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6050 イー・ガーディアン

東証P
1,675円
S高
+300
+21.82%
PTS
1,675円
15:14 05/08
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.4 1.77 1.85 60.84
時価総額 200億円
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EG Research Memo(2):インターネットセキュリティの安心・安全を守る総合ネットセキュリティ企業


■会社概要

1. 会社概要と沿革
イー・ガーディアン<6050>は、「We Guard All」を経営理念に掲げる、総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダ事業を主とするITベンチャー(旧社名:株式会社ホットポット)として誕生した。インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなか、2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、イー・ガーディアン株式会社に商号変更、その他の事業は売却している。2010年に東証マザーズに上場してからは、M&A及び会社分割を行いながらネットセキュリティサービスをワンストップで提供する“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立してきた。主なM&Aとしては、ネット監視事業のイーオペ(株)を2012年に完全子会社化(現 イー・ガーディアン東北(株))、人材派遣業の(株)パワーブレインを2014年に完全子会社化(2015年、リンクスタイル(株)に商号変更。2017年、EGヒューマンソリューションズ(株)に商号変更。2018年、同社に吸収合併)、デバッグ事業のトラネル(株)を2017年に会社分割(2019年、EGテスティングサービス(株)に商号変更)、HASHコンサルティング(株)を2015年に完全子会社化(2017年、EGセキュアソリューションズ(株)に商号変更)、デバッグ事業の(株)アイティエスを2017年に完全子会社化(2019年、EGテスティングサービスに商号変更)などがある。

最近ではクラウド型セキュリティサービスのグレスアベイルを子会社化し(2019年)、2020年にはサイバー・コミュニケーションズとネット広告関連業務BPOを行う合弁会社ビズテーラー・パートナーズを設立したほか、ソフトウェア型WAFのNo.1企業であるジェイピー・セキュアを完全子会社化するなど、新分野を強化している。海外展開においては2017年に設立したE-Guardian Philippines、2021年に設立したE-GUARDIAN Vietnamが拡大中である。現在はグループ会社5社、主な事業所で国内12拠点、海外2拠点を持ち、2,547名の従業員(うち臨時従業員数2,146名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格、2022年4月の東証再編に際してプライム市場に移行した。

2. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務であり売上高の57.5%を占める。ゲームサポート業務(売上構成比15.3%)、アド・プロセス業務(同12.9%)、サイバーセキュリティ業務(同6.6%)が続く。その他業務はハードウェアに対するデバッグ業務などである(同7.7%)。

(1) ソーシャルサポート業務
ソーシャルサポート業務は、ソーシャルWebサービス等の様々なインターネットサービスを対象に、投稿監視、カスタマーサポート及び風評調査等を提供する。豊富な実績のある人材による監視サービス(有人監視)に加え、専門特化した監視ツール(システム監視)を併用するのが同社の特長である。独自開発されたAI判別システムは低コストかつ高品質なサービス提供をするうえで武器になっている。従来からの監視系の業務に加え、カスタマーサービスの代行や金融系サービスの本人認証サービスといったカスタマーサポート系業務が増えた。2023年9月期第2四半期の売上高は3,536百万円、前年同期比で8.6%増と堅調に推移した。

(2) ゲームサポート業務
ゲームサポート業務は、ソーシャルゲームを対象に、主にカスタマーサポート及びデバッグ業務等を提供する。ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後のプロモーション(2022年3月にURAWAZA(株)と提携)、問い合わせ対応まで一気通貫でサポートする体制を確立した。近年は国内のゲーム市場のヒットタイトルが減少し厳しいなか、国内ゲーム会社の海外進出及び中国や韓国など海外のゲーム会社の日本進出など海外案件の獲得を目指す。英語対応はフィリピン、日本語対応はベトナムなど海外拠点も活用する。2023年9月期第2四半期の売上高は942百万円、前年同期比で9.8%減と減収となった。

(3) アド・プロセス業務
アド・プロセス業務は、広告審査業務をはじめ、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング等の業務を提供する。同社センターで請負う場合と派遣・常駐する場合がある。広告関連の業務は、従来、労働集約的な面が強かったが、同社独自のAIシステムやRPA(Robotic Process Automation)を活用し生産性が向上している。近年は、成長が続く動画市場において、動画に掲載される広告に対する審査業務が増加している。また、官公庁案件を受注し着実に遂行した実績や、蓄積したノウハウ・ナレッジにより広告審査案件の受注が順調に推移した。また、広告審査代行の需要増加に迅速に対応するために、新たに博多センターを開設し体制を整備した。2023年9月期第2四半期の売上高は790百万円、前年同期比で20.6 %増と増収となった。

上記3業務の業務モデルの特長は、対応量(件数)に応じた課金体系であり、リーズナブルな料金で専門的なサービスを提供でき、導入までのスピードが速いことである。

(4) サイバーセキュリティ業務
サイバーセキュリティ業務は、セキュリティ業界の第一人者である徳丸浩氏率いる専門家集団による脆弱性診断やセキュリティ対策サービス、WAF、SOCサービスなどを擁し、総合的なサイバーセキュリティサービスを行う。2021年10月に、グループシナジーの強化を目的としてEGセキュアソリューションズを存続会社とするサイバーセキュリティ関連子会社3社の統合を行った。2022年9月には、多様なWebサイトのセキュリティ対策をサポートするべく、新たにクラウド型WAFの提供を開始した。サーバー攻撃の増加などサイバーセキュリティ需要は拡大しており、さらなる成長が期待できる。2023年9月期第2四半期の売上高は404百万円、前年同期比で17.5 %増と拡大した。

(5) その他業務
その他業務には、ハードウェアのデバッグ事業が含まれる。子会社EGテスティングサービスが2021年12月に八王子テストセンターを開設し、多面的機能テストの需要へ対応する体制が整った。2023年9月期第2四半期の売上高は474百万円、前年同期比で7.8 %増と拡大した。

3. 強み
同社の業務は人材による監視サービス(有人監視)から始まっており、現在でも「人」しかできない業務や「人」ならではの業務において20年以上の運用実績を積み上げてきた。一方で、早期から、システム化可能な業務は積極的にシステム活用をとってきた。2010年代に入り、AI型投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」が併用されるようになると、業務は格段に進歩し、他社にはない低コスト及び高品質が実現できるようになった。2018年からは、自社開発のRPAを活用した業務の自動化に取り組み、アド・プロセス分野での広告審査・広告運用業務の効率化に役立てている。2022年7月には、テキスト・画像・動画・音声などの幅広い投稿をより正確にスピーディーにチェックするべく、新たな投稿監視システム「kotonashi(コトナシ)」を開発し導入開始した。このように同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供できる点にある。結果として高い収益性(2023年9月期第2四半期の売上高営業利益率は15.3%)が実現している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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