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3480 ジェイ・エス・ビー

東証P
2,784円
前日比
-65
-2.28%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.3 1.81 2.19 6.34
時価総額 607億円

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ジェイ・エス・ビー Research Memo(3):不動産賃貸管理事業がグループの柱


■ジェイ・エス・ビー<3480>の事業概要

1. 不動産賃貸管理事業
同事業では、主に学生マンションの企画提案、竣工後の建物の賃貸運営及び管理業務を行っている。同事業は2023年10月期には、売上高で全体の94.4%、営業利益では122.0%を占め、グループの柱となっている。営業強化や積極的な自社所有物件開発などにより、物件管理戸数は85,453戸(前期比4,842戸増)に達し、内訳は借上物件(入居状況にかかわらず、オーナーに対して毎月一定額の家賃を支払う運営方式)49,380戸(同3,925戸増)、管理委託物件(オーナーにとって、入居実績がそのまま収入となる運営方式)31,399戸(同359戸増)、自社所有物件4,674戸(同558戸増)である。近年では、新規エリアへの進出や良い物件がある場合にスピード感を持って対応するために、自社所有物件を増やしている。一方、管理委託物件の増加数が少ないのは、営業努力によって、同社にとって利益率が高い借上物件に切り替えているためだ。また、全体の物件管理戸数のうち食事付きが15,215戸(同2,584戸増)、家具家電付きが30,532戸(同3,166戸増)と大きく増えており、今後も他社との差別化戦略として推進する方針だ。一方、契約決定件数は29,943件(同489件増)で、うち同社管理物件は23,298件(同968件増)と順調に増加している。

入居率は引き続き99.9%を確保した。竣工後の建物管理や同社独自の入居者へのきめ細かなサービスに対する評価が、年々物件管理戸数を増やしながらもほぼ満室状態を維持できている理由であろう。少子高齢化問題が懸念されているなかでも、大学・短期大学への進学率上昇に伴い学生数が増加傾向にあることや、女子学生数の増加によりセキュリティ設備が充実した学生マンションへの需要が高まっていることなど、市場環境も同社グループの事業展開を後押ししている。また、学生や留学生の増加傾向は長期的に続くと見られる。以上から、同社の不動産賃貸管理事業の持続的拡大基調は変わらないと予想される。

同社の学生マンションは入居者のほとんどが学生であり、セキュリティが厳重で設備が充実しているなどの特長がある。一般マンションでは提供できない「安心感」や「サービス」が同社の学生マンションの強みである。また、時代のニーズに即した物件を開発する「企画・開発・提案力」、全国ネットワークと多彩なメディアを駆使した「募集力」、迅速かつきめ細かなサポートができる「管理力」など、同社の強みを活用した一気通貫サポート体制によって、物件開発数の増加や高入居率が実現していると言えるだろう。

企画・開発・提案力では、プロの目でエリアを厳選し、独自のノウハウを活用したプランニングとサービスなどにより学生などの入居者に「安心、安全、快適」な住まいを提供する一方、不動産オーナーには安定的な収益を提供している。募集力では、北海道から沖縄まで全国33都道府県にまたがるネットワーク、全国の大学生協や大学との提携、インターネットサイトなど、自社による様々なリーシング(賃貸の不動産物件に対してテナント付けを行うこと)力を有していることが提携校・募集協力校の増加につながり、高入居率の達成と物件管理戸数及び契約決定件数の増加の好循環を実現している。さらに管理力では、管理の経験とノウハウが入居者と不動産オーナーの双方に対して高い顧客満足度を実現する結果となっている。

同社が開発・運営している最近の事例としては、学生・単身者マンションでは、「ラフィーユ北六番丁」(仙台市青葉区、全100室)、「Uni E’terna 新潟大学南」(新潟市西区、全190室)、「ウルフィエスタ八事」(名古屋市昭和区、全51室)、「ロイヤル九大学研都市南」(福岡市西区、全84室)などがある。また、食事付き学生マンションでは、「学生会館The Park Hive板橋赤塚」(東京都板橋区、全200室)、「学生会館Uni E’meal信州松本 EAST・WEST」(長野県松本市、全130室)、「学生会館エスリード カレッジゲート長瀬」(東大阪市小若江、全154室)、「学生会館 Uni E’meal 愛媛大学前I」(松山市道後樋又、全116室)などがある。Uni E’mealは同社所有の食事付きマンション、またUni E’ternaは同社所有の食事なしマンションのネーミングであるが、そのほかの名称はオーナーが自由に決めている。

2. 高齢者住宅事業
同社が主力事業の1つとすべく注力してきた分野で、関西地区を中心とするドミナント戦略推進によって、2017年10月期より黒字化している。仕入コスト、建築費、運用コストなどの点で、首都圏に比べてより利益率の高い関西を中心に展開してきた。同事業は2023年10月期には、売上高で全体の4.7%、営業利益は4.3%を占める。物件管理戸数722戸、管理棟数15棟で、前期からの増減はなかった。グループの経営資源を成長性・収益性の高い不動産賃貸管理事業に集中投下するために、2023年11月に同事業を展開するグランユニライフケアサービスを学研ココファンに譲渡した。

3. その他の事業
その他の事業は、不動産販売事業や学生支援サービス及び日本語学校事業など様々な事業を展開している。2023年10月期では、売上高で全体の1.0%を占め、営業利益では損失を計上し、全体では-0.3%の比率となった。不動産販売事業では、販売用不動産として取得した土地、マンション、商業ビルなどの不動産を第三者に売却している。中期的な不動産市況の動向は不透明なことから、不動産売買の仲介業務に注力している。学生支援サービスでは、学生の採用を目的とした企業説明会の企画やサポートなどを受託している。学生に対しては企業説明会や就職セミナー情報の提供や、アルバイト情報の提供、インターンシップの支援も行っている。日本語学校事業では、外国人留学生向けの日本語学校の運営のほか、生活サポートとして同社管理マンションを学生寮として活用している。その他の事業の売上高・利益のシェアは小さいが、主力事業に対する後方支援的な位置付けを担っており、主力事業とのシナジーを考えれば必要な事業と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

 提供:フィスコ

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