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3856 Abalance

東証S
1,966円
前日比
+3
+0.15%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
4.9 2.16 92.71
時価総額 344億円
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決算発表予定日

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エーバランス Research Memo(3):「グリーンエネルギー事業」と「太陽光パネル製造事業」が両輪(1)


■Abalance<3856>の会社概要

3. 事業内容
同社グループは、グリーンエネルギー事業と太陽光パネル製造事業を両輪とした、再生可能エネルギーの総合カンパニーで、そのほかIT事業、光触媒事業、建築機械事業を有しており、独自のシナジーを発揮している。

(1) グリーンエネルギー事業
同社グループでは、太陽光発電に関する企画・開発から施工、O&M※1、リサイクルまでを一貫して行う垂直統合型のワンストップソリューションを展開している。自社のサプライチェーンに製造機能を持つ企業は少なく、同社の強みとなっている。近年ではストック型ビジネスによる安定収益基盤の強化を目的に、発電所の自社保有化による売電収入の拡大を推進している。そのほか、太陽光パネル及び関連商材(パワーコンディショナ(以下、PCS)、蓄電池等)の仕入販売や太陽光発電所の販売(中古案件含む)なども行っている。また海外事業として、エネルギー需要が旺盛な東南アジア圏や台湾などで現地企業との合弁等により、EPC事業※2やIPP事業※3なども行っている。

※1 O&M(オペレーション&メンテナンス):太陽光発電設備等の保守・管理サービス。データ解析を含む日常的な発電状況の把握及び監視、並びに定期点検を通じた設備性能の維持、事故の早期発見、部品・機器の交換等を適時実施している。
※2 EPC事業とは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含む、プロジェクトの建設工事請負事業のこと。
※3 IPP(Independent Power Producer)事業とは、自らが所有する発電設備で作った電力を電力会社に卸売する事業を指す。


顧客は、太陽光発電所を保有する国内外のIPP事業者のほか、住宅用ソーラーパネル及び関連商材の卸販売会社、一般事業会社及び公共団体等(太陽光パネル設置工事)となる。太陽光パネルは、自社ブランド「Maxar(マクサ)」を販売しており、性能、価格面ともに大手メーカー製と遜色はなく、変換効率が上回る製品もラインナップしている。PCSについては信頼性の高い大手メーカーから調達し、蓄電池については自社の開発チームで大手メーカーと共同開発している。太陽光発電所の開発エリアとしては、北海道、東北から千葉圏を中心とする関東エリアのほか、近畿並びに九州エリアとほぼ全国的に展開している。

そのほか、蓄電池事業についても産業用・家庭用蓄電池にも参入している。同社はこれに先駆けて折り畳み式軽量モジュールをセットにしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発し、2019年10月より販売している。太陽光パネルの廃棄処理問題の解消に貢献すべく、リユース・リサイクル事業をPV Repowerが担っている。さらに、同社グループのバーディフュエルセルズは、未来の新エネルギーとして期待される水素エネルギー貯蔵システムの開発に取り組んでいる。

海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、台湾などで開発実績があり、直近では、2022年6月にWWBが、(株)ホテル三日月グループの運営する複合型リゾート「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」(ベトナム)に、屋根設置型の太陽光発電設備(VSUN製パネル、発電能力1MW相当)を設置した事例がある。2020年以降は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)により海外事業は足踏みしていたが、需要が旺盛な南米やアフリカ地域も含めて積極展開する方針である。

(2) 太陽光パネル製造事業
太陽光パネル製造事業を担うVSUNはFUJI SOLAR傘下の子会社として2015年6月に設立され、日本の技術者のノウハウを注入しながら育成し、年間生産能力で5.0GWの規模にまで成長した※。生産量は世界ランキング上位に入るとしており、日系企業のなかでは最大手となる。事業開始当初は欧州向けを中心に輸出していたが、ここ数年で米国向けが急成長している。

※2022年10月に第4工場が竣工し、太陽光パネルモジュールの年間生産能力は従前の2.6GWから5.0GWに増加した。


VSUNの第4工場竣工により拡張した生産能力のもとで、太陽光パネルの主要部品となるセル(N型TOPCon)を現状の外部調達から自社生産体制へ移行するため、ベトナムフートー省におけるセル工場建設に係る設備投資を実行する。生産予定のセルはVSUNの太陽光パネル製造利用を主用途として想定し、サプライチェーンの垂直的な川上強化とともに主要部品の内製化によるコスト削減を企図している。外販を見据えたグローバルマーケティングについても同社グループとして強化する方針だ。

VSUNの製品に関しては日本発の品質管理体制の下、先進的な自動生産ラインで製造しており、品質及び信頼性において外部の評価機関からも高く評価されている。具体的には、英国グローバルメディアのAPAC Insiderが授与するAPACビジネスアワードにおいて、「Best International PV Solar Manufacturer-Asia Pacific」賞を受賞(2022年1月20日公表)したほか、太陽光モジュールの信頼性・性能試験機関であるPV Evolution Labsから、モジュールの信頼性に関する調査結果をまとめた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」(2022年度版)において、前年に引き続き「トップパフォーマ」の1社に認定された(2022年5月30日公表)。さらには、サプライチェーンを主体とするCSR、サステナビリティの世界的な評価機関であるEcoVadis(フランス)の評価にて、世界中の75,000以上の参加企業のなかで64位にランクされ、前年度に引き続きBronze Medalを受賞した(2023年1月発表)。本評価にて一定水準以上の評価を受けたサプライチェーンには特段のリスクがないという社会的な評価を得られることになり、近年では欧米をはじめ、日本でも購買部門のサプライヤー契約リスク管理のため、EcoVadisの評価結果が幅広く活用されるようになってきている。

VSUNではベトナム「UPCoM店頭市場」の株式上場に向けて現地の公開会社制度への登録審査中であるが、ベトナム市場は成長資金を取りに行くには市場規模が小さいため、ほかの外国証券市場への株式上場も含めて検討する方針としている。

なお、現状のVSUNの資本構成を見ると、WWBの子会社であるFUJI SOLAR(出資比率51.0%)を通じた間接所有となっており、実質所有割合は約43%で残りは非支配株主持分となっているが、株式上場後も引き続き連結子会社として維持する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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