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3435 サンコーテクノ

東証S
1,252円
前日比
-196
-13.54%
PTS
1,275.1円
22:33 05/10
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.6 0.57 3.04
時価総額 109億円
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サンコーテクノ<3435>---成長分野である「維持・保全」需要に向け新製品・新工法を投入


ラジオNIKKEIマーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』12月8日放送において、サンコーテクノ<3435>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■会社概要

サンコーテクノ<3435> はコンクリートの壁面に器具や設備を固定する際に使用される「あと施工アンカー」を中心とした建設用ファスニング製品(建築、土木分野で使われるファスナー:留めつけるための部品)メーカー。あと施工アンカーの市場で約40%の市場シェアを有するトップ企業。工事現場で使う鉄筋カッター等の電動油圧工具類の製造のほか、太陽光関連商材、各種測定器、電子基板なども手掛けている。

同社の主力製品は“あと施工アンカー”と呼ばれる建設用材料で、コンクリート構造物に設備等を留め付ける際に用いられる。一般に知られた釘やネジは、木材にモノを固定する場合に使われるが、コンクリートには使えない。コンクリートにおいて釘やネジの代わりに使用されるものと考えればわかりやすいだろう。モノを“留める”ということで“建設用ファスナー”や“ファスニング材”と称されることもあり、それが同社の事業セグメントの名称につながっている。

■同社を取り巻く環境

製品の特性から、あと施工アンカーは、主としてマンションやオフィスビルなどの建築物において利用されることが多い。典型的な例は、コンクリート製の壁面や床、天井などにエアコン室外機や照明器具、看板などの設置が挙げられる。同社はあと施工アンカー市場でトップシェアを誇り、特に、金属系アンカーでは約45%のシェアを有している。したがって、同社のファスニング事業の業況は、日本全体の建設需要と密接な関連があるとの推測が成り立つ。

国内の建設需要は、東京オリンピックに向けたインフラ整備や都市再開発、あるいは震災復興や防災に関連した国土強靭化政策などの、“追い風”状況にある。しかし、建設市場が右肩上がりで伸びるかというと決してそうではない。工事現場での人手不足がボトルネックとなっていることや、建設需要はその強弱感が地域によってバラツキがあるためだ。建築着工統計においても、2015年度の建築着工床面積は前期比0.9%減少。建設主別で見た「公共」、すなわち官需が前期比21.9%減少し、民需のプラス幅を完全に打ち消した形。

■サンコーテクノが今後取り組む課題

同社は将来的にも、2015年にみられたような、建設市場の中のセグメント間や地域間でバラツキがあり、市場全体としては横ばい圏から微減で推移するという状況が継続すると想定している。そしてその前提に立って、今後取り組むべき課題として3 点を挙げている。
(1)維持・保全市場(建築・土木)への新製品・工法の投入
(2)既存製品の用途拡大と高付加価値化
(3)海外市場への販路拡大

その中で特に重要なものは、国内市場を対象とした「維持・保全市場(建築・土木)への新製品・工法の投入」と「既存製品の用途拡大と高付加価値化」の2点だと弊社では考えている。

■新中期経営ビジョン『S.T.G VISION 2020』

同社は2016 年3月期から、新中期経営ビジョン『S.T.G VISION 2020』に取り組んでいる。同“ビジョン” のもと、中期戦略として2020年までに“売上高成長率5.0%以上(年平均)”、“営業利益率8.0%以上”、“新製品売上高構成比率30% ”の3点を計数目標として掲げている。

同社が初年度の2016年3月期に実施した具体策は、組織体制の変更だ。目的は1)主要事業であるファスニング事業以外を1つの事業に集約し、営業・事務作業を効率化して収益改善を目指す、2)ファスニング事業は、工事部門を取り込み、材料販売と合わせ“一気通貫体制”、“フレキシブル体制”に組織を再編し、安定供給・安定品質・市場創出を促進する、というものだ。

このうち、特に重要なことは、ファスニング事業における「市場創出」という部分だと、弊社では理解している。前述のようにあと施工アンカーに代表される同社のファスニング製品は、建築を主要市場として業容を拡大してきた。しかし建設には建築に加えて土木分野がある。

建築需要は長期的に横ばいという前提を置く同社は、横ばい市場(建築)でどう成長するかということと、同社にとっての新市場である土木分野への本格参入とが、必然的に課題として浮かび上がってくる。この課題克服の要点を表すのが「市場創出」であり、その実現に向けた社内インフラ整備が「一気通貫体制」ということだ。

■足元の業績

11月9日、2017年3月期第2四半期(16年4-9月)決算を発表。売上高が前年同期比8.3%減の72.68億円、営業利益が同21.0%減の4.26億円、経常利益が同21.8%減の4.01億円、四半期純利益が同23.1%減の2.52億円だった。

セグメント別では、ファスニング事業の売上高は前年同期比7.1%減の54.70億円、セグメント利益は同14.8%減の6.42億円だった。主力製品である金属系あと施工アンカーの販売は堅調に推移したものの、公共工事等の需要が減少したことで接着系あと施工アンカーの販売が低調だった。機能材事業の売上高は同11.9%減の17.98億円、セグメント利益は同12.7%減の2.25億円だった。アルコール測定器の販売は好調に推移したが、電動油圧工具関連は国内販売が低調に推移したほか、FRPシート関連に含まれる二重床等の複合材料や電子基板関連の販売も減少した。

17年3月期通期については、売上高が前期比2.7%減の162.00億円、営業利益が同3.6%減の12.90億円、経常利益が同1.3%減の12.40億円、当期純利益が同2.4%増の8.30億円とする10月28日に修正した業績予想を据え置いている。

■株価動向

株価は長期的な調整が続いており、昨年1月高値1830円をピークに、一昨年9月以来の水準まで下げている。ただし、4月以降は700円処でのこう着が続いており、底打ちが意識されやすいとみられる。月足では昨年9月以降、上値抵抗として意識されていた12ヶ月線を捉えてきており、底打ちからの反転が次第に意識されてくる可能性がありそう。
また、テーマ性としては東京五輪があろうが、それ以前に、ドナルド・トランプ次期米大統領が提案する1兆ドル規模の新たなインフラ建設計画を背景に、インフラ関連への物色が高まる局面においては、出遅れ銘柄として注目される可能性も期待されるところ。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
「フィスコ presents 注目企業分析」毎週月・木曜14:30~14:45放送

《TN》

 提供:フィスコ

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