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【特集】デジタライズ待ったなし、表舞台に躍り出る「自治体DX」関連に照準 <株探トップ特集>

行政のデジタル化が遅れている。システム標準化の期限とされる25年度末までの対応が難しいとする自治体は約1割にのぼっており、DX化を支援する企業の活躍が期待される。

―デジタル庁が推し進めるシステムの標準化、対応遅れで関連銘柄の注目度アップ―

 デジタル庁が5日に発表した基幹業務システムの統一・標準化に関する調査で、全国の自治体の約1割が期限とされる2025年度末までの対応が難しいことが明らかになった。背景には現行のベンダーが対象システムについて標準準拠システムを開発せず、代替の調達見込みが立たないことなどがある。移行期限に間に合わない自治体は更に増える可能性があり、人工知能(AI)などを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)化の支援が急務となっていることから関連銘柄に注目してみたい。

●行政のデジタル化は待ったなし

 自治体システムの標準化とは、地方行政のデジタル化を推進するため、全国の自治体に対し基幹20業務(住民基本台帳、戸籍、固定資産税、国民年金、子ども・子育て支援、介護保険など)のシステムを国が示す標準仕様に適合したシステム(標準準拠システム)に移行すること。自治体は共通化されたクラウド基盤「ガバメントクラウド」と業務アプリを使用することになり、既存業務の見直しが必要となる。

 デジタル庁が実施した昨年10月時点の調査では、移行対象の1788団体・3万4592システムのうち、171団体・702システムの移行が困難だという。また、50団体・487システムについては現時点で移行が難しいシステムには該当しないものの、判定を保留していることから期限に間に合わない自治体が増える恐れがある。

 インフォマート <2492> [東証P]が7日に公表した自治体と取引のある企業を対象とした「自治体の会計業務に関する実態調査」によると、約6割の民間企業が請求書や契約書などを紙の帳票類でやり取りしていると回答。自治体に根強く残る紙文化と民間企業との商習慣の違いによる業務負荷が浮き彫りとなっており、自治体のDX化は待ったなしだ。

●TISはグループ会社が実証実験

 直近ではTIS <3626> [東証P]グループのインテックが7日、富山県とともに生成AI(コンピューターが学習したデータをもとに、新しいデータをアウトプットする技術)とマルチモーダルAI(言語、画像、音声、動画など多様な種類の情報を一度に認識、検索する技術)を活用し、自治体職員の書類検索の効率化・働き方改革を推進するための実証実験を実施したことを明らかにした。同社はこの結果を踏まえ、これまで自治体業務で培った知見と最新の技術を組み合わせることでサービスの価値を高め、他団体へも展開していく予定だ。

●AMI、自治体DX推進協議会に加入

 自治体DX推進協議会(東京都港区)は5日、アドバンスト・メディア <3773> [東証G]が会員として加入したことを明らかにした。同社は革新的な音声認識技術と、対話能力を持つAIアバター「AI Avatar AOI」を駆使し、自治体サービスの質の向上と業務効率化を支援する構え。自治体の課題解決策の一つとして期待されているのがコンタクトセンター向け音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite」で、このツールを通じて市民と自治体との間のコミュニケーションバリアを低減し、よりスムーズなサービス提供が実現できるとしている。

●SBテク子会社はレコモットと連携

 SBテクノロジー <4726> [東証P]子会社のM-SOLUTIONSは4日から、自社が提供するサイボウズ <4776> [東証P]の業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」関連サービスと、レコモット(東京都千代田区)が運営する総合行政ネットワークLGWAN(Local Government Wide Area Network)向けのクラウドゲートウェイサービス「moconavi LGWANクラウドゲートウェイサービス」との連携を開始。これにより、自治体は強固なセキュリティーを維持しながら、ネットワークや端末を切り替えずにM-SOLUTIONSの提供する16種類のkintoneプラグイン・連携サービスを利用できるようになるという。

●小規模自治体に強みを持つエルテス

 エルテス <3967> [東証G]グループのJAPANDXは2月27日、自治体の行政サービスのデジタル化支援に加えて、包括的なDX支援を目的としたサイバーセキュリティー領域での支援事業を24年度から本格的に展開すると発表した。JAPANDXは自治体との包括連携協定の締結を足掛かりに現在全国11自治体のDX支援に取り組んでおり、グループ全体では23年12月末実績で100を超える自治体にサービスを提供。小回りの利くベンチャー企業の特性を生かし、小規模自治体でのサービス活用を得意としている。

●ウイングアクとスマバはノウハウ融合

 ウイングアーク1st <4432> [東証P]は2月から、デジタル庁と連携して北九州市でデジタルインボイス標準規格「Peppol(ペポル)」の請求書受領の実証実験を開始している。また、同社はスマートバリュー <9417> [東証S]と自治体向けの公共施設予約システムを共同で開発し、4月から提供を開始する予定。両社は昨年2月に公共領域におけるDXの取り組みに関する資本・業務提携を行い、ウイングアクのデータ活用に関する豊富な知識・経験と、スマバが持つ地方自治体に対するチャネルや営業ノウハウを融合させ、行政デジタル化を推進する新たなサービスの提供・拡充を図っている。

●チェンジHD、プレイドなどにも注目

 このほかでは、総合行政情報システムを展開する電算 <3640> [東証S]、子会社が自治体DX支援事業を行っているチェンジホールディングス <3962> [東証P]、地方自治体向けにWebアンケート調査・分析サービスを提供するプレイド <4165> [東証G]、富山県が管理する公共施設の点検・保全業務の効率化事業に採択された実績を持つスパイダープラス <4192> [東証G]、公共施設予約管理システムを扱うスペースマーケット <4487> [東証G]、自治体向けソリューションを手掛けるアライドテレシスホールディングス <6835> [東証S]などに注目。

 グループ会社が広島県からDX基礎研修の講義及び運営業務を受託したと7日に発表したパーソルホールディングス <2181> [東証P]、「官庁・自治体向け業務スマート化支援ソリューション いつでもだれでも有識者会議調整アプリ」の提供を24年度上期に開始すると5日に発表したNEC <6701> [東証P]にも目を配っておきたい。

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