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ADワークス Research Memo(6):2020年3月期はオフィスビル等の大型物件で収益不動産残高の積み上げへ


■業績動向

4. 2020年3月期の業績見通し
エー・ディー・ワークス<3250>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.6%増の26,000百万円、EBITDAが同42.8%減の1,330百万円、経常利益が同53.4%減の840百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.1%減の570百万円と期初計画を据え置いた。前期に好採算物件を販売した反動で減益となるが、2020年3月期は収益不動産残高ポートフォリオの再構築を最優先し、不動産残高の積み上げに注力する1年と位置付けている。引き続き都心の中古マンションについては市況の不透明感が続いているが、物件選択を慎重に行うとともに、京阪神や名古屋エリアでの中古マンション、また、オフィスビルや商業ビルの仕入れにも注力していく方針となっている。

2020年3月期末の収益不動産残高の目標については開示していないが、中期経営計画の最終年度となる2022年3月期末には2019年3月期末比で152億円増の365億円をガイダンスとしており、年間で約50億円を積み増すペースとなっている。このため、260億円前後がターゲットになると見られる(2019年9月末232億円)。

なお、11月29日付で2020年3月期第3四半期累計業績(2019年4月-12月)のフォーキャストを同社が発表している。現時点での確度の高い見通しとなり、売上高は前年同期比3.9%減の16,872百万円、EBITDAは同51.8%減の973百万円、経常利益は同68.3%減の518百万円、税引前利益は同40.7%減の518百万円となる見込み。同社の場合、収益不動産物件の販売動向によって四半期ごとの収益変動が大きくなる傾向にある。通期計画に対する進捗率は売上高で64.9%、経常利益で61.7%となり、第4四半期で必要となる売上高は9,128百万円、経常利益は322百万円となる。売上高・経常利益に関して射程圏内にあると弊社では見ている。

なお、同社は2020年3月期の事業方針として以下の3点を掲げている。

(1) 収益不動産ポートフォリオの拡充と商品企画力の強化
収益不動産残高の積み上げを図るため、事業エリアを従来の首都圏、支店のある京阪神エリアに加えて、名古屋や福岡など地方の中核都市にも広げていく方針となっている。名古屋については従来も好物件があれば、出張ベースで対応してきたが、仕入の状況によっては拠点開設等の検討も必要となってくるであろう。地方都市の物件については、全国の投資家層にニーズのある物件(人気エリアの商業施設等)が主な仕入対象となる。また、商品バリュエーションについても、従来は居住用マンションが中心であったが、今後はオフィスビルや商業施設の仕入活動を今まで以上に注力し、また、規模も小規模・中規模が中心であったが、1棟20億円以上の大規模案件まで対象を広げて仕入れを進めていく。オフィスビルに関しては2017年に竣工した「AD-O渋谷道玄坂」(自社開発ビル)で蓄積した運用ノウハウも生かしていく。

(2) 新たな収益基盤の確立に向けた新商品・新エリアの探索
収益ポートフォリオの拡充を図るため、新たな投資商品の開発・育成に取り組んでいく。2019年3月期からスタートした不動産小口化商品については第2弾となる「ARISTO青山」(新築ビル、募集総額9億円)※が完売し、下期も複数物件の商品化を検討しているが、現時点で販売時期は未定となっている。「ARISTO」シリーズについても対象顧客は、従来と変わらず個人の富裕層が中心となっている。

※1口100万円単位(5口以上)の販売で、予定表面利回りは満室稼働想定時で4.69%/95%稼働想定時で4.46%(予定分配金利回りで3.39%/3.17%)。


米国では賃貸住宅及び共同住宅に投資する事業者向けに取得資金の貸付を行う住宅債権投資事業を、新たに設立した子会社、ADW Lending LLC(以下、ADWL)を通じてフィジビリティスタディとして開始している。現在、米国ではロサンゼルス圏で収益不動産販売事業を行っているが、同事業はエリアを限定せず展開していく。当初の貸付枠としては10億円程度からスタートし、資金は同社で2億円、その他の投資家で8億円を拠出し、ADWLを通じて出資する。

そのほか、不動産周辺領域においてシナジーが見込める業務提携や資本提携、M&Aなども取り組んでいく。2019年4月にはその第1弾として内装工事を手掛ける澄川工務(東京都多摩市)を子会社化した。同社グループではADDが2017年4月から建設部門を本格展開しており、今回、澄川工務店が加わることでグループ内での施工能力を拡大する。澄川工務店は年間売上高で数億円規模の会社となる。会社の人員規模は10数名だが、施工協力会社を活用して主にUR機構の物件のリノベーション工事を行っている。今後、同社物件でのリノベーショ施工で活用していくほか商品企画でのシナジーも期待される。

また、2019年9月に不動産業界向けクラウドファンディング事業の展開を目指している不動産テックベンチャーのクラウド・インベストメント(株)(現FUEL(株))に出資したことを発表している。2018年7月より業務提携を結び関係を構築してきたが、FUELが提供を予定しているクラウドファンディングプラットフォーム「FUELオンラインファンド」※の将来性や経営陣の専門性の高さ等を評価して、出資を決定した。

※「FUELオンラインファンド」はミドルリスク・ミドルリターンのオルタナティブ投資の機会をオンラインで提供するクラウドファンディングプラットフォーム。


(3) 顧客基盤の拡大・拡充を通じたフィービジネスの具現化
同社では従来、CRMの取り組みとして、オーナーズクラブ「Royaltorch」を通じたコンサルティングサービスや各種セミナー、イベントを開催し、顧客との関係強化に取り組んできたが、「ARISTO」の販売により顧客基盤がさらに拡大する見通しであることから、新たに全社で既存顧客における取引深耕に取り組んでいく。

また、コンサルティングサービスも従来は不動産に関連することや相続税対策などにとどまっていたが、その他の金融商品にも範囲を広げ、顧客資産全般の運用に関わるコンサルティングサービスを開始し、富裕層向けサービス事業の更なる強化を図っていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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