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4687 TDCソフト

東証P
1,131円
前日比
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PTS
1,128.5円
09:15 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.7 2.96 2.12 4.49
時価総額 568億円
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決算発表予定日

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TDCソフト Research Memo(7):DX促進に向けた企業のIT投資は前期に引き続き好調に推移


■今後の見通し

1. 2023年3月期の業績見通し
TDCソフト<4687>の2023年3月期の連結業績は、売上高34,000百万円(前期比9.9%増)、営業利益3,260百万円(同9.9%増)、経常利益3,355百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,270百万円(同9.7%増)を見込む。なお、通期計画についても2022年9月13日に修正しており、期首計画(売上高33,000百万円、営業利益3,065百万円、経常利益3,135百万円、親会社に帰属する当期純利益2,100百万円)から、それぞれ上方修正している。今後も市場環境は堅調に続くことが想定され、中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」に基づく事業拡大に向けた投資を積極的に拡大する計画をしていること等を勘案して修正した。

なお、9月13日の修正については第2四半期までの上振れを織り込んだものであり、投資を先行させたとしても足元での堅調な受注環境から鑑みた場合、下期が横ばいで推移するとは考えづらく、上振れ余地はあると弊社では考えている。また、コロナ禍によって足元で第8波が警戒されているものの、テレワークの普及によって通常通り業務が行えているため、大きく業績に影響を与える可能性は低いだろう。

企業競争力の維持・強化を実現するためのモダナイゼーションの動きなどDX促進に向けた企業のIT投資は前期に引き続き好調に推移するとみられる。2023年3月期第2四半期の顧客別売上高推移を見ても、金融業界ではクレジットが大きく伸びたほか、銀行も前々期、前期の同期から大きく伸びている。また、製造業、非製造業においても成長が継続しているほか、官公庁、団体においても微増ながら前年同期を上回っている。通信業界や流通業界などがキャッシュレス決済などの金融ビジネスに参入するなか、これまで基幹システムを借りていたところが、本格的に事業を拡大させる動きを見せており、新たな基幹システムを構築する案件が増えている。そのため、下期においても金融ITソリューション分野、公共法人ITソリューション分野、ITコンサルティング&サービス分野を中心に拡大基調が継続する可能性は高いと弊社では考えている。

2. 事業分野別の業績見通し
(1) ITコンサルティング&サービス分野
クラウド系エンタープライズソリューション関連案件の需要は継続し、拡大基調を維持できる見込みとして、売上高は前期比22.5%増の5,000百万円を計画。

(2) 金融ITソリューション分野
既存領域は堅調に推移し、モダナイゼーション、レガシーマイグレーション(独自アーキテクチャのシステムからオープンシステムに乗り換える動き)関連案件需要は旺盛であり、売上高は前期比7.7%増の15,500百万円を計画。

(3) 公共法人ITソリューション分野
運輸業・製造業でのDX需要等を背景にした顧客のIT企画支援等を中心に引き続き拡大を見込んでおり、売上高は前期比8.0%増の9,500百万円を計画。

(4) プラットフォームソリューション分野
クラウドニーズの高まりにより事業は堅調に拡大すると見込んでおり、売上高は前期比3.6%増の4,000百万円を計画している。

3. 2023年3月期の重点施策
(1) 積極的な投資の推進
前述のとおり、さらなる成長に向けた足場固めを行うため、積極的な投資を推進。アジャイルやセキュリティなどの重点戦略分野の投資のほか、5G関連のビジネス化に向けた研究、自社製品であるクラウド型ワークフローシステム「Styleflow」の販売促進強化を挙げている。DXの潮流が加速するなか、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、今後主流になると見込む、要素技術の獲得に向けた成長投資を積極的に行う計画である。また、同社は2022年3月にテレビCMの放映を開始したが、今後も人材リソースの確保を主な目的に、テレビCMやSNS、YouTubeなどを活用したブランディング及びマーケティングにも投資を行っていく。なお、テレビCMについては人材確保にすぐさまつながるものではないが、社員のモチベーションアップに大きく影響を与えているようである。社内の環境は想像以上に変化し、調査結果にもポジティブに表れたほか、離職率についても低い水準になっているようだ。

(2) 人材対応
コロナ禍において、そもそもSI人材が転職市場で想定よりも流動的でない状況ではあるが、新入社員の採用によって育成・対応する方向で進める。同社は人材確保における独自の強みを持っていることもあり、人材不足のなかにおいても同業他社と比較して、現状では堅実に確保できているもようだ。ただし、競合他社がDXの加速に向けて人材確保を進めるなか、今後はさらにリソースの獲得が困難になることが予想される。そのため、同社は新卒採用者の育成のほかに、アライアンス強化のほか、相互補完できる企業などのM&Aも視野に入れた人材リソース獲得戦略を進めている。

4. 新中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」策定
新中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」では、「高付加価値SIサービスの追求」「SIモデル変革の推進」を主要戦略に据え、「事業領域の拡大」としてPlusを加えている。既存のSI事業領域を軸に新たな領域へ事業を拡大し、新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティを獲得し、次世代型SI企業を目指す。

重点施策として「人材の確保」では、積極的な人材採用施策の推進や人材育成施策の推進(早期戦力化、高付加価値領域)。「グループ・M&A戦略推進」においては、新たな事業領域拡大等に向けた、未保有の機能・特性の獲得に向けたグループ・M&A戦略を推進する。「企業基盤の強化」では、強化戦略的な意思決定を可能とするデータ活用等のコーポレート機能の強化を挙げている。また、「事業拡大に向けた投資の強化」として、DXの潮流が加速するなか、今後主流になると見込む要素技術の獲得や事業領域拡大に向けたケイパビリティを獲得するための投資を推進する。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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