貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3034 クオールHD

東証P
1,769円
前日比
-10
-0.56%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.6 1.28 1.70 489
時価総額 688億円
比較される銘柄
日本調剤, 
アインHD, 
メディ一光G
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

クオールHD Research Memo(6):既存店において処方箋応需枚数、処方箋単価がいずれも着実に伸長


■業績の動向

2. 保険薬局事業の動向
保険薬局事業の第2四半期は、売上高75,660百万円(前年同期比18.7%増)、営業利益3,309百万円(同16.1%増)と、増収増益となった。営業利益率は4.4%で、前年同期の4.5%からわずかに低下した。

クオールホールディングス<3034>は2018年10月から持株会社体制に移行した。これに伴いグループ内での経営管理料の配賦方針に変更があった。この点を前年同期と同じ基準に調整すると、第2四半期の営業利益は3,813百万円(前年同期比33.8%増)、営業利益率5.0%となり、実質的には順調に収益性が改善していることがわかる。

(1) 処方箋売上高の状況
保険薬局事業の売上高は、調剤薬局の売上高と売店の売上高から成り立っている。このうち調剤売上高は処方箋応需による売上高(以下では簡単に“処方箋売上高”と略す)と商品販売等の売上高があるが、調剤薬局売上高ニアリーイコール処方箋売上高といって差し支えないだろう。第2四半期の処方箋売上高は69,588百万円で、前年同期の58,049百万円から19.9%(11,539百万円)の増収となった。

その出店期・出店形態別内訳を見ると、同社は自力出店の店舗について、既存店と新店に分けている。より重要な既存店については、第2四半期の売上高が前年同期比7.4%増と堅調な伸びを示した。新店については前期の期中に出店した店舗が今期はフルに寄与していることや、第2四半期中に出店した店舗の貢献があるため伸び率が極端に高くなっている。一方、M&A等で取得した店舗については、既存店と新店とが一緒になっているため、わかりにくさがあるが、第2四半期は同25.8%(9,951百万円)の増収となった。

この調剤売上高は、処方箋応需枚数と処方箋単価の積で求められる。第2四半期は処方箋応需枚数が前年同期比13.4%増の7,351千枚、処方箋単価が同5.7%増の9,466円と、いずれも順調に伸長した。これらも出店期やM&Aなどの要因による影響を受けているため、以下ではそれぞれについてもう少し詳細に見る。

処方箋応需枚数の総数は前年同期比13.4%増となったが、実態に近いと考えられる既存店の処方箋応需枚数は同4.7%増となった。この伸び率は、前年同期の実績とほぼ同じであるととともに、同社の期初の計画どおりでもあったもようだ。既存店の中身にはマンツーマン薬局と新業態薬局の両方が含まれているが、いずれも堅調な伸びを示したもようだ。

処方箋単価は全体では前年同期比5.7%の上昇となったが、より実態に近い既存店に限れば同2.5%増となった。一見すると低いようにも見えるが、この数値は同社の想定を上回ったものとみられる。

処方箋単価の変動は大きく3つの要因に分けることができる。1つは薬価だが、これは薬価改定によって低下方向に動くのが基本である。もう1つは薬剤の構成比だ。これは高単価薬の処方数量の変動によって影響を受けるようなケースが典型的だ。3つ目は調剤技術料だ。これは調剤報酬改定で引き下げられることが多いが、その後さまざまな加算点の獲得策により回復・引き上げを図ることが可能だ。

第2四半期は過去に大きく平均単価を押し上げた高単価医薬品の処方が減少することを織り込んで期初予想では構成差を厳しく見ていたが、実際には想定ほど処方が減少しなかったほか、新たな高価格医薬品の出現などもあり、処方箋単価を下支えした。また、調剤技術料については、ジェネリック医薬品の数量割合を高める等の加算獲得の努力が奏功し、上述の処方箋単価に落ち着いた。

(2) 店舗異動とM&A
2020年3月期第2四半期の店舗異動は、46店舗を新規出店し、10店舗を閉鎖したため、純増は36店舗となった(売店の新規出店2店舗と閉店2店舗を含む)。調剤薬局の新規出店44店舗の内訳として、6店舗が自力出店、38店舗がM&Aとなった。

店舗タイプとしては、自力出店6店のうち4店舗が通常の(マンツーマン型の)クオール薬局で、2店舗がJR西日本グループとの新業態薬局となった(M&Aで取得した店舗は店舗タイプとしては原則、マンツーマン薬局に分類される)。

M&Aについては、第2四半期は2グループが実行された。2グループとも経営状態に優れているほか、地域密着型で顧客をしっかりと囲い込んで、比較的店舗当たり売上規模的が大きいという特長を有している。また地域的にも、関東の比重が高い同社にとって相対的に手薄となっていた地域で店舗網を獲得できたことで、補完関係構築に寄与する案件だったと言える。

4月に子会社化した(株)ナチュラルライフグループは、石川県内で19店舗、佐賀県内で9店舗の合計28店舗を展開している。経営は好調で同社グループ入り後も店舗網拡大基調を歩めるポテンシャルがある。特に北陸地域は医薬分業率が低いため伸びしろがあると期待される。ナチュラルライフの地域密着・地域連携の浸透度を象徴する事象として、調剤基本料1を算定されない状況下で地域支援体制加算を獲得している店舗を2つも有することが挙げられる。この実現は調剤各社が目指すところではあるが達成条件が非常に厳しく、全国でも珍しい。ナチュラルライフの営業姿勢や店づくりをうかがい知ることのできる好例と言えよう。

8月に子会社化した(株)セラ・メディックは大阪府東部を地盤として10店舗を展開している(1店舗は奈良県内で展開)。近畿圏は関東・中部と並ぶ3大都市圏ということで店舗網充実に注力してきたが、大阪府東部はこれまで手薄な地域となっていた。そこに10店舗を確保できたことの意義は大きいと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均