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【特集】昇り龍と雌伏する虎、真夏のボックス相場に打ち勝つ“最強波動”6銘柄 <株探トップ特集>

5月から続く日経平均2万3000円を上限としたボックス相場を乗り越える銘柄は?

―投資家泣かせのハイボラティリティ相場乗り越える“いま強い株”と“これからの株”―

 強気で対処すべきか、それとも弱気に転じるか、目まぐるしく変わる景色に投資家も戸惑いを隠せないのではないか。5月下旬以降ここ2ヵ月間にわたり、東京株式市場で繰り広げられるハイボラティリティ相場はまさに投資家泣かせの展開となっている。

 日経平均株価は2万3000円ラインがボックス相場の上限となり、上値の重さはいかんともし難いが、かといって売り方の立場でも戦々恐々といえ、大崩れする前に空売りの買い戻しが入り、ともすればミニ踏み上げ相場的な戻り足を形成する。どっちつかずの方向感が定まらないマーケットだが、結果的に強弱の均衡が保たれていることで“不安定な中でのバランス感覚”が徐々に醸成されるような地合いとなっている。

●強靭な米国経済が世界株市場の屋台骨に

 トランプ米政権が打ち出す保護主義色の強い通商政策に対する警戒ムードの火種は常にくすぶり続ける。直近ではトランプ大統領が米メディアのインタビューで5000億ドル強の中国からの輸入品すべてに関税を課す準備をしていると表明したことが波紋を呼んだ。外国為替市場でもドル安・円高方向に押し戻され、リスクオフの流れを印象づけた。週明け23日の東京市場はこれに身構える状況にあったが、ところが実際に相場を揺さぶったのはこの話ではなかった。

 この日最大のインパクトを与えたのは、日銀がこれまでの金融緩和姿勢を修正するとの観測を複数のメディアが報じ、長期金利上昇(債券安)とそれに付随する円高加速を招いたことだ。東京市場では金利高でメリットを受ける銀行株が一斉高に買われ、円高デメリットの輸出ハイテク株がまとめて売られるという分かりやすい相場が演出された。そして、この地合いの変化を顧みる間もなく、今度は中国政府による財政・金融政策発動への思惑が投資家のセンチメントをプラス方向に揺り動かした。

 早晩、企業の四半期決算発表が本格化するなか、個別の決算に左右される地合いとなることは否めないが、総論として捉えれば日米ともに企業決算は全体相場にポジティブな影響を及ぼすものと理解しておきたい。今回は企業のガイダンス・リスクが相場変調をもたらす要因としてクローズアップされるようなことはなさそうだ。通商問題や地政学リスク、さらに国内ではしきりに観測気球が上がる日銀の金融政策修正への思惑と不安材料は尽きないが、全体観としては、中軸となる米国経済に陰りが見られないうちは世界株安連鎖のトリガーが引かれることはないと前向きに考えておきたい。

●昇り竜3銘柄はシステムイン、エスケイ、カヤック

 東京株式市場は投資家のリスク許容度に改善の兆しがみられるなか、個別株の動きも継続的に資金を引き寄せる“強い株”の存在が意識されるようになってきた。中小型株物色でも選別の流れは強まっているが、短期的に値幅を追求するのであれば、波動の強い株につくのがセオリーといえる。いわば、今の相場で異彩を放つ“昇り竜銘柄”には投資戦略における「順張り」のエキスが詰まっているといってよい。

【システムインテグレータ】

 そのセオリーに則って注目したいのが、まずシステムインテグレータ <3826> だ。eコマースやデータベース開発などに強みを有する独立系システム開発会社で、時流を映してERP事業などが好調に収益貢献しており中期成長期待が大きい。

 同社は人工知能(AI)関連としても注目度が高い。新AIサービス「アイシア カンパニーリスト」を今秋からサービス開始する計画にある。これはネット上の企業ページを複数のクローラーが24時間クロール(徘徊)し、スクレイピング(情報抽出)した業務概要や製品・サービスなどの企業ページの文章をAIが読み取り、業界や業種を自動でタグ付けするサービス。従来型情報サービスより低コストで鮮度の高い情報の収集を実現するというもので、ニーズの取り込みが期待される。2014年1月の高値を抜き実質青空圏を舞う展開だが、将来の成長期待を考慮すればPERなど株価指標面からも割高感はない。

【エスケイジャパン】

 エスケイジャパン <7608> も異彩を放つ強さをみせている。同社はアミューズメント施設向け景品などを主力にキャラクター商品の販売を行っている。19年2月期第1四半期の決算は売上高が前年同期比37%の伸びをみせ、営業利益は同4倍以上となる1億7900万円と急拡大した。

 通期営業利益予想は前期比18%減の2億7000万円を見込んでいるが、第1四半期時点でその進捗率は66%に達しており上方修正余地が強く意識される。主力のキャラクターエンターテインメント事業で「星のカービィ」「忠犬もちしば」などのキャラクターが絶好調なほか、昨年に版権を獲得し商品化した「シャクレルプラネット」も業績に寄与しており、ポジティブサプライズというべき収益高変化を示している。

【カヤック】

 さらに、ネット広告の製作やソーシャルゲーム配信などを手掛けるカヤック <3904> [東証M]も要注目の存在だ。同社は技術者を多く擁しており、その開発力の高さで同業他社と一線を画す。今月に入って、建機最大手のコマツ <6301> との提携を発表し、これが株価を一気に押し上げる格好となった。

 コマツとは、建機はもとより工事の全工程に関わる作業員や、機械、土壌に関わる現場のすべての情報をICTでつなぐ「スマートコンストラクション」で協業する。カヤックが有するプロトタイプアプリ技術をベースに、建設機械の「目」となるステレオカメラで撮影した映像と連動する新サービス「Kom Eye AR」を8月にリリースする予定。ゲーム配信会社という目線からは想像がつきにくい業容の広がりをもたらす大材料だが、これはそのままカヤックという会社のキャパシティーの大きさを示唆している。

●雌伏していた虎も咆哮、夢展望、夢テク、メディアS

 一方、投資家の本音として高い株に投資資金を投入するには勇気がいる。本来、株式投資は安く買って高く売るのが基本コンセプトであり、それを前提に「株価をいかに安い水準で拾うか」は勝つための重要な要素といえる。高値圏を舞う昇り竜(ライジング・ドラゴン)銘柄に対し、雌伏する虎(ハイディング・タイガー)が文字通り虎視眈々と急反騰の時を待つイメージだ。

 ただし、安値圏で推移する銘柄はどこでリバウンドするか、株価水準と時間軸の双方から判断が難しい。今日の安値が底値である保証はない。したがって、安値圏で既に動意づいているものをできるだけ早い段階で捉えるのが相場巧者の技となる。こちらは、やや中期視野のストラテジーとなるが、成功した時は極めて効果の高い投資手法となる。付け加えれば、現在の相場は茂みから虎が勇躍するがごとく、急速に底値離脱の動きをみせる銘柄のオンパレードとなっており、このタイミングは逃したくないところ。7月21日配信の株探トップ特集で取り上げた「底値圏からの逆襲始まる! 騰勢加速『究極のテーマ株』10選」はその動きを裏付ける企画となった。

【夢展望】

 今回はこれらに続く銘柄として、まず夢展望 <3185> [東証M]に着目したい。同社は若年層の女性を対象としたアパレルをネット経由で販売している。業績は17年3月期まで赤字体質が続いていたが、美容・健康関連事業を中心にM&A戦略を推し進めるRIZAPグループ <2928> [札証A]の傘下に入り、流れが変わった。

 昨年12月よりメルカリ <4385> [東証M]のライブ配信機能「メルカリチャンネル」で商品販売を開始、業績回復に貢献が期待されるほか、RIZAPの物流管理業務受託に続き、同じRIZAP傘下で雑貨小売りを展開するパスポート <7577> [JQ]のeコマース業務を受託するなど、着々と復活の礎を築いている。夢展望の4~6月期決算発表は8月10日の予定だが、説明会はRIZAPと共同で13日に行う予定。足もとの業績数字よりも今後の経営展開シナリオが本格反騰の原動力となり得る。株価は昨年5月下旬にザラ場を含め7連続ストップ高という記録的な暴騰パフォーマンスを演じた。さらに7月には株式分割後修正値で2500円まで駆け上がった経緯がある。この急騰力と天井の高さは魅力だ。

【夢テクノロジー】

 次に、自動車や半導体業界など製造業向け技術者派遣を手掛ける夢テクノロジー <2458> [JQ]も底値圏離脱カウントダウンの気配だ。こちらは建設業界の施工管理ビジネスに展開する夢真ホールディングス <2362> [JQ]の子会社だ。

 企業の旺盛な求人需要も、とりわけ技術者に対するニーズは強く、業績は好調な推移が見込まれている。5月末に、同じく夢真HD傘下の夢エデュケーションの吸収合併を発表、技術者派遣事業と夢エデュケーションが手掛けるITエンジニア育成ビジネスとの親和性を高める方針。株価は今年4月に1266円の高値をつけており、4ケタ大台復帰は戻り相場の通過点となる公算がある。

【メディアシーク】

 最後に、4月下旬以降延々と下値模索が続いたメディアシーク <4824> [東証M]もマークしておきたい。4月20日に1456円の高値をつけたが、これは長期波動でみると2013年10月につけた1500円の高値と双璧をなす。その後は“往って来い”の下り坂となってしまったが、時価600円台は売り物がこなれ、にわかに買い優勢の展開に変わってきた。

 同社は企業向けシステム開発などを行い、スマートフォン向けアプリも手掛ける。スマホ向けアプリのダウンロード数は伸びているものの開発投資負担などが損益を悪化させており、18年7月期は営業赤字幅が拡大する見通し。しかし業績は来期以降、改善に向かう可能性が高い。イスラエルを拠点に世界に名を馳せるブレインテクノロジーの専門家集団マインドリフト社と提携、マインドリフト社が提供するアプリやサービスを国内市場向けで提供すると同時にブレインテック関連事業の強化を推進していく方針にあり、同分野の深耕に期待が大きい。

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