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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3688 カルタHD

東証P
1,747円
前日比
+25
+1.45%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
55.2 1.88 3.09 1.55
時価総額 442億円
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クロスマーケ Research Memo(2):マーケティングプロセス全般を支援するマーケティングDXパートナー


■会社概要

1. 会社概要
クロス・マーケティンググループ<3675>は、マーケティングプロセス全般にわたって事業を展開し、顧客のマーケティングDXを支援している。同社は持株会社で、事業は子会社を通じて運営されている。事業は、販促支援メディアの運営やプロモーション・マーケティングの支援、システムの受託開発などを行うデジタルマーケティング事業、祖業のオンライリサーチを軸に様々なデータを収集し解析するデータマーケティング事業、分析やレポーティング、コンサルティングなどにより顧客の意思決定を支援するインサイト事業の3つで構成される。現在、社会・経済は世界的にDXによる変革の最中にあり、様々な分野でデジタル化が進展している。マーケティング業界においても、DXにより顧客ニーズの高度化・多様化が急速に進むなど環境が様変わりしており、これまで同社はこうした変化を先取りし、業容拡大と体質強化を進めてきた。途上でコロナ禍もあったが、足もとでは業績が急拡大するなど成果が現れており、中期経営計画で掲げる数値目標の達成に向けて大きな弾みになっている。


ソリューションからDXパートナーへと進化
2. 沿革
同社は、2003年4月に現代表取締役社長兼CEOの五十嵐幹(いがらしみき)氏により、オンラインリサーチ専業の(株)クロス・マーケティングとして設立された。2006年5月に(株)ECナビ(現CARTA HOLDINGS<3688>)と資本・業務提携、これを弾みに2007年3月には(株)電通リサーチ(現(株)電通マクロミルインサイト)や(株)ビデオリサーチなど大手リサーチ会社とも資本提携した。2008年10月に東京証券取引所マザーズに上場し、2011年8月に(株)インデックスよりモバイルソリューション事業(現デジタルマーケティング事業)を譲り受け、中国(上海)に子会社を設立して海外進出を果たすなど積極的に業容拡大を図ってきた。2013年には社名を現在の(株)クロス・マーケティンググループとして持株会社化、2018年3月に東京証券取引所市場第1部への上場市場変更を果たした。2022年4月には東証再編により東証プライム市場に移行した。

近年も、ドゥハウスやスキップ(株)などのM&Aや、(株)ディーアンドエムや(株)メディリードといったスピンオフなどにより業容拡大を継続する一方、国内外で構造改革を進めるなど積極経営を続けており、後発ながらマーケティングリサーチ業界の大手として成長を続けている。2020年はコロナ禍の影響が大きかったが、同時に企業や社会の在り方を変えるDXが大きなビジネスチャンスとなった。これに合わせ同社は、リサーチを主軸とするマーケティングソリューション企業から、デジタルマーケティングに軸足を置いたマーケティングDXパートナーへと事業を進化させた。こうした戦略が奏功し、現在、中期経営計画を上回るピッチで成長している。


DXを背景に大きく変わるマーケティングリサーチ市場
3. 業界環境
マーケティングリサーチ市場は、消費者ニーズの多様化や企業業績の拡大などとともに安定して成長してきた。特に2000年以降、同社の祖業でもあるオンラインリサーチは、インターネットの利用の広がりとともに急速に市場を拡大していった。近年では、デジタル化が進展するなかでスマートフォンの位置データやWebアクセスログなど大量のデータ(ビッグデータ)を容易に取得できるようになってきた。企業であれば、そうしたビッグデータを分析し、インターネット広告やD2C※など様々なマーケティング活動に生かしたいと考えるのは当然のことである。しかし、多くの企業でDXが十分に進んでいるとは言い難く、取得したビッグデータをビジネスに生かしきれていないのが実情で、DXを支援する同社にとって開拓余地の大きい市場といえる。

※D2C(Direct to Consumer):広告代理店や小売を挟まず、自社商品をインターネットなどで直接消費者に訴求し販売すること。


ところで、マーケティングリサーチとは、データを取得・調査・分析し、データを高付加価値化するビジネスである。従来は、リサーチやコンサルティング、IT、広告、マーケティングなど各業界が縦割りに細分化され、それぞれの企業が得意分野に限ってデータの付加価値化を進めてきたため、部分最適にとどまることが多かった。しかし現在は、DXによってビッグデータ化したデータを高付加価値化できるようになったため、マーケティングに関わる業界すべてに横串を刺した全体最適を目指すことができるようになってきた。こうした部分最適から全体最適という流れのなかで、細分化されていたマーケティングリサーチ市場は業界を横断したひとまとまりの市場へと拡張していった。

市場の変化を受けてESOMAR(ヨーロッパ世論・市場調査協会)は、マーケティングリサーチ市場を新たに、一部ITやコンサルティングを含んだ「様々なデータを収集・分析し、クライアントにインサイト※を提供する」市場と定義し直した。この結果、マーケティングリサーチのグローバル市場規模5.2兆円は、データ分析やレポート作成などを含むインサイト市場9.8兆円へと拡大することとなった。また、同社のターゲットとなりうる市場は、2,200億円規模の国内リサーチ市場と2.2兆円規模のD2C市場を含めると、重複分などを考慮しても10兆円を超える規模になったと推定される。こうした市場は非常に広大で、1社ですべてをカバーできる企業はまだそう多くないと考えられる。特に本格的なリサーチ機能を有している企業が少ないため、リサーチを起点にマーケティングソリューションを総合展開する同社にとって有利であり、その点からも開拓余地が非常に大きい市場といえるだろう。

※インサイト(マーケティング用語):消費者の行動や思惑の背景にある意識構造を分析して得られる購買のトリガー。消費者の潜在ニーズを顕在化させるスイッチ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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