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4391 ロジザード

東証G
1,282円
前日比
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.2 2.29 1.17
時価総額 42.2億円
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ロジザード Research Memo(7):将来のさらなる業績拡大に向けて、研究開発と人材へ先行投資を実施


■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の概要
2023年8月にロジザード<4391>は、変化する事業環境に対応し、2026年6月期を最終年度とする中期経営計画を策定した。コロナ禍を受けてECに傾斜していた流れが、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済社会活動が再開し、再び店舗の重要性が認識されている。加えて、消費者のニーズと購買行動も多様化しており、OMOマーケティングとそれを可能にする在庫管理手法に対するニーズが高まっている。特に、BotB業界でOMOマーケティングと在庫管理手法に対する注目が高まっているようだ。また、物流業界では、依然として人手不足とそれに起因する省力化・自動化ニーズがある。このような事業環境の変化を受け、同社は、「時流製品×ハイタッチサービス」を基本成長戦略に掲げ、将来的に高まることが想定されるニーズに対応できるサービスと体制の構築に向けて、研究開発と人材に先行投資していく構えだ。なお、ここで言う「ハイタッチ」とは、「事業活動において、同社の社員が顧客と積極的に関わり、顧客に価値を提供していく」という意味だ。営業人員や開発人員が顧客とコミュニケーションをとりながら、顧客のビジネスをサポートしていく。ハイタッチサービスの実現に向け、1. 受注納品と製品開発が同時に可能な体制づくり、2. サポート体制の拡張ケア、3. 増加する社員の初期教育の体系化とスケジューリング、4. 社員が安心して業務できる制度づくりを推進していく。

2023年6月期にクラウドサービスが好調に推移し、想定を上回ったことから、クラウドサービス売上・経常利益とともに上方修正した。修正後の目標値は、2026年6月期にクラウドサービス売上を1,875百万円(2023年6月期比28.2%増、前回公表値から46百万円増)、経常利益を434百万円(同66.5%増、同1百万円増)としている。事業環境が好調なことに加えて、同社の製品開発の方向性も妥当なこと、クラウドサービスは利益率が高いことから、経常利益がさらに上振れて着地する可能性もあると弊社は推察する。なお、体制強化のための人材採用については、2027年6月期までに157名を採用する計画だ。

2. 具体的なトレンドと対応方針
(1) BtoBに広がるWMSニーズ
BtoB企業に広がるOMOマーケディングに対するニーズの高まりを捉え、配分方式、梱包明細、荷札、SCMラベル、シリアル出荷、トレーサビリティなど、各作業フローにおいて求められるBtoBならではの機能を模索・実装し、BtoB企業を獲得していく。これは、既存のBtoC市場での競争が激しくなっていることも背景にある。BtoC市場でシェアを確保しながら、同社の強みを生かすことができ相対的に競争度合いの緩やかな市場に進出することで、利益を確保していく考えだ。加えて、業界標準のEDI対応も模索しながら、BtoB市場での標準WMSに成長することを目指す。

BtoBに求められる機能の実装としては、顧客企業と協力しながら、BtoBの作業フローにより即した機能を作り込んでいる。同社はもともとアパレル業界のBtoB向けに事業を開始したという特性上、BtoBに適したシステムの作り込みはスムーズに進むものと推察される。BtoBでの導入事例も増加傾向にあり、一例を挙げると、「ロジザードZERO」を導入した(株)ベッドアンドマットレスは、物流倉庫の出荷能力が500%以上伸張した。

(2) 人手不足を補う自動化トレンド
同社は引き続き、物流業界や倉庫業界における人手不足に対応するために、省力化・自動化ニーズに対応した製品の提供を加速させる考えだ。具体的には、AI物流ロボットとの連携の拡張、RFIDなどのオプション機能化による倉庫内作業の効率化を実現している。トラック運送業界の人手不足は大きな問題であり、省力化・自動化ニーズは堅調に推移するものと弊社は考えている。(公社)全日本トラック協会が2023年11月に公表した「トラック運送業界の景況感(速報)」調査によると、2023年7月~9月期において労働力が不足しているまたは「やや不足している」と回答した割合は65.4%となり、前回調査(2023年4月~6月期)より6.7ポイント悪化している。また、今後の見通しに関しても69.7%となっており、当面の間は人手不足が継続することが予想される。そうした見通しのなか、顧客の省人化・自動化に資する機能やオプションの拡充により、訴求力を高める方針だ。2024年6月期第2四半期においては、倉庫内の作業進捗や生産性などの数値を可視化するアプリケーションとの連携の実証実験に取り組んできた。経験や勘に頼らず、データからの意思決定を実現し、顧客業務の効率化に貢献している。

(3) 店舗のスマート化とオンラインとの融合
OMOマーケティングへの関心と、それを可能にする在庫管理手法への注目が高まるなかで同社は、OMO対応を加速させる。具体的には、他社製品とのAPI※連携の拡大、OMOマーケティングで求められる機能の整理と実装などによって「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」の開発と受注を推し進める。2024年6月期第2四半期は、OMOマーケティングに対する顧客ニーズを把握・集約し、機能面に落とし込む作業を継続した。

※API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーション同士を連携させるためのつなぎ役である。他社製品とAPI連携することで、自社システムに実装されていないソフトウェアやアプリケーションなどの機能を利用できるようになる。


これらの施策に加えて、販売促進活動も積極的に継続していく。倉庫を地方に構えている顧客や全国の顧客に対応するため、同社はコロナ禍前よりオンラインを活用した販売促進活動を積極的に行ってきた。オンラインを活用した集客活動と営業活動によってノウハウを蓄積していることに加え、オフラインのイベントも開催する。オフラインは既存の顧客が見込み客と一緒に来場するなど、新規顧客の獲得が期待できる営業機会である。また、オフラインでのコミュニケーションは、顧客のニーズを把握し、研究開発に反映できるという観点からも重要である。実際、2023年11月に開催した「ロジザードEXPO2023 つながる、クラウドサービス。」は立ち見がでるほど盛況だったようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《HH》

 提供:フィスコ

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