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3800 ユニリタ

東証S
1,942円
前日比
+2
+0.10%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.4 1.28 3.50
時価総額 155億円
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決算発表予定日

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ユニリタ Research Memo(1):2019年3月期上期は増収減益。新規事業等への積極投資が利益を圧迫


■要約

1. 会社概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造を始め、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェアの開発・販売・サポートのほか、データ活用ソリューションの提供を手掛けている。2015年4月に連結子会社の(株)ビーコン インフォメーション テクノロジー(以下、ビーコンIT)を吸収合併するとともに、社名を株式会社ビーエスピー(BSP)から株式会社ユニリタに変更。成長領域であるデータ活用分野に強みを持つビーコンITとの経営資源の統合を図ることで、環境変化に対応するための事業構造変革を進めてきた。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力の強化に取り組んでいる。

2. 2019年3月期上期決算の概要
2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比35.8%増の4,497百万円、営業利益が同33.4%減の374百万円と増収ながら減益となった。売上高は、2018年2月に買収した(株)無限の連結効果に加えて、「メインフレーム事業」を除く、すべての事業が伸長した。特に、注力する「クラウド事業」が順調に伸びたほか、「ソリューション事業」もコンサルと製品の組み合わせ提案などが奏功して好調に推移した。一方、利益面で大きく落ち込んだのは、「プロダクト事業」の一部製品の販売未達や「メインフレーム事業」の下振れに加えて、技術開発力の強化に向けた人材配置により一時的に開発原価が増加したこと、「クラウド事業」及び移動体向けIoTビジネスに対する研究開発費の拡大などが理由である。したがって、減益とはなったものの、先行投資の拡大によるところは、今後の成長につながるものとして捉える必要がある。また、移動体向けIoTビジネスや農業SaaSビジネスなどにおいても活動面での成果を残すことができた。

3. 2019年3月期の業績見通し
2019年3月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗や市場環境などを踏まえ、期初の利益予想を減額修正した(売上高予想は増額修正)。修正後の業績予想として、売上高を前期比33.2%増の9,400百万円、営業利益を同36.9%減の850百万円と増収減益を見込んでいる。上期に引き続き、無限の連結化に伴う「システムインテグレーション事業」が増収に寄与。また、注力する「クラウド事業」も大きく拡大するとともに、上期好調であった「ソリューション事業」も順調に伸びる想定である。利益面では、利益率の高い「メインフレーム事業」の縮小や「プロダクト事業」における一部製品の販売未達が利益を押し下げるほか、「クラウド事業」及び移動体向けIoTビジネスへの積極投資の継続により減益となる見通しである。

4. 成長戦略
2019年3月期より3か年の中期経営計画がスタート。しかしながら、市場環境の急激な変化やそれに伴うプロダクトミックスの入れ替え等を見据え、利益計画の減額修正を公表した。もっとも、売上高計画は据え置いており、基本的な方向性にも大きな変更はない。最終年度である2021年3月期の目標(修正後)として、売上高を110億円(3年間の平均成長率15.9%増)、営業利益を15.5億円(営業利益率14.1%)、ROE 9.8%を掲げている。市場が縮小傾向にある「メインフレーム事業」を除く、すべての事業を伸ばす計画となっているが、とりわけ需要が拡大している「クラウド事業」を成長分野と位置付けており、クラウドソリューションの強化、業界SaaS事業への新たな取り組みが戦略の目玉となっている。

弊社では、需要が拡大している「クラウド事業」のラインナップ(ソリューション化)が充実してきたことや、コンサルと製品の組み合わせによるソリューション提案が軌道に乗ってきたこと、無限の連結化によりシステムライフサイクルの上流からワンストップで提案できるグループエコシステムがさらに強化されたことなどから、同社の持続的な成長は可能であるとみている。今回、利益計画の引き下げに踏み切ったものの、市場環境が急激に変化するなかで、積極投資の継続やプロダクトミックスの入れ替え等により、将来を見据えた基礎固めを行っていく戦略には合理性があると評価できる。裏を返せば、次世代の収益の軸をいかに育てていくのかが最大の課題であり、同社独自の業界SaaS事業(人材系、移動体系、農業系)の進展など、ポテンシャルが大きく、先行者利益が狙える事業の進捗に注目していきたい。

■Key Points
・2019年3月期上期の業績は増収ながら減益。一部製品の販売未達に加え、新規事業や成長分野への積極投資が利益を圧迫
・上期業績等を踏まえ、2019年3月期の通期利益予想を減額修正
・2019年3月期から3か年の中期経営計画がスタート。しかしながら、市場環境の急激な変化などを踏まえ、利益計画の引き下げを公表(ただ、基本的な方向性に変更はない)
・顧客のデジタル変革ニーズに対応するクラウドソリューションを軸に据え、特定業界に特化したSaaS事業への取り組みなどにより成長を加速する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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