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【特集】忍び寄る食料危機に対応、世界を救う植物由来「べジミート」関連株6選 <株探トップ特集>

2050年代には世界人口は100億人を突破し、肉を含めた食料への需要拡大が予想される。先行き深刻化が懸念される食料問題の解決策として期待されるのが植物由来の「べジミート」だ。

―ウクライナ問題でフードテックが再脚光、環境負荷小さく高成長性を本格評価―

 10月に入り多くのモノの値上げが実施されたが、最も多くの人がダメージを感じやすいのが食料価格の上昇だろう。また、ウクライナ危機を背景にした穀物不足に対する警戒感も高まっている。忍び寄る食料危機とその解決策の一つとして注目度が高まっているのが、 大豆を主原料とする植物由来食品だ。今回は植物性原材料でつくった 代替肉である「べジミート」にスポットライトを当てた。

●長期的には世界人口増で食料危機は切実な問題に

 今年は食料問題が、かつてなく身近に感じる状況にある。一般に食料危機は、言うまでもなく環境問題とも密接な関係にあるが、その他には政治(軍事)的な問題とも緊密につながっており、足もとロシアのウクライナ侵攻によって状況悪化に拍車がかかった。両国は農産物や肥料の輸出大国として位置づけられており、実際に侵攻をきっかけとして小麦など国際食料価格は一時急騰し現在も強含みで推移している。

 そんななかで国際通貨基金(IMF)は9月30日、食料危機に関する最新の報告書を公表した。同報告書では、全世界で約8億6000万人が栄養不良状態にあると推定(8月時点)。特に約3億4500万人が深刻な状況だと警告し、「(解消のためには今後12ヵ月で)約500億ドルが必要」としている。実際、目に入りやすい日本の情報だけを見ていると、人口減少の流れが世界的な主流のように誤解しかねないが、世界的に人口は増加傾向にあり、世界全体で2050年代には100億人を突破すると予測されている。異常気象や戦争などに限らず、人口増加の観点からも食料危機はかなり切実な問題として認識されているのだ。

 こうした食料危機に対応していくには、政策的な第一次産業支援はもちろんのこと、フードロス削減などの取り組みを先進諸国が強力に推進していくことなどさまざまなアイデアが挙げられる。そして近年一段と注目が高まっているのが植物性たんぱく質を使って肉の味などを再現した「ベジミート」だ。

●伊藤忠は独自の食品ブランドを立ち上げる

 植物性の代替肉は、本物の肉の味や食感を分子レベルで再現しており、可能な限り肉の食味に近づけるなどさまざまな工夫がされており、代替肉専門のレストランなども増えてきている。例えば伊藤忠商事 <8001> [東証P]は植物由来の原材料を使用した環境負荷の少ないプラントベース食品ブランド「wellbeans(ウェルビーンズ)」を立ち上げている。高たんぱくなヘルシーフードであり、環境負荷が低い豆類を原料とし、「おいしさ」「素材」「健康」「環境」の4つに徹底的にこだわる製品を開発、展開する。今や大企業からスタートアップまでがその拡大を確実視して、注目している領域と言える。

 何かと動きが遅いと揶揄(やゆ)されがちな日本だが、実はこの領域では20年に「フードテック振興のための議員連盟(フードテック議連)」が設立されている。また、「細胞農業によるサステナブル社会推進議員連盟」が6月に発足しており、 培養肉の生産を政府の成長戦略の一つにすることを目指し、年内にも提言を同議連がまとめるとの報道も見られている。ただし、既に20年には世界で初めてシンガポールが培養肉の販売を許可するなど諸外国が先行しており、日本も技術開発やスタートアップの育成、規制緩和について緊張感を持って加速させていくことが求められる。

 とはいえ、私たちの食生活が比較的安心・安全である背景には、厳しい規制が良い意味で機能していることは忘れてはならない。例えば、細胞を培養して育てて生み出す培養肉は、食品としては明確な定義が現時点ではないようであり、原材料や製造工程などにおける安全基準が整備されていないといった問題が以前から指摘されている。迅速なルール整備と規制緩和の適切なバランスを取りながら、日本勢が世界でプレゼンスを発揮していくことが期待される。そこで以下では、注目のフードテックである「ベジミート」関連銘柄を取り上げる。

●マツキヨココ、ケンコーマヨ、大塚HDなど注目

 マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]~オリジナルヘルスケアブランド「matsukiyo LAB(マツキヨラボ)」の日常的なアスリート向けシリーズ「アスリートライン」の新商品として、「ソイミートジャーキー」を11日より販売を開始する。「アスリートライン」は定番のプロテインからトレンドやニーズを取り入れた商品まで幅広く展開しており、「塩辛いプロテイン」シリーズの「プロテインスナック」は発売から8ヵ月で累計23万個を突破。今回発売する「ソイミートジャーキー」はペッパー味の大豆ミートジャーキーとなる。

 昭和産業 <2004> [東証P]~同社は製粉、油脂の大手。大豆たんぱく事業は原料としての大豆たんぱくを加工メーカーに販売しているが、最近では自ら家庭用商品の大豆ミート「まめたん」を提供するほか、「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」「美活ポタジェ 大豆たんぱくとコーンのポタージュ」を展開する。

 大塚ホールディングス <4578> [東証P]~傘下の大塚食品では「ZEROMEAT(ゼロミート)」のブランド名で、大豆を中心とした植物性原材料を使用したハンバーグ、ソーセージ、ハム、餃子を販売する。セブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]のフード事業会社セブン&アイ・フードシステムズが運営するレストラン・デニーズでは21年5月よりゼロミートのメニューを販売しているが、9月から定番のハンバーグ5種類をプラス50円でゼロミートのハンバーグに変更できるメニューが追加された。

 ケンコーマヨネーズ <2915> [東証P]~大豆ミートを中心に仕上げた「やさいと大豆ミート」シリーズにおいて、ボロネーゼ、担々辣醤、甘辛醤油そぼろ、キーマカレーを販売しており、ホームページ上では同製品を活用したレシピを公開している。

 プリマハム <2281> [東証P]~マルコメ(長野県長野市)の展開する大豆製品ブランド「ダイズラボ」とのコラボ商品として「Try Veggie(トライベジ)」シリーズを21年3月から展開しており、大豆の肉で作ったハンバーグやミートボール、ミニフライドチキン、ミニメンチなどを販売。

 プレナス <9945> [東証P]~定食レストラン「やよい軒」では、大豆ミートを使用したしょうが焼き定食、野菜炒め定食、なす味噌と焼魚定食などを提供しており、「大豆ミートの豆苗玉子炒め定食」を4日から販売している。また、テイクアウトの「おうち定食」でも「大豆ミートの豆苗玉子炒め」を併せて発売した。

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