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4249 森六ホールディングス

東証P
2,708円
前日比
-27
-0.99%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.6 0.55 3.69 30.86
時価総額 419億円
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決算発表予定日

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森六 Research Memo(4):2022年3月期の売上高はナフサ価格の高騰や円安で実質増収(1)


■森六ホールディングス<4249>の業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期における世界経済は、コロナのワクチン接種が進み、各国で行動制限が緩和されたことから、一定の経済活動回復も見られた。しかしながら、世界的なサプライチェーンの混乱や半導体不足、原材料やエネルギー価格の急騰などが本格的な回復に水を差し、そこに追い打ちをかけるようにロシア・ウクライナ問題も加わるなど、先行き不透明な状況が続いている。同社グループの主な事業領域である自動車業界では、コロナ感染再拡大や半導体不足の影響による自動車メーカーの生産調整が続き、市場の需要に応えられないまま低い水準で推移した。また素材や資源の高騰、世界的なサプライチェーンの混乱、北米における人件費の上昇など、コストアップの要因も重なった。一方、化学業界では、ナフサ価格に連動した販売価格の上昇や、経済活動の再開に伴う需要の回復等により、市場は堅調に推移した。

このような事業環境のもと、同社グループは、生産性向上によってコスト削減や利益確保に努めつつ、半導体不足解消後の挽回生産に追随できるフレキシブルな生産体制の構築を進めた。第12次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づき、樹脂加工製品事業では、自動車部品の軽量化や環境配慮型素材の研究、電気自動車向けの部品開発などに注力した。また、ケミカル事業では、海外ローカルメーカーとの取引強化に加えて、合成受託ビジネスの拡大を睨んだ設備投資を行うなど、将来の成長戦略を推進した。さらに、第13次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)のスタートに先立って、「サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な社会の実現に向けて確実に活動推進する体制を整えた。

以上の結果、2022年3月期の業績は、売上高128,842百万円、営業利益2,846百万円(前期比49.8%減)、経常利益2,965百万円(同47.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,259百万円(前期は375百万円の利益)となった。今期より「収益認識に関する会計基準」等を適用し、同社グループの役割が代理人に該当する取引については純額で収益を認識する方法に変更しているため、売上高は従来基準に比べて47,157百万円減少していることから、売上高の前期比増減率は示していない。ただ、今期の売上高は、自動車関連は半導体不足による減産の影響が続いたものの、ナフサ価格の高騰の中で化学品需要が堅調なうえ、現地調達・生産を行う海外の売上が円安に伴い円換算で増加した影響もあり、旧基準ベースでは175,999百万円(同13.2%増)の実質増収であった。営業利益は、ケミカル事業は堅調に推移したものの、樹脂加工製品事業において半導体不足による減産影響が続いたことにより、減益となった。また、前期はコロナ感染拡大防止のため、各国政府や地域行政機関による要請や声明等を踏まえ、多くの拠点において一時的な操業停止または縮小があった。このため、当該期間に発生した固定費(人件費・減価償却費等)のうち、操業の停止または縮小により臨時性があると判断された金額、および当感染症に対処するために直接要した費用を、「新型コロナウイルス感染症による損失」として、特別損失に計上したため、その反動があった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期のコロナ関連の特別損失がなくなったことや、今期は投資有価証券売却益4,864百万円を計上したことから、大幅増益となった。

2. 事業セグメント別動向
樹脂加工製品事業では、売上高は101,786百万円、営業利益は1,253百万円(前期比72.6%減)であった。コロナ禍からの回復は進んだものの、日本および北米を中心に半導体不足等による主要顧客の減産の影響が大きかった。利益面では、製品構成で利益率の高い自動車が売れたことで増益となったものの、台数減に伴う減益や、北米を中心に労務費が増加したことで、前期比減益となった。北米では、挽回生産に備えて人員を確保する中、好景気を反映して他社との競合もあり労務費が高止まりし、また半導体不足による減産が直前に決まることも多く、人員調整が困難であったことが影響した。なお、前期はコロナ感染拡大による操業停止中の固定費2,173百万円を特別損失に振替えて小幅の営業増益となったが、今期はコロナ感染再拡大や半導体不足による減産の影響などが大きく響いた。以上から、樹脂加工製品事業の営業利益率は、前期の4.9%から1.2%に大きく低下している。

一方、ケミカル事業では、売上高は27,055百万円、営業利益は1,836百万円(同32.1%増)であった。「収益認識に関する会計基準」等を適用しない場合の売上高は、74,212百万円となり、実質的に増収となった。利益面では、売上に比例して物の動きが増えたことから運賃保管料が増加、一方で、ファインケミカルや生活材料分野を中心に、化学品原材料の販売が堅調に推移し、またモビリティ、コーティング分野では、国内向けは自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国やアジアではコロナ禍からの回復が進み海外ローカルメーカーとの取引も拡大、さらに電機・電子分野では、半導体や電子機器向けの原材料販売が伸長するなど、ケミカル事業では全事業分野が増益となり、コストの高騰分を吸収した。以上から、ケミカル事業の営業利益率は、旧基準で比較すると前期の2.2%から2.5%に上昇している。なお、新会計基準を適用した場合の営業利益率は6.8%である。

所在地別の売上高・営業利益では、日本では生産体質改善やコスト削減に注力し、関東工場の減損で減価償却費が減り前期比で増益となった。一方、中国では前期はコロナ禍からの挽回生産で利益が伸びたが、今期は半導体不足の影響により前期比で減益となった。北米では半導体不足による減産で労務費負担が重いなか、メキシコの新機種立上げコスト増が加わり減益となったが、足元では改善傾向にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《SI》

 提供:フィスコ

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