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4563 アンジェス

東証G
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21:23 05/07
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.38 4.62
時価総額 98.6億円
決算発表予定日

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アンジェス Research Memo(11):研究開発費の減少により、2023年12月期第2四半期の経常損失は大幅縮小


■業績動向

1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
アンジェス<4563>の2023年12月期第2四半期の事業収益は51百万円(前年同期比60.7%増)、営業損失は5,951百万円(前年同期は9,124百万円の損失)、経常損失は4,776百万円(同7,420百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は4,830百万円(同7,425百万円の損失)となった。

事業収益は、希少遺伝性疾患に関するオプショナルスクリーニング検査の手数料収入が前年同期比11百万円増加の39百万円と順調に増加したほか、「コラテジェンR」も販売先の在庫調整が一巡したことにより同7百万円増の11百万円と回復に転じた。売上原価は同21百万円増加の58百万円となった。ACRLの売上原価が新規検査機器購入に伴う減価償却等の計上により、同12百万円増加の46百万円となったほか、「コラテジェンR」の製品売上原価も使用期限切れによる廃棄が見込まれる製品の評価損3百万円を計上したことにより、同9百万円増加の11百万円となった。

研究開発費は同3,453百万円減少の3,164百万円となった。Emendoの研究開発費が人件費を中心に増加した一方で、前期にコロナワクチンの国内での開発を中止したことにより、研究用材料費が477百万円、外注費が3,246百万円それぞれ減少したことによる。販管費は同277百万円増加の2,780百万円となった。為替の円安進行によりEmendoののれん償却額が同129百万円増加の1,478百万円となったほか、Emendoにおける弁護士等専門家及びコンサルタントへの報酬増加により、支払手数料が同93百万円増加の476百万円となった。営業外収支は同529百万円悪化した。外貨預金及びEmendoへの貸付金の期末評価替えに伴う為替差益が同399百万円減少の1,089百万円となったほか、補助金収入が同128百万円減少の74百万円となったことによる。


研究開発費の効率化により、2023年12月期の経常損失は期初計画から縮小する見通し
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績は事業収益で190百万円(前期比123百万円増)、営業損失で13,500百万円(同2,816百万円減)、経常損失で7,500百万円(同7,110百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失で7,500百万円(同7,214百万円減)となる見通し。研究開発費を中心に事業費用を圧縮することで、期初計画に対して営業損失が2,000百万円、経常損失が2,400百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が2,500百万円縮小する見込みとなった。

事業収益は、「コラテジェンR」の製品売上高で約20百万円、オプショナルスクリーニング検査の手数料収入で約170百万円を見込んでおり、手数料収入が主な増収要因となる。スクリーニング検査件数の増加に加えて、第4四半期から確定診断となる遺伝学的検査の受託サービスを開始することが主因だ。

研究開発費については、Emendoの開発費が増加するものの、コロナワクチンの国内開発費用がなくなることで減少する見通し。通期では80億円程度と前期の10,999百万円から30億円程度減少する見通しだ。期初時点では100億円程度を計画していたが、財務状況などに鑑みてEmendoで外部委託してきたELANEプロジェクトの医薬品製造に関する一部を内製化するほか、材料費の見直しを行う。また、業務の効率化を進めるとともに、既存パイプラインの上市・商業化のための活動に優先して取り組む。一方、販管費は期初想定どおり若干の増加を見込んでいる。連結ベースの従業員数は2023年6月時点で150名と前期末比で12名増(Emendoの増員)となっており、下期も同水準で推移するものと思われる。

経常損失が前期比で大幅に縮小する見込みだが、前述のとおり国内のコロナワクチン開発に関連した補助金収入の計上を織り込んでいるためだ。前受金として前期末に5,764百万円を計上しているが、諸費用を除いて約54億円の計上を見込んでいる(うち、第3四半期に2,815百万円計上)。なお、為替が140円/米ドル台後半の水準で期末まで推移した場合は、Emendoの事業費用やのれん償却額が嵩上げされるほか、営業外の為替差益が膨らむ可能性がある(2023年6月末TTMレート144円/米ドル)。


NF-κBデコイオリゴの開発協力金を前受金として計上
3. 財務状況について
2023年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比2,029百万円減少の36,790百万円となった。流動資産では、「コラテジェンR」の第3四半期以降の出荷に備えるため、製品と原材料及び貯蔵品が合計で537百万円増加した一方で、現金及び預金が3,268百万円、未収消費税等が294百万円それぞれ減少した。固定資産では為替の円安進行によりのれんが565百万円、Emendoの使用権資産が101百万円それぞれ増加したほか、Vasomuneへの出資により投資有価証券が299百万円増加した。

負債合計は前期末比508百万円増加の8,903百万円となった。買掛金が71百万円、未払法人税等が52百万円それぞれ減少した一方で、提携先からのNF-κBデコイオリゴの開発協力金受領により前受金が637百万円増加した。純資産合計は前期末比2,538百万円減少の27,887百万円となった。新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ538百万円増加したほか、主にのれんに係る為替変動の影響により為替換算調整勘定が1,177百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失4,830百万円の計上により利益剰余金が減少した。

なお、同社は今後の研究開発費用等の資金調達を目的として、2023年7月に第三者割当による行使価額修正条項付き第43回新株予約権を発行した。当初行使価額は122円(下限行使価額74円)で潜在株式数は44,639千株、希薄化率は24.99%となる。想定調達金額は5,418百万円で、このうち3,218百万円を「コラテジェンR」の国内における正式承認に向けた製造販売費用並びにグローバルでの製品価値最大化に向けた製法・生産プロセスの効率化を企図した研究開発費用並びに米国での臨床試験費用に充当する。また、1,500百万円を「ゾキンヴィ」の原薬購入費用や販売に向けたマーケティング費用、アイガーに対するマイルストーンの支払い費用に充当し、残り700百万円を慢性椎間板性腰痛症NF-κBデコイオリゴDNAの国内における臨床試験費用等に充当する予定だ。2023年8月末時点ではこのうち3,599千株が行使され、342百万円を調達した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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