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2700 木徳神糧

東証S
5,480円
前日比
-80
-1.44%
PTS
5,480円
14:45 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.9 0.68 1.09
時価総額 93.5億円
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決算発表予定日

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木徳神糧 Research Memo(4):通期予想は期初から変更ないが、かなり堅めであり上方修正が濃厚


■今期の見通し

1. 2018年12月期の業績見通し
木徳神糧<2700>の2018年12月期通期の業績は、売上高110,000百万円(前期比4.4%増)、営業利益750百万円(同15.5%増)、経常利益760百万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益500百万円(同42.9%減)と予想されている。主力の米穀事業では平成30年産米は豊作の見込みであり、大手外食チェーンやコンビニエンスストア向け需要は引き続き好調が続くと予想されている。さらに上期の実績から価格改訂も進んでいることなどから、この予想はかなり堅めと言え、上方修正の可能性が高いだろう。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に旧本社跡地や仙台の精米工場跡地の土地売却益(特別利益)を計上したことから前期比では減益となる見込み。

2. 2018年12月期の米穀市場の見通しについて
セグメント別利益からも明らかなように、同社の業績に最も影響を与えるのは米穀事業である。2018年12月期の米穀市場の見通しについて同社では、需要面では引き続き一般消費者向けは米離れの影響により低迷すると予想しているが、コンビニエンスストアや外食等を中心とした中食市場の需要は堅調に推移すると見ている。その一方で平成30年産米は豊作が見込まれており、価格については平成29年産米に比べて低下すると予想されている。そのため、同社の売上高は低下が予想されるが、採算面では改善が見込まれる。

■中長期の経営戦略

1. 経営理念とキーワード、経営方針
木徳神糧<2700>では、経営理念として「コメビジネスを軸に世界中の消費者にコメとコメ関連食品の素晴らしさを発信し、健康で楽しいライフスタイルの実現をサポートする」を挙げている。さらにこの理念を遂行するためのキーワードとして「変化への迅速対応」、「存在意義の発揮」を、各事業における基本的な経営方針として以下のような施策を掲げている。

(1) 米穀事業
a) 国内:生産者に近づく体制作りの進化。販売における量の拡大と質の向上。生産体制の再構築。
b) 海外:コメビジネスのグローバル展開。国産米輸出の拡大と市場の開拓。

(2) 食品事業
付加価値商品の拡大と海外展開。

(3) 飼料事業
販売数量の拡大。(水産用飼料の拡大等)用途転用の促進。

(4) 鶏卵事業
加工品(味付け卵やゆで卵等)の販売強化。独自商品の開発。

2. 経営戦略
(1) 米穀事業(国内)
a) 生産者に近づく体制作りの進化
・ 独自品種の生産と販売の拡大
多収穫品種を生産者と実需者双方へのメリット訴求し、普及を拡大させていく。
生産者:面積あたり収穫量、作期分散、中食・外食向け安定ニーズ
実需者:値頃感のある原料の長期的な安定調達

平成30年産見込4,000トン(当初計画3,000トン)、平成31年以降7,000トンを目指していく。

b) JA全農との業務・資本提携
1) 業務提携の相互メリットを実現
生産から販売までの一貫した取り組みを確立:仕入・販売・製造・物流・商品開発等で協力体制を進化させる。双方のメリットを最大化する具体策を項目ごとに検討する。

産地・生産者・実需者ニーズにも応える仕入体制作り:実需者と特定契約や事前契約の拡大に共同で取り組む。主食用を始めとした様々な分野における米の供給力を発揮する。

安定供給とコストダウンの実現:互いの経営資源を積極的に有効活用し、Win-Winの体制を構築する。

2)5つの分野で具体的な協業内容について検討中
原材料米    :販売計画に対応した安定的な原料調達
広域実需者対応 :広域展開する実需者に対し、共同でスキーム提案
製造・配送効率化:工場の共同利用や共同配送による効率化・コスト削減
商品開発    :米を主原料・副原料にした新商品の共同開発や拡販
輸出対応    :拠点や輸送の共同利用、共通ブランドの開発

3) 資本提携へ進展
このようなJA全農との提携をさらに深化させるため、2018年4月に保有する自己株式30万株を全農に譲渡し、資本提携を進めた。

c) 販売における量の拡大と質の向上
・ 「健康」、「利便性」を軸に独自商品の展開
グルテンフリー新商品「金のいぶき玄米麺」、「金のいぶきマカロニタイプ」(仮称)の発売を予定(2018年10月)している。また、ノングルテン、ベジタリアン・ビーガン対応、機能性食品、アレルゲンフリー、小麦粉代替ほか米粉等の活用に向け試作を進める。

鮮度保持の自社ブランド(NB)シリーズ商品を上市し、現在では2kgパックを量販店だけで販売している。さらに同製品をセブンイレブンのPBとしても販売開始した。小容量2kgの伸張と要望を受け、5kgラインナップを企画中である。

d) 生産体制の再構築
1) 基幹工場である桶川精米工場の拡充
常温・低温倉庫の新設に着工、2019年2月の完成を目指す。2018年10月には、鮮度保持製品5kg生産ラインの完全自動化を予定している。

2) 生産管理体制の全社的レベル向上
FSSC22000・ISO9001・HACCP等の国際認証の維持。委託工場含むグループ全体の運営体制整備と見直しを図る。

(2) 米穀事業(海外)
a) コメビジネスのグローバル展開
1) 世界各国の美味しいコメを供給
寿司・丼物・定食などの用途別に適したジャポニカ米(日本産・外国産)を提供していく。

2) ベトナム南部における生販体制の拡充
自社契約栽培に加え、外部集荷を推進して取扱数量を確保する。Ba the工場の設備を拡充し乾燥能力を1.5倍に増強する。Long Xuyen工場に色彩・ガラス選別機を増設、薫蒸タンクを新設する。

3)ベトナム北部ハノイにおける生販体制の確立
高品質ジャポニカ米の栽培を拡大する。

b) 国産米の輸出拡大と市場開拓
・ 安全・安心で高品質の国産米輸出の拡大に注力
農水省「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」へ参画。飛躍的な拡大のためには大幅なコスト削減とインフラ整備が必須。近い将来に3万トンの輸出を目指す。

(3) 飼料事業
a) 販売数量の拡大
1) 北海道、中京、関西、九州での販売を強化する。

2) ニーズの高まる養殖向け水産飼料原料の拡販
米糠・飼料用小麦等の取扱いで同社の強みを発揮する。

3) 製品用途転用の促進
キノコ培地原料の販売を強化、肥料その他用途へ転用する。

4) グループの海外拠点を活用して輸入飼料の取扱いを拡大する。

(4) 食品事業
a) 付加価値商品の拡大と海外展開
1) 本社ビルのテストキッチンを活用
ノングルテン、機能性食品、米粉の活用など幅広い試作に活用する。

2) 新潟製粉工場の見直しと付加価値商品の製造
ノングルテン認証取得に向けた設備投資と体制の整備を進める。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《TN》

 提供:フィスコ

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