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3804 システム ディ

東証S
1,258円
前日比
-1
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.7 2.01 1.91
時価総額 81.7億円
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システム ディ Research Memo(4):公教育ソリューション、公会計ソリューションの新規導入数は大幅増加(1)


■業績動向

2.事業部門別動向
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、学園運営をトータルに支援する学園情報管理システム「キャンパスプラン」を提供している。学校運営を支える情報システムは、学務系(対学生・生徒業務)と法人系(学校法人の内部管理業務)の大きく2系統に分けられるが、「キャンパスプラン」はこれらの業務をトータルで支援するソフトウェアとなっていることが特徴であり、強みとなっている。対象は国公立大学と私立学校法人(大学・短期大学・高校・専門学校等)向けで、システム ディ<3804>の製品は全国の国公私立大学(短大含む)約1,100校のうち約350校に導入され、業界トップクラスのシェアを確立している※。大学以外にも私立の専門学校や高校で導入が進んでおり、2022年4月末の累計導入学園数は前年同期比10校増の1,011校となった(現役ユーザー数は500~600校)。

※競合は日本システム技術<4323>で、導入実績は2022年3月末で420校超。2022年3月期売上高で3,832百万円。


2022年10月期第2四半期累計の売上高は前年同期比13.5%減の618百万円と2期連続で減少した。新規導入校数が前年同期の7校から4校に減少したことに加えて、コロナ禍によりカスタマイズ案件の導入提案も苦戦し、売上高で50百万円強の減収要因となった。

なお、2019年11月に販売を開始したクラウド型の次世代学園総合情報システム「Campus Plan Smart」は、機能性・利便性・操作性が大きく向上し、また高度なセキュリティ機能にも対応していることが特徴となっている。総務・人事給与システムの提供からスタートし、学務系システムやその他業務システムへと順次開発を進めてきた。現状、主要機能についてほぼ開発を終えた状況となっており、今後ユーザーからフィードバックを得ながら製品のブラッシュアップを進めていくことにしている。ここ数年は業界での価格競争もあって売上高の伸び悩みが続いていたが、同製品の投入によって既存顧客でのリプレイスを進めると同時に新規顧客を開拓し、再成長を目指していく戦略となっている。

(2) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業の製品はフィットネスクラブやスポーツ施設、アミューズメント施設などで利用される会員管理を中心とした施設運営支援システムとなる。2006年に提供を開始したフィットネスクラブ・スポーツ施設の会員管理システム「Hello EX」は業界トップシェアとなっており、2017年後半には文化・観光施設向け運営管理システム「Hello Fun」もリリースし、顧客の拡大に取り組んでいる。同事業については、情報機器や入退場ゲート等のハードウェア製品を含めて販売するケースもある。2022年4月末の累計顧客数は前年同期比64施設増の1,259施設となった。

2022年10月期第2四半期累計の売上高は前年同期比14.8%減の326百万円と2年連続で減収となった。コロナ禍の影響が長引き、主力ユーザーとなるフィットネスクラブ等において、新規出店計画の延期や事業縮小及び店舗閉鎖が続いたこと、アミューズメント施設業界においても投資の抑制が続いたことが減収要因となっている。フィットネスクラブ等の会員数についてはコロナ禍前の状態を100とすると、2020年に5割程度の水準まで落ち込み、直近は7~8割程度まで回復したものの、まだ投資を行うまでの余力はなくもう一段の会員数の回復が待ち望まれる。

こうしたなかで、2020年11月にリリースしたクラウド型会員管理・会費回収システム「Smart Hello」は順調に顧客獲得が進んだ。同システムは、パーソナルジムをはじめとする小型会員制施設向けを対象としたサービスで、月額1万円からの低価格料金で提供している。当第2四半期累計の新規顧客獲得数は43施設と前年同期の17施設から2.5倍に増加したが、大半は「Smart Hello」の顧客獲得によるものとなっている。

(3) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小中高校向けに統合型校務支援システム「School Engine」※をクラウドサービスで提供している。同じ学校向けでも、私立学校法人や独立行政法人である国公立大学を対象とする学園ソリューション事業とは事業環境が大きく異なる。違いの1つは自治体予算制度というものだ。公立学校は各自治体の教育委員会の管理下にあり、エリア内での共通予算はあっても1校当たりの予算の制約が厳しい。こうした状況に適合するため、同社は「School Engine」を初期投資負担の少ないクラウドサービスで提供している。競合のなかにはパッケージソフトで提供しているところが多く、小中高校のすべてでクラウドサービスを提供しているのは同社だけとなっている。

※統合型校務支援システムとは、教務系(成績処理、出欠管理、時数管理等)・保健系(健康診断票、保健室来室管理等)、学籍系(指導要録等)、学校事務系などを統合した機能を有するシステムのこと。同社の「School Engine」はこれらの機能のほかに生徒や保護者とのメール連絡網、グループウェア機能などがオプションで用意されている。


営業先も学園ソリューション事業とは異なり、高校は各都道府県、小中学校は各市町村の教育委員会が窓口となる。案件を落札できれば当該教育委員会の管轄下にある学校すべてに導入されることが多い※。入札公示時期は案件によって異なるが、7~8月公示の場合は9~10月に落札事業者が決まり、翌年4月までに導入して運用開始となり、12~1月公示で2~3月に落札、2学期が始まる9月から運用開始となるケースもある。

※高校については、自治体によって市立、県・府立、特別支援学校など導入対象を細分化して決めているところもある。例えば、同社が導入実績のある京都府では市立高校のみ、滋賀県では特別支援学校のみの導入となっている。


2022年10月期第2四半期累計の売上高は前年同期比53.2%増の743百万円と過去最高を大幅に更新した。2022年4月末の累計導入校数は前年同期より674校増加の3,742校(20県、4政令指定都市、10中核都市:高校約45%、小中学校約42%、他幼稚園、特別支援学校等)となり、当第2四半期累計の新規導入校数は637校と前年同期の74校から大幅に増加した。このため、システム利用料収入の増加に加えてフロー売上(初期導入費用)が増収に大きく貢献した。弊社ではフロー売上だけで2億円程度の増収要因になったと見ている。高校向けで新たに北海道、愛知県、新潟県(1道2県で約550校)を受注したことが大きい。公立高校の導入校数は1,600校を超え市場シェアで約48%※とトップの地位を盤石なものとしている。高シェアを確立した背景としては、約10年前に業界で初めてクラウド型校務支援サービスの開発・提供を行ったことが大きい。他の自治体は導入実績を見て製品の採用を判断する傾向にあるためだ。高校向けについては富山県(52校)も受注しており、2023年4月に導入予定となっている。一方、小・中学校向けに関しては後発だったこともあり、市場シェアは約6%と業界3~4番手に位置している。

※文部科学省「学校基本調査」(令和3年度)によると、全国の公立高校数は3,521校、小・中学校数は28,258校。


なお、奈良市教育委員会の協力のもと開発を進めてきた保護者向け情報デジタル配信サービス「Home Services」は、2021年4月より奈良市の一部の小中学校向けに「School Engine」のオプション機能として運用を開始した。児童生徒に関する活動情報を学校から保護者にインターネットを通じて直接提供するサービスとなる。同社では奈良市で1年程度、運用実績の蓄積と機能改修を図ったうえで全国展開していく予定であったが、各自治体によってさまざまなニーズや考え方の違いがあるようで、拡販にはもうしばらく時間が掛かる見通しとなっている。なお、料金については「School Engine」の利用料の2~3割程度を想定している。

文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和2年度)」によれば、2021年3月における公立学校は全国で約3.3万校となっており、このうち統合型校務支援システムを導入済みの学校は73.5%(約2.4万校)と年々上昇傾向にある。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では2022年度までに導入率100%を目標としているため、普及がほぼ一巡すると見られる2023年度以降は導入校数の伸びも鈍化する可能性が高い。このため、同社では「Home Services」のような新たなソリューションを開発・提供していくことで、成長を目指していくことにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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