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3498 霞ヶ関キャピタル

東証P
18,280円
前日比
+220
+1.22%
PTS
18,335円
23:55 05/10
業績
単位
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PER PBR 利回り 信用倍率
35.8 7.84 0.93 628
時価総額 1,792億円
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霞ヶ関キャピタル Research Memo(1):2023年8月期第2四半期は大幅な増収増益で過去最高を達成


■要約

霞ヶ関キャピタル<3498>は、「不動産コンサルティング事業」を展開する企業である。オフバランス化することで不動産を保有しない「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と、ストック収入による安定収益基盤に成果報酬によるアップサイドを加えた「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という、独自のビジネスモデルを構築している。同社の強みは、激動期を乗り切る柔軟な戦略と、それを実現する豊富な人材や資金を有していることであると言えよう。なお、東京証券取引所(以下、東証)市場再編に伴いグロース市場へ移行したが、2022年8月期にはプライム市場への昇格基準をクリアしている。

1. 2023年8月期第2四半期の業績概要
2023年8月期第2四半期の連結業績は、売上高16,489百万円(前年同期比55.8%増)、営業利益1,438百万円(同214.9%増)と大幅な増収増益となり、過去最高の売上・利益を達成した。売上については、物流施設開発用地の売却や長期運用型ファンド組成の成功報酬等がけん引した。利益面では、事業規模拡大による人員増や、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による移動制限の緩和に伴う積極的な営業展開により販管費が増加したものの、売上総利益がそれ以上に増加したことで大幅な増益となった。この結果、通期計画に対する進捗率は、売上・利益ともに上期として過去最高となっている。好調な売上に伴い販売用不動産は減少したが、仕入は順調であり、引き続き十分な在庫水準を維持している。また、自己資本比率は34.3%と2022年3月期東証1部不動産業平均を上回る高い安全性を確保している。

2. 事業別の取り組み
同社は独自のビジネスモデルを展開するとともに、注力する事業分野を機動的に変更してきた。具体的には、今後の企業活動や人々の生活様式の変化を見据えて、2020年6月より立ち上げた物流施設開発事業では、中小規模の冷凍冷蔵倉庫をメインターゲットに物流施設開発を進めており、2023年8月期第2四半期は物流施設開発用地4件を開発フェーズに移行させるなど、順調に進捗している。ホテル開発事業では、2023年8月期第2四半期に3件を新規開業したほか、FAV HOTEL10件を対象とした長期運用型ファンドを組成した(同社のビジネスモデルを完遂した初の事例)。2022年8月期に参入したヘルスケア関連施設開発事業も着実に成長しており、2023年8月期第2四半期には開発用地1件を売却し、開発用地3件を新規取得した。物流施設開発事業の進捗、ホテル開発事業の拡大に、ヘルスケア関連施設開発事業とファンド事業が加わったことで、プロジェクトパイプラインは急速に拡大し、着実なAUM(運用残高)の増加につながっており、今後の収益貢献が期待される。

3. 2023年8月期の業績見通し
2023年8月期の連結業績予想は期初予想を据え置き、売上高26,500百万円(前期比27.5%増)、営業利益3,200百万円(同49.4%増)としている。引き続き大幅な増収増益により、過去最高の売上高・利益の更新を見込んでいる。物流施設開発事業では、EC(Electronic Commerce:電子商取引)市場の拡大や冷凍冷蔵倉庫に対する高い需要に支えられ、物流施設開発は活況を呈しており、中期的にもこのトレンドは継続すると見込まれる。同社では、パートナー企業との協業施策等の戦略を活用することで、今後も物流関連市場での活動に注力する方針だ。ホテル開発事業では、ホテル関連市場のうち国内旅行は、行動制限緩和や全国旅行支援によりコロナ禍前の水準を上回る宿泊者数となったものの、インバウンド需要は本格的な需要回復にはもうしばらくの時間がかかる見通しだ。一方、新たに立ち上げたヘルスケア関連施設開発事業やファンド事業は順調に拡大している。以上から、1株当たり配当金は同20.0円増配の50.0円以上を計画している。同社は例年期初には保守的な業績予想を発表していることから、予想を達成する可能性は高いと弊社では見ている。

4. 中期経営計画
同社は、中期経営計画(2022年8月期~2026年8月期)「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表し、最終年度の2026年8月期に営業利益200億円(2021年8月期は13.2億円)、親会社株主に帰属する当期純利益100億円(同7.9億円)を掲げている。新たな収益モデル「パートナーシップ型(KC2.0)」を物流施設開発事業で採用することで、2025年8月期以降に利益の飛躍的な拡大を目指す。パートナーと合弁会社(以下、JV)を設立することで同社の事業へのリスクを限定的にする一方、開発利益の66%を得られることから、収益化のタイミングは遅くなるが総額は大きくなる見込みだ。そのほか、物流施設を中心に、ホテル及び再生可能エネルギー発電施設の3本柱でAUMを積み上げ、安定収益の拡充を加速させる。意欲的な数値目標であるものの、計画策定時の収益材料に基づいた保守的な計画であり、計画期間中に新たな収益材料が現れる可能性もあることから、十分に達成可能な数値であると弊社では考えている。事実、2022年8月期にはレジデンスファンドの組成やヘルスケア関連施設開発事業への参入など、計画発表時には織り込んでいなかった新規事業を立ち上げており、順調な進捗となっている。2022年8月期実績に続き2023年8月期も中期経営計画を上回る業績を予想しており、4年後の目標達成に邁進している。

■Key Points
・「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という独自のビジネスモデルを構築し、「成長性のある事業分野」で「社会的意義のある事業」を展開
・2023年8月期第2四半期は大幅な増収増益で過去最高を達成。通期計画に対する進捗も好調
・2023年8月期業績も大幅増収増益を予想するが、上期実績を考えると保守的な印象。物流施設開発事業を軸としつつ、他セグメントも成長力を強化
・中期経営計画では、新たな収益モデルによる利益成長により、2026年8月期に営業利益200億円を目指す。計画発表時には織り込んでいなかった新規事業も加わり、計画を上回る順調な進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YI》

 提供:フィスコ

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