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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4055 ティアンドエス

東証G
1,694円
前日比
-7
-0.41%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.7 5.80 0.50 1.56
時価総額 129億円
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ティアンドエス Research Memo(2):トータルソリューションを提供する独立系ソフトウェア受託開発企業(1)


■会社概要

1. 沿革
ティアンドエス<4055>は2016年11月、1996年創業の(株)テックジャパンと1985年創業の(株)シナノシステムエンジニアリングが合併してできた比較的若い企業である。代表取締役執行役員社長の武川義浩(たけかわよしひろ)氏の同業界における30年以上の経験と、そのなかで培われた東芝グループをはじめとする顧客との強固な信頼関係によって、創業以来右肩上がりで成長してきた(武川氏は、東芝グループが手掛けた原子力発電所のシステム開発に従事していた経歴を持つ)。創業以来の売上高平均成長率(CAGR)は11.3%と高い成長率を誇っている。将来の成長加速に向けて、研究開発活動にも注力している。2019年には東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センターと、スピントロニクス技術を用いた次世代メモリの制御、応用ソフトウェアに関する共同研究を開始した。2020年8月には設立からわずか4年弱で東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしている。

2. 事業内容
同社は「あらゆる産業において、ソフトウェア技術が生み出す新たな付加価値を通じて、お客様に安心と満足そして豊かさを提供すると共に、社員を大切にし、株主様に貢献する」という企業理念の下、東芝グループ、日立グループ、キオクシアグループなどをはじめとする顧客から生産管理システムや業務管理アプリケーションなどの受託開発を請け負っているほか、社員派遣型の保守・運用サービスも提供している。バリューチェーンの一部に特化するのでなく、要件定義、システム開発などの川下から運用・保守といった川上まで全体にわたってサービスを提供していることが同社の特徴の1つである。これにより、顧客との接点を増やし、収益獲得機会を増やすことを可能にしている。

同社は、ソリューションカテゴリー、半導体カテゴリー、先進技術ソリューションカテゴリーの3つで事業を展開している。ソリューションカテゴリーでは様々な業種の顧客からシステム開発を受託している。半導体カテゴリーでは、半導体工場のITインフラの運用・保守サービスやヘルプデスクサービスを提供している。先進技術ソリューションカテゴリーは高度なソフトウェア技術により新市場を創出することが期待される。外部機関との連携による先進技術の研究や、他社と一線を画したAIサービスなどを提供している。

3. ソリューションカテゴリー
ソリューションカテゴリーは同社の収益基盤である。同カテゴリーの2022年11月期の売上高は、前期比15.6%増(328百万円増)の2,429百万円であり、売上高全体の74.6%を占めている。取引先の企業は、強固な顧客基盤である東芝グループ、日立グループ、キオクシアグループをはじめ、医療、金融関連など多岐にわたっている。こうした大手企業との取引実績を生かし、他の大手企業や中堅企業へと顧客の幅を拡大させている。顧客企業にとっては、同社の大手企業との取引実績が安心材料になっている格好だ。同社は、幅広い顧客に対し、重電系管理システム、プラント・工場の生産管理システム、経費精算システム、人事考課システムなどをはじめとする業務アプリケーションの受託開発サービスを提供しているほか、医療システムの開発やオンサイトでの開発支援も行っている。また、開発にとどまらず、コンサルティングから要件定義、テスト、検証とバリューチェーンのすべてのフェーズでサービスを提供しており、これが同カテゴリーの競争優位性の1つとなっている。ワンストップでソリューションを提供することにより、顧客にとっては利便性の向上につながっている。一方、同社にとってはバリューチェーンの様々な段階で顧客ニーズを吸い上げることができ、受注の最大化を実現することにつながっている。同カテゴリーの業績は、今後も堅調に推移すると弊社は見ている。同社の主力顧客基盤からの安定した受注が期待できることに加えて、コロナ禍の影響を受けて日本企業のDX推進がさらに加速しているためだ。IT化やDXの流れは、当面続くことが予想され、堅調な需要が見込めるカテゴリーであると言える。

4. 半導体カテゴリー
半導体カテゴリーも、同社に安定した収益をもたらしている。同カテゴリーの2022年11月期の売上高は、前期比26.0%増(120百万円増)の584百万円で売上高全体の18.0%を占めており、ソリューションカテゴリーに次ぐ収益源となっている。主な顧客は、東芝グループとキオクシアグループ各社である。これらの顧客に対して、半導体工場内のシステム運用・保守並びにインフラ構築支援などのサービスを提供している。具体的には、業務アプリケーション導入支援、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:事業プロセスを自動化する技術の1つ)導入・運用支援、業務プロセス効率化支援などのサービスだ。

同カテゴリーの対象である半導体は、DXの成否を左右する部品と言っても過言ではなく、今後ますます半導体に対する需要が拡大していくと弊社は考えている。実際、(一社)電子情報技術産業協会の「2022年秋季半導体市場予測」によると、市場規模は順調に拡大している。2023年に関しては、市況の悪化により前年をわずかながら下回るものの、5G、IoT、データセンター、電気自動車、再生可能エネルギーなど、半導体の需要は底堅く推移することが見込まれている。また、たとえ生産が減少したとしても、工場が稼働している限り、管理システムの保守・運用などのサービスに対する需要がなくなることはない。したがって、同カテゴリーも安定した収益基盤であり続けると同時に、今後の成長が期待できる分野であると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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