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2216 カンロ

東証S
2,171円
前日比
-30
-1.36%
PTS
2,155円
20:15 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.1 2.03 3.32 14.70
時価総額 333億円
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カンロ Research Memo(3):研究開発技術、品質保証体制、カスタマーイン、商品開発・販売体制が強み(1)


■事業概要

1. 事業内容
カンロ<2216>の事業の主力を構成するのは、ハードキャンディ及びグミであり、同社は、創業以来110年の間に蓄積されてきた糖の研究開発技術、食の安全を守るための品質保証体制、他方ではカスタマーイン(顧客個々のニーズや意見を取り入れて商品開発すること)も、プロダクトアウト(自らが調査し検討して商品開発すること)も柔軟に対応できる開発・販売体制も堅持しており、この両輪を強みとしている。

加えて、同社の売上の中枢を担うコア事業本部は、「ピュレグミ・カンデミーナブランド部」「健康のど飴・ボイスケアブランド部」「カンロ飴・金のミルクブランド部」「ノンシュガーブランド部」といった主力ブランド統括部門と営業部門が一体となった組織であり、より商品ブランドを基軸とした販売体制をとっている。

同社の主力ブランド商品は、ハードキャンディカテゴリーでは「カンロ飴」「金のミルク」「健康のど飴」など、グミカテゴリーでは「ピュレグミ」「カンデミーナグミ」「マロッシュ」※などがある。

※マシュマロ商品(以下、同様)


(1) 研究開発活動
同社は、「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」というパーパスの下、「糖を科学する技術」をコア・コンピタンスとし「素材を活かす技術」及び「機能を発揮させる技術」の構築に資する研究開発に取り組んできた。また、CO2排出量の削減をはじめ脱プラスチックや食品廃棄物の発生抑制・有効活用等、サステナブル社会の実現へ向けた取り組みに加え、グローバル化や外部環境変化への適応に向けた研究開発活動も積極的に実施している。様々な分野の研究開発を実施するにあたり、基礎研究と応用研究の2つの領域ごとに研究テーマを設定することで、研究開発の質的向上と効率化を目指している。

(a) 素材を活かす技術
素材を活かした研究開発の代表例は、「カンロ飴」と「金のミルク」の技術である。1955年発売のロングセラーブランド「カンロ飴」の製造技術の優位性は、醸造メーカーとの共同研究で焦げつきにくい醤油を開発したことにより、日本人好みの醤油の旨味を引き出す独自の製法を確立したことにある。原料は砂糖、水飴、しょうゆ、食塩のみで素材本来のおいしさを活かした商品である。

また、2012年の発売以来、ヒット商品である「金のミルク」の技術の強みは、北海道産生クリームといった厳選素材を使い、ミルクそのままの濃厚なおいしさを香料・着色料を使わずに表現した点である。ミルクキャンディブランド売上No.1※に成長し、多くの顧客に支持されている。

※(株)インテージSRI+ミルクフレーバーキャンディ市場2021年10月~2022年9月累計販売金額ブランドランキング「金のミルク ブランド」


一方、グミにおいては、生地に空気を抱き込ませる技術により、ふわふわとした食感で口溶けに優れたエアレーション製法を確立する等、様々な商品を発売した。特に「マロッシュ」は(株)日本食糧新聞社が選ぶ第40回食品ヒット大賞「優秀ヒット賞」を受賞し、顧客からの高い評価を得た。

(b) 機能性を発揮させる技術
機能性を追求した研究開発の代表例としては、ハーブエキスの研究が挙げられる。同社は、1981年に食品菓子業界では初めてとなる「健康のど飴」を発売した。2015年には研究・開発力を強化するため、東京都江東区に「KANRO R&D 豊洲研究所」を開所した。また、消費者の健康意識の高まりを背景として、特定保健用食品や機能性表示食品の商品開発も行っている。

同社は、外部研究機関との共同研究などを通じ、オープンイノベーションを積極的に推進している。医学系大学との共同研究においては、柿渋の新型コロナウイルスの不活性化に関する共同研究を実施。新型コロナウイルス感染者(軽症者)を対象にしたヒト臨床試験について、柿渋を含む飴を摂取した際の唾液に含まれるウイルスの不活性化を確認した。また、機能性表示食品については新たに3品の届出・受理を完了し、新しく「ハーバルグッド」ブランドを立ち上げ、ハーブ+ガラクトオリゴ糖及びハーブ+プラズマ乳酸菌の2商品を発売した。

(c) サステナビリティに関する取り組み
同社は、「持続可能な開発目標(SDGs)」を基本とした全社的な活動の下、フードロス削減を目的とした原料・配合・包材の見直しを行っており、一部製品の賞味期限の延長、リサイクル可能なパッケージの採用等を実施。また、生産時に発生する廃棄物系バイオマスをエタノールへ変換し、ウェットティッシュ等への再利用、果汁の搾汁時に発生する残渣を利用したキャンディの開発等を行っている。さらに、廃棄包材のアップサイクルや脱プラスチックを目的としたキャンディストローの開発なども進めており、あらゆる方面で環境負荷低減に取り組んでいる。

(d) グローバル化への取り組み
中華圏への輸出適合を考慮し、使用原料の海外法規対応とブランド商品(ノンシュガー)につきグローバル対応可能な配合変更を実施した。中国向けブランド商品「0糖一刻」の開発・発売もその一環である。

(e) 原料価格の高騰、供給不安に対する取り組み
ゼラチン・ゲル化剤等、同社が商品を製造するうえで欠かせない原料の供給不安や価格の急激な高騰に対応するために、代替原料の探索・適合テストなどの対応を実施している。

なお、2022年12月期における同社の研究開発費の総額は755百万円であった。

(2) 商品販売
(a) カスタマーイン
同社は、デジタルを起点としたビッグデータから抽出された情報を基に、新たな顧客価値を創造するカスタマーイン戦略を推進する。具体的には、SNSによる情報発信体制の確立、VOC(電話やアンケート等の様々な窓口などから収集された顧客の声)に基づく商品開発・改良、Z世代が求める商品開発や新しい売り場の提案、グローバル化に向けたターゲット対象国におけるニーズの抽出などを進める。

(b) プロダクトアウト
同社は、商品やサービス開発の素となる技術やノウハウ、あるいは材料研究技術を駆使し、新たな商品価値を創造し続けるプロダクトアウト戦略を推進する。具体的には、素材力、植物由来材料と製法技術による商品開発、環境問題解決のための新用途の商品開発、これまでに蓄積した食品製造や配合に関する知的財産を応用した新領域への商品開発などを進める。

加えて、革新的な製造ラインの開発により、独創的な商品開発や、生産ラインに新技術を取り入れることで生産リードタイムを短縮し、生産効率の向上を実現する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

《SI》

 提供:フィスコ

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