信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2588 プレミアムW

東証S
3,035円
前日比
+5
+0.17%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.1 4.40 2.31
時価総額 905億円
比較される銘柄
サントリBF, 
キリンHD, 
伊藤園
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

Pウォーター Research Memo(1):2023年3月期も、過去最高売上・利益を更新


■要約

プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以降、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数154万件(2023年3月末時点)は宅配水業界で首位を独走する。

1. 業績動向
2023年3月期の売上収益は76,463百万円(前期比11.7%増)、営業利益7,346百万円(同20.5%増)、税引前利益6,416百万円(同17.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益6,057百万円(同71.0%増)となり、売上収益・各利益ともに順調に成長し、過去最高の実績となった。売上収益は、新規契約獲得が堅調に推移し保有顧客数が154万件(11万件純増)と積み上がったことで、2ケタ増収となった。市場成長とともにシェアの向上を継続した要因としては、他社の多くが値上げをするなか、同社においては価格を据え置いたことも挙げられる。新規獲得に加えて、継続率も適正に管理できており、過去7年以上にわたり保有顧客が安定して増え続けていることが安定成長の基盤となっている。売上総利益は、原材料や資源の価格の高騰の影響はあるものの、各工場設備の稼働率の向上等による製造原価の低減により前期比11.3%増加した。販管費は、物流費の安定化につながる物流網の構築等による各種費用の低減を行い、同10.2%増と相対的に上昇を抑えた。売上高販管費率では、75.0%(前期は76.0%)と1.0ポイント低下した。結果として、営業利益及び営業利益率(9.6%)は、2016年7月企業統合以降の過去最高を更新した。

2. 業績見通し
2024年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比7.2%増の82,000百万円、営業利益は同11.6%増の8,200百万円とさらなる業績拡大を計画している。営業利益率に関しては、中期的な目標となっていた10%に到達する計画である。親会社の所有者に帰属する当期利益は同20.8%減の4,800百万円と減益を予想するが、前期の特殊要因を除いた当期利益(4,304百万円)からは同11.5%増となる。売上収益は前期比7.2%増の予想で、同社の過去の実績からはややペースダウンする値だが、保有顧客が多くなれば、一定割合で発生する解約の絶対数も増えるため、保有顧客数(売上高)の伸びが鈍化するのは事業特性上の必然と考えられる。宅配水業界及び同社にとって、事業環境はプラスの材料が多い。宅配水サービス(ウォーターサーバー)の認知度の高まりや新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機とした生活様式の変化等により、市場全体が伸びている。期待の新型ウォーターサーバー「famfit」や新型浄水型ウォーターサーバー「Slim-R」など全方位に向けた製品ラインナップもそろった。売上拡大が順調に進めば工場の稼働率が高まり、原価は低減できる。また、水源分散による地産地消が進めば、物流効率の向上によりさらなる販管費率の低下にもつながる。同社の期初予想は、これまで通り“最低限のコミットメント”と捉えることができる。

3. 成長戦略・トピック
同社では、既存顧客や潜在顧客の声を経営に反映させてきた。ウォーターサーバーに対する要望のなかでは、「ボトルを持ち上げるのが重い」「ボトルの設置の際に水がこぼれた」などが最も多かった。2023年2月にリリースされた新型ウォーターサーバー「famfit(ファムフィット)」は、ボトルの交換が簡単にできるボトル下置きモデルであり、さらに業界初の上向きのままボトルをセットできる仕様(特許出願中)という画期的な商品である。これまで通り若年ファミリー層を中心に訴求する計画だが、50代以上の年齢層や女性の一人暮らしなど多様な家族構成にも対応できる点で顧客層が広がることが期待できる。

4. 株主還元策
同社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識している。2016年の経営統合以降から5年目を順調に経過したため、同社は2022年3月期末から配当を開始した。同社は、内部留保や設備投資等への投資とのバランスを考慮しながら、業績と連動した配当を実施することを基本方針としている。2023年3月期の配当金について期初予想は22円(中間11円、期末11円)だったが、好調な利益を背景に60円(中間11円、期末49円、前期は20円)と大幅な増配となった。配当性向においても29.4%(特殊要因を除いた場合41.5%、前期は16.7%)と大幅な上昇となる。2024年3月期の配当金は70円(中間35円、期末35円)、配当性向は43.6%を予想する。利益の成長に伴って財務体質が健全化し、配当の余力が十分となったことがうかがえる。今後も成長と配当の両面で期待ができるだろう。

■Key Points
・2023年3月期は、過去最高売上・利益を更新。物流効率化等で販管費の上昇を抑制
・中期的な目標である自己資本比率20%超えを達成。ROEでは業界他社を引き離し30%超え
・2024年3月期通期は売上収益82,000百万円、営業利益8,200百万円予想。営業利益率10%達成を計画
・新型ウォーターサーバー投入により全方位体制を確立。次期主力北方工場への設備投資が順調に進捗
・2023年3月期の配当金は年60円(前期比40円増配)を実施。今後も成長と高配当が期待できる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均