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3854 アイル

東証P
2,676円
前日比
-11
-0.41%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.0 7.69 1.35 1,333
時価総額 670億円

銘柄ニュース

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アイル Research Memo(4):「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴(2)


■事業概要

3. 「CROSS-OVERシナジー」戦略
アイル<3854>は、ITの有効活用が必要な中堅・中小企業の経営力アップを支援するための商材を「リアル」と「Web」の両面から開発・提案し、顧客の企業力強化を図る「CROSS-OVER シナジー」戦略を推進している。この戦略は同社独自の提案スタイルで、業務効率化を支援するシステムソリューション事業(リアル)の基幹業務システムと、販売力強化を支援するWebソリューション事業(Web)のサービスを複合的に提案することで「オール・ワンストップ」サービスを実現し、強力なシナジー効果を生み出している。

この「CROSS-OVERシナジー」戦略によって攻めの力も守りの力も強固となり、顧客企業数は増加基調である。2022年7月期の顧客企業数は前期比4.4%増の7,075社(システムソリューション事業が同3.1%増の4,920社、Webソリューション事業が同7.7%増の2,155社)であった。また、顧客企業数の増加に伴い同社が重視しているストック型商材の売上が伸長し、利益体質が強化されている。

4. 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、などが挙げられる。

(1) 中堅・中小企業市場への特化
会社創業以来、中堅・中小企業市場に特化して独自サービスを提供しており、顧客企業数に占める割合は年商50億円未満の中小企業が約9割となっている。それらの取り組みが評価され、2011年には経済産業省「中小企業IT経営力大賞2011」の特別賞(商務情報政策局長賞)を受賞している。また「アラジンオフィス」「アラジンEC」「CROSS MALL」「CROSS POINT」「CROSS STAFF」は、経済産業省が推進する「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の「IT導入支援事業者」に認定されている。

(2) 特化業種の深耕戦略
卸売業・小売業や製造業のなかでも、特に中堅・中小企業の多い業種に絞り込んだ特化業種の深耕戦略も強みである。業種特化型システム開発や業種別専門チーム体制などサービス力・営業力で負けない体制を形成し、新規顧客獲得力アップにつなげている。具体的にはアパレル・ファッション業界、食品業界、医療機器業界、ねじ・金属部品業界、鉄鋼・非鉄業界を主力5業種と位置付けて、業種特化型パッケージソフト「アラジンオフィス」シリーズなどによる市場深耕を推進している。

(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ
会社創業以来、顧客の業務への理解が求められる販売・在庫管理ソフトウェアの提供を続けている。製造・卸・小売などの業態や各業種、さらには個社ごとに管理方法が異なる販売・在庫管理において、「リアル」「Web」問わず豊富な導入事例とノウハウを有している。

(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略
複数の商品群からなる商品生態系戦略も強みである。ネットショップ構築・運営支援サービスのインターネット領域、店頭での売上管理やバックヤードの在庫管理のリアル店舗・本部領域、さらに「リアル」と「Web」の在庫やポイントを一元管理するリアル・ネット融合領域をすべてカバーし、自社製品・サービスを開発・提供している。そして様々な商品を組み合わせることで複合的な提案を可能にし、顧客へのトータルソリューションを実現している。

(5) 社員の約7割が技術職の体制
2022年7月末時点の社員数820人(前期末比54人増加)の構成は、技術職73%、営業18%、スタッフ9%となっている。社員の約7割が技術職の体制で、システム提供後のサポートも重視している。今後も1人3役(業界・業務ノウハウ、基幹システム、Web)をこなす人材育成と技術力強化を促進する組織構成を目指し、技術部門の人員強化を継続する。一方で、労働集約型の生産体制から脱却するための環境整備や商品開発も推進している。

(6) 個別カスタマイズ対応力
中堅・中小企業は、業種ごともしくは個別企業ごとに業務運営方法が多様なため、多様なニーズに対応するソフトウェアの個別カスタマイズ対応を基本戦略としている。ソフトウェア開発市場における近年の動向として、ソフトウェアの個別カスタマイズに対応できる企業が減少傾向となっており、受注競合が減少していることも利益率の向上につながっている。

(7) 小売業へのオムニチャネル戦略
近年の小売業においては、リアル店舗とWeb店舗を融合して、あらゆるチャネル(販路、顧客接点)から顧客が同じように商品を購買できる環境・流通経路を実現するオムニチャネル戦略が注目されている。同社は創業時から「リアル」と「Web」の融合を事業化し、一朝一夕では実現できない事業ノウハウ・事例を蓄積しているため、小売業におけるオムニチャネル戦略の進展に対しても、他社にはまねできない優位性を確立していると言えるだろう。

(8) 自社製品・サービス比率の高さ
同社は、価格変動に左右されやすく利益率も低いハードウェアなどといった、他社製品の売上に依存しない収益構造構築を経営方針の重要事項としており、自社製品・サービスを中心とする拡販を推進している。その結果、売上高に占める自社製品・サービス(ソフトウェア・運用・保守・会費など)の比率は約7割と高水準である。

(9) パートナー戦略
新規案件紹介元・営業協力会社であるパートナー(銀行、SIer、IT機器メーカー、コンサルタント、会計事務所など)からの高い信頼も特徴である。システムソリューション事業の新規受注(金額ベース、2022年7月期末)は、パートナー紹介40.2%、自社ホームページを通じての引き合い38.5%、自社営業による開拓21.3%であった。パートナー紹介及び自社ホームページを通じての引き合いといったPull型営業の比率上昇が、営業効率化につながっている。

このように業界・業務に精通し、基幹システムとWebの知識を備える人材を揃えている優位性やパートナー戦略の結果、システムソリューション事業の競合勝率は93.1%(2022年7月期)、リピート受注率は98.4%(同)となっており、競合優位性は高いと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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