした都市部への事業展開を予定しており、グループ業績にも好影響を与えそうだ。

 さらに、フルキャストホールディングス <4848> は今年6月、家事代行のミニメイド・サービス(東京都渋谷区)を8月31日付で買収すると発表しており、関連銘柄に浮上した。家事代行サービスは、フルキャストが得意とする「軽作業の人材サービス領域」に対して付加価値を加えた隣接領域であることから、シナジーが強く見込めると判断したもので、今後の動向が注目される。

●広がる外国人による家事代行

 政府は15年末、国家戦略特区を活用して、永住権を持たない外国人の家事代行サービスを解禁した。東京や神奈川、大阪などで事業認定を受けたダスキン、ニチイ学館、パソナ、ベアーズ、ポピンズ(東京都渋谷区)、ピナイ・インターナショナル(東京都品川区)、の6社が17年からサービスを開始しており、各社ともに事業拡大を図るために外国人スタッフの獲得に力を入れている。

 さらに、注目が高まっているのが5000人以上のフィリピン人スタッフを擁するアイ・ピー・エス <4390> [東証M]だ。同社でもこれをビジネスチャンスとしてとらえており、家事代行サービス会社などへの派遣・紹介に注力している。

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