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4881 ファンペップ

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ファンペップ Research Memo(6):アルツハイマー病、心不全を対象としたワクチンの共同研究をアカデミアと開始


■主要開発パイプラインの動向

2. アルツハイマー病、心不全ワクチンの共同研究開始
(1) アルツハイマー病ワクチン
ファンペップ<4881>は2023年11月に大阪大学大学院医学系研究科との間で行っている抗体誘導ペプチドに関する共同研究の新規研究テーマとして、アルツハイマー病(標的:リン酸化タウ蛋白質)を対象とする研究を開始したことを発表した。アルツハイマー病に関しては、2つのタンパク質(アミロイドβ、タウ)が脳内に蓄積して神経細胞を障害することで発症することが研究によって解明されており、ここ数年これら2つのタンパク質を標的とする根治療薬の研究開発が国内外で活発化している。このうち、アミロイドβを標的とする抗体医薬品についてはエーザイ<4523>が2023年に日米で、2024年に中国で薬事承認を取得し、販売を開始している。タウを標的とする抗体医薬品についてはまだ承認されていないものの、複数の製薬企業が開発中だ。

大阪大学の研究グループでは患者の脳内に存在し、タウ伝播※1を介在するタウ分子種(高分子量リン酸化タウ)を世界に先駆けて同定し、その生化学的な特徴を明らかにしてきた。この知見に基づきタウ伝播を抑制するアルツハイマー病ペプチドワクチンの研究を行っており、同社が共同で開発を進めていくことになった。2025年までに有望なリード化合物が特定できれば、前臨床試験に進むことになる。リン酸化タウは認知症が発症する15年ほど前から増え始め、蓄積すると記憶力の衰えが見られるようになる。このため、高価な抗体医薬品は使いづらいが、低コスト化が可能な抗体誘導ペプチドワクチンであれば認知症の発症及び進行を遅らせる目的での処方も可能になると弊社では見ている。日本における認知症の推定患者数は2020年の631万人から2050年に1,016万人※2に、世界では2019年の5,500万人から2050年に1億3,900万人※3にそれぞれ増加すると見込まれており、医療財政負担を軽減する治療薬として開発意義は大きく、今後の動向が注目される。

※1 アルツハイマー病患者の脳内では、(神経細胞を障害する)過剰にリン酸化されたタウの凝集体が特定の脳領域から徐々に脳全体に広がることが知られており、病的構造を持ったタウが神経細胞間を移動するという「タウ伝播仮説」が提唱されている。
※2 厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2009年1月27日)
※3 Alzheimer’s Disease International. World Alzheimer Report 2023.


(2) 心不全ワクチン
同社は2024年2月に抗体誘導ペプチドの新規研究テーマとして、心不全(標的:IGFBP7)を対象とする研究を開始したことを発表した。同研究テーマは、東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座小室一成特任教授が(国研)日本医療研究開発機構(以下、AMED)から採択された令和5年度ゲノム研究を創薬等出口に繋げる研究開発プログラムの研究開発課題「心不全シングルセルゲノミクス創薬」として実施されるもので、研究期間は2026年3月までとなっている。

同研究開発において、同社は心不全患者の組織微小環境(細胞間相互作用)に着目し、患者の心臓内皮細胞で分泌される心筋細胞の代謝環境に作用する分子IGFBP7を標的とする心不全ワクチンについての、非臨床試験及び臨床試験に向けた応用展開を担当する。独自の抗体誘導ペプチド技術を用いた医薬品開発の知見に基づき、心不全ワクチンの研究開発分担者として参加する。

日本人の死因のうち、心疾患はがんに次いで2番目に多く(約15%)、そのうち心不全が42%を占めている。心不全の患者数については高齢化の進展とともに増加傾向にあり、2030年には約130万人に達するとの推計※もある。さらに、近年SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype:細胞老化関連分泌現象)と呼ばれる現象が見いだされ、SASP因子であるIGFBP7は、細胞老化を促進する効果があるとの研究報告もあり、抗老化ワクチンとしてアンチエイジング分野での創薬開発にも広がる可能性があることから、新たな研究テーマとして追加し、研究開発についても2026年3月までに有望なリード化合物が特定できれば、前臨床試験に進む見通しだ。なお、研究開発費用についてはAMEDからの補助金で賄われることになる。

※Yuji Okura, et al. Impending Epidemic - Future Projection of Heart Failure in Japan to the Year 2055 -. Circulation Journal. 2008 Mar;72:489-491.

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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