【市況】【植木靖男の相場展望】 ─浮沈を賭けた攻防戦が続く
株式評論家 植木靖男
「浮沈を賭けた攻防戦が続く」
●目下の攻防戦の決着は近い
日経平均株価は3月9日高値の2万8734円まで戻した後、再び調整色が強まり、翌10日からは窓を空けて本年最大の下げをみせた。同日、米国ではシリコンバレーバンクの破綻が顕在化(後に持ち株会社だったSVBファイナンシャルグループ<SIVB>も破綻)。さらに、スイス金融大手のクレディ・スイス・グループ<CS>の経営不安も重なり、世界景気の悪化懸念が強まり、16日安値の2万6632円まで急落した。一方、為替市場では日米の金利差縮小から円高が進んでいる。
だが、下がれば上がるのが相場の世界。3月22日に東京市場は大幅反発に転じた。金融システム不安に対して、米連邦準備制度理事会(FRB)が迅速な対応をみせ、全面的な預金保護に動き、投資家心理は落ち着きを取り戻した。
こうした経緯のもと、市場と中央銀行との間の軋轢を指摘する声がある。市場はFRBの利上げを阻止すべく連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、株価の下落を主導し圧力をかけたとの見立てだ。だが、結果的にはFRBは0.25%の利上げを決め、不況防止よりもインフレ退治を優先したことになる。構図としては市場の負けだが、両者のせめぎ合いは今後も続きそうだ。
では、今後、株価はどう推移するのか。このところ経済指標の多くは景気悪化を示唆しているし、チャート的にも米国株は22年1月に大天井を打ち、二番天井の形成もここへきての下げで完成したと見られる。となれば、今後は大勢二段下げに入るとの見方が強まる。
しかし、わが国の株価は米国とは異なった景色となりそうだ。日本は米国に対して周回遅れが常という。インフレもそうだし、それに対応する金融政策も、そして株価も同じ。日本株はこれからが勝負どころとなろう。
現状のわが国の株式市場だが、まずは底入れしたかどうかである。その見分け方は、平時なら材料30%、チャート30%、構想力30%といわれるが、天井・底入れの際にはチャート60%、材料10%、決断力30%だという。
チャートで言えば目下、75日移動平均線が注目されている。たとえば、年初来、明確に75日線を上回れば買い転換となっている。いまのところ日経平均株価は同線を上回って攻防が続いている。この攻防戦は4月にかけて決着がつきそうだ。
●大発会前後に底入れした銘柄に注目
さて、もう一つ大事なことは、仮に75日線を十分に上放れた後、どのような銘柄が相場を制するかである。常識的には、新年の大発会前後に底入れした銘柄群といえそうだ。逆にいえば、そうした銘柄群が一斉に飛び出せば上値を試す相場としては申し分ないだろう。
ただ、米国ではナスダック指数が頑張っているということから、ハイテク株もまだ主力株として活躍するかもしれない。しかし、徐々にグロース株からバリュー株へと主力が移行しつつあるとすればどうだろう。
バリュー株が大発会前後で底入れしているのなら、年初から日柄でまだ3カ月が経過したところ。まだ余力十分のはずだ。
そうした中から業種でいえば鉄鋼、海運、非鉄金属といった市況産業株、それに一足早く調整に入った金融株、小売り、運輸、不動産など内需株がいずれ芽を出すと思われる。業種を代表する銘柄に絞ることも考えたい。
2023年3月24日 記
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