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4176 ココナラ

東証G
395円
前日比
-2
-0.50%
PTS
396.9円
23:49 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9,875 4.50 27.61
時価総額 94.5億円

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ココナラ Research Memo(4):業界随一のマッチング型ECプラットフォームに成長(2)


■ココナラ<4176>の会社概要

(2) ココナラの強みとリスク
「ココナラ」の強みはサービスの品揃えが豊富であること、サービスに対するレビューが付くことから購入者は客観的なレビューを参考にして購入できるため安心感があること、トラブル対策や不適切出品の監視などプラットフォームの安全性・信頼性を維持向上するための体制を強化していること、システムはすべて社内開発しているため迅速な機能の改良・改修が可能であること、などが挙げられる。

「ココナラ」のサービスには制作・ビジネス系と相談・プライベート系があり、流通高に占める構成比率は2022年8月期で制作・ビジネス系が61%、相談・プライベート系が39%となっており、制作・ビジネス系の比率が年々上昇している。制作・ビジネス系のうち約半分は「デザイン」「イラスト・漫画」「Webサイト制作・Webデザイン」のカテゴリで占めている。一方、相談・プライベート系のうち約26%は「占い」で、「占い」の約半分は電話相談サービスとなっている。「占い」の構成比率は2019年8月期の44%から低下しているが、流通高そのものは2019年8月期の約17億円から2022年8月期は約33億円と2倍弱伸びている。

「ココナラ」に出品できるサービスは個人の知識・スキル・経験を生かしたもので、同社が定めたルールの範囲内であればすべて可能なため、時代のニーズに合わせて自然発生的に新たなサービスが生まれることも特長の1つとなっている。2023年2月末時点でカテゴリ数は450を超え、出品数で70万件を超えるなど2番手以下を大きく引き離して業界トップを走っている。

なお出品が禁止されているのは、知的財産権や著作権等の侵害または侵害を助長するサービス、法律・法令に違反しているサービス、公序良俗に反するサービス、「ココナラ」外での取引を促しているサービスなどとなる。こうした禁止サービスの出品を防止するため、CS(カスタマーサポート)部門でAIによる画像認識技術も用いながら全件チェックを行っている。また出品者と購入者の間でトラブルが発生した際には、CS部門で仲裁に入る。両者のやり取りはすべて「ココナラ」を通して行われるため、その履歴を確認してトラブルの解決にあたる。トラブルとなるケースは月に数十件程度で全体の取引件数(13~14万件)の0.1%未満となっている。こうした運営サイトの安全性や品質を維持する取り組みを強化していることも、「ココナラ」のブランド力向上につながり、強みとなっている。

リスク要因として、売り手と買い手が直接取引を行う(中抜き)リスクが挙げられる。同社は中抜き防止策として、出品者と購入者のやりとりをすべて「ココナラ」内のテキストチャットやビデオチャット、電話などで行うように設計しているほか、個人情報(メールアドレス、電話番号等)をやり取りすることを禁止している。機械学習を使いながら中抜きの意図のあるコミュニケーションを検知する体制を整備しており、検知した場合は違反者に対して警告し、繰り返す場合にはアカウントの停止や売上がなくなるリスクのあることを明示している。「ココナラ」出品者は個人事業者で「ココナラ」で生計を立てている人も多く、アカウントが停止されるような違反者はほとんどいないと言う。

また、同様のマッチングサービスを行う競合に対する優位性の1つとして、出品数の豊富さに加えてレビュー数が圧倒的に多い点も挙げられる※。形が見えないサービスを購入するため、最初の取引を行う際には購入者側は特に慎重に出品者を選定することになるが、その際に客観的なレビューが多ければ判断基準として活用でき、購入に対しても安心感が醸成されるためだ。ここ数年ビジネスユースで購入が増加しているのも、こうした客観的レビューの積み重ねが一因と考えられる。

※同社の調べによると、2022年9-10月時点における同社の出品数は673千件で2番手のA社が63千件、レビュー件数は同社が4,873千件で、2番手のB社が857千件といずれも圧倒的な差がついている。


こうした強みを既に確立していることで参入障壁も高く、新規事業者が参入するリスクも低いと弊社では考えている。また、海外事業者が日本市場に参入する可能性もあるが、サービス品質の違いや言葉の壁などもあり、現時点でそのリスクは極めて小さいと言える。なおサービス分野におけるマッチングサービスとして、クラウドワークス<3900>やランサーズ<4484>などが展開しているクラウドソーシングがあるが、異なるビジネスモデルとなっているため同社の脅威にはならないと見ている。クラウドソーシングは発注者(購入者)が案件を公募し、カテゴリも制作系かつビジネス利用のみとなっている。また、これらクラウドソーシングの競合サービスとして、「ココナラエージェント」を開始したことになるが、差別化ポイントとしては「ココナラ」会員が「ココナラエージェント」で業務を受託した場合に、顧客からの評価を「ココナラ」に連携できるため、良い評価を得られれば「ココナラ」での販売促進効果が得られる点にある。

なお、最近注目度が上昇している生成AIによる影響について、AIが出品者の仕事を代替していくのではという見方があるが、同社では将来的に出品者の活動を手助けする技術であると認識している。既に、出品者のサービス内容の原稿に関してChatGPTを使って提案する「AIアシスタント機能(β)」を2023年4月にリリースした。同機能を用いることで、出品者自身のサービスの特徴をより効果的に表現できるようになることが期待されている。そのほかにも、新たなカテゴリ創出によるサービス提供機会の拡大や、AIを活用したデータ分析によるマッチング精度の向上にも取り組むことにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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