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2373 ケア21

東証S
557円
前日比
-9
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
50.1 1.41 3.05
時価総額 82.7億円

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ビーロット Research Memo(1):販売用不動産は順調に拡大、2023年12月期は過去最高水準の利益を見込む


■要約

ビーロット<3452>は、代表取締役会長の宮内誠(みやうちまこと)氏をはじめ不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。創業6年2ヶ月となる2014年12月には早くも上場(東京証券取引所(以下、東証)マザーズ)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2017年には東京のホテル事業会社を連結子会社化、2018年にはM&A事業関連及び人材関連の会社を設立、ゴルフ場受託運営会社を連結子会社化した。さらに2019年には納骨堂及び葬儀場運営会社の株式50%を取得し、成長を加速している。設立10年にして2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。なお、2022年4月の東証市場区分再編に伴い、プライム市場へ移行し、同年7月には不動産賃貸業を営む東観不動産(株)の株式を取得し連結子会社化した。

1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比35.0%増の19,911百万円、営業利益で同43.5%増の2,913百万円、経常利益で同60.8%増の2,415百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同71.8%増の1,637百万円と、KPI(重要指標)とする親会社株主に帰属する当期純利益も含め、好調に推移した。全セグメントでビジネス機会が拡大し、セグメント利益における安定収益(不動産コンサルティング事業、不動産マネジメント事業)の構成比は62.5%に達した。収益構造の変革は順調に進んでいると言える。主力の不動産投資開発事業は、住宅系不動産を中心に順調に多様な物件の売却が進捗し増収となったものの、一部の簡易宿所等のアセットタイプでは収益性を保守的に見積り、販売用不動産評価損(510百万円)を計上したことが影響して減益となった。不動産コンサルティング事業は成約件数が同19件増の79件と大きく伸長したことに加え、若手人材の採用・育成強化が奏功し、大幅な増収増益となった。不動産マネジメント事業は、所有する宿泊系不動産を中心に賃料収入が改善し、大幅な増収増益となった。

2. 今後の見通し
2023年12月期の連結業績については、営業利益で前期比53.8%増の4,480百万円、経常利益で同50.7%増の3,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同49.0%増の2,440百万円と過去最高水準の利益を見込んでいる。2022年12月期末の販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)は38,865百万円(前期は29,536百万円)であり、売却や賃料収入が期待できる。需要が旺盛な住宅系不動産については、同社が得意とする富裕層向けの高級区分マンションの在庫を増やしており、「良いものこそが高く売れる」インフレーションの時代に合わせた売却を進める。開発案件では自社開発によるオフィスビル及びマンションの2棟竣工が注目される。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で販売を見送っていたホテル系不動産は売却の機会が増えており、2023年12月期に収益改善が予想される。弊社では、販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)が過去最高水準に達していること、都市部の不動産市場は需要が旺盛なこと、若手人材が活躍する営業組織が充実していることなどを勘案すると、利益計画の達成は十分可能であると判断している。

3. 成長戦略・トピック
同社は、2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を推進している。6つのアクションプランを推進することで、2023年12月期に経常利益で3,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,440百万円を計画している。これまでは不動産投資開発事業が急成長をけん引してきたが、中期経営計画期間を創業期と位置付け、“100年続く企業グループ”を目指し、3事業による安定した利益成長ができる企業体質に変革する考えだ。

6つのアクションプランについては、項目ごとに進捗の違いはあるもののおおむね順調である。「(1) 既存ビジネスの深耕」では、2021年6月の公募増資での調達資金を活用し販売用不動産のラインナップを拡充しており、今後の成長に向けた投資と評価できる。「(2) ビーロットリート投資法人のIPO」は、コロナ禍の影響により予定していた不動産取得が遅れたこととビーロット江坂ビルの売却を実施したことで見送りとなったが、ブティック型の私募ファンドで運用資産を積み上げる方針は継続する。「(3) 安定収益20%成長」としては、不動産コンサルティング事業及び不動産マネジメント事業が伸長した。「(4) 次世代リーダー育成」では、若手人材の活躍が各部門で顕著となっており、戦力が充実してきている。「(5) パートナー企業増」では、総合福祉サービス企業であるケア21<2373>と共同出資を開始したほか、双日レジデンシャルパートナーズ(株)と共同入札を開始しており、収益機会の多様化が進展した。「(6) 自己資本比率25%超」については2022年12月期末の自己資本比率は21.4%であり、積極的な投資を継続しつつ一定水準の財務の安全性を維持している。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2022年12月期の1株当たり配当金は20.00円(前期比5.00円増)、配当性向23.8%となった。2023年12月期の配当予想は未定としているが、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比49.0%増を見込んでいることから、順調に推移すれば前期同様に増配が期待できる。

■Key Points
・富裕層や投資家を対象に多様なビジネスモデルを展開。強みは専門性とネットワーク
・2022年12月期業績は2ケタ増収増益、KPIとする親会社株主に帰属する当期純利益も超過達成。販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)は38,865百万円に拡大
・2023年12月期業績は過去最高水準の利益を見込む。高級区分マンション、オフィス開発案件、ホテル系不動産などに売却機会
・収益構造変革は順調に進捗。次世代リーダー育成で成果

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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